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シーソーゲームに何度も潰される恋心/彼女を好きになる12の方法_入間人間

シーソーゲームに何度も潰される恋心/彼女を好きになる12の方法_入間人間

無口なスマホが久々に口を開いたかと思うとnoteからの連絡だった。機械的な定型文でブログを更新してないことを詰められたわけだが、一人っ子の僕が培った翻訳機にかけてみるとそれはたちまち口語体に変わり
「今月は書かないんですか!?書いてよぉ」
と甘ったるい声で擦り寄りってくる何某に見えないこともなくない。
仕方ない、別に書くこともないのだけれどそんなに言うなら書いてもいい。でも君のためじゃなく自分のた

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禁断の愛なんて便利な表現は使えない。私の男/桜庭一樹

禁断の愛なんて便利な表現は使えない。私の男/桜庭一樹

「これが、直木賞……」
読後感を噛み締める間もなく、口から漏れた。雨足が屋根をひどく踏み鳴らす深夜0時。音がある世界に戻ってきた私がゆっくり顔を上げた先にはストライプ模様の黒いカーテンがかかっていた。
「さてどうやって感想を書こうか」
文庫本を一枚ずつ捲り読み終わった今、変わらぬ300ページの重さが左手から右手に収まっているはずなのに、利き手の指に力を入れて落とさないように支えているような錯覚。な

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苦しみの先にある救い。ビダミンF/重松清

苦しみの先にある救い。ビダミンF/重松清

「突然だけど家族っていいよな」
「あらなに藪から棒に、中吊り広告おじさん。まるでサンドウィッチマンのネタが始まるみたい」
「中吊り設定まだ引きずるんだ……ならせめて富沢さんみたいなおじさんであってほしいな」
「それではまるで富沢さんが特殊性壁を持ち合わせてるみたいになってしまうけれど、冒頭からちちくりあってたら今日の本紹介まで辿りつかないから余計なことは言わないわ。それで、なんなのその"家族"って

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隣の芝を睨みながら歩んでいく。スター/朝井リョウ

隣の芝を睨みながら歩んでいく。スター/朝井リョウ

「わたし、YouTuberになりたいと思うのよ」
「ふぅん」
「ありきたりな独り言すぎたのか反応が薄いわね」
「それはYouTuberになりたいじゃなくて、不労所得で生活したいってことだろ?」
「おしい。ちやほやされながらお金を使うことでお金を稼いでちやほやされたいの」
「あぁ、それはYouTuberしかないね。頑張って。応援してる。ばいばい」
「ちょっと、興味を示しなさい。そして話を掘り下げなさ

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外見は口ほどに物を言う。カケラ/湊かなえ

外見は口ほどに物を言う。カケラ/湊かなえ

手元に流れるエンターテイメントには必ずと言っていいほどイケメンや可愛い女の子が登場する。
顔が整っているとだけ分かる初対面の人が小さい画面の中で恋愛を論じてたり、馴染みのないおもちゃで遊んでいたり、高そうなジャケットの襟を正しながら世の中を煽ってたりしている。

白く発光している眩しい笑顔はファンに向けられたものであり、たまたま出会ってしまった私にとっては、人生が楽しそうな人が楽しそうに人生を送っ

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孤独な超能力者。宮部みゆき/クロスファイア

孤独な超能力者。宮部みゆき/クロスファイア

いくら見つめても右手から炎が上がることはなかった。平熱を超えることもなく、指先の向こう側が揺らめくこともない。私は今日も変わらないどこにでもいる一般人のようだ。

超能力が扱われる作品を読み終わったあとは必ずと言っていいほど「ふっん!」の掛け声に合わせて右手に力を入れてみる。一般人を自称するくせに一般的な26歳の言動とは思えない。

超能力が物語のツールとして作用する時、超能力者は圧倒的な存在とし

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【読後感想】精神は肉体を超越できない。奈落/古市憲寿

【読後感想】精神は肉体を超越できない。奈落/古市憲寿

2年ぶりに読み返した『奈落』。古市憲寿さんの代表作、絶望の国の幸福な若者たちをきっかけにどっぷりとハマり新刊が出るたびサイン本を求めて本屋に駆け込んでいた。

読み終わればブックオフに駆け込み、そのまま100円コーナーを漁る生活をしていた私も今ではもっぱら電子書籍になってしまったが、記憶に強く残る作品はモノとして手元に取っておきたくなる。この奈落もその一つだ。

意識がある植物人間。その印象が強く

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【読後感想】君の膵臓をたべたい/住野よる

【読後感想】君の膵臓をたべたい/住野よる

主にはてなブログを運用しているが、違う切り口でnoteも使っていこうと思う。
あちらが溌剌と思いの丈を書き上げる媒体であるから、こちらは淡々と語る媒体とでも言おうか。どうしてもカッコつけてるように聞こえるがこれも愛嬌ということで許してほしい。

今回は住野よる著、君の膵臓をたべたいの感想を綴る。
話のあらすじは各自で調べて欲しい。まだnoteの機能を把握しきれてない私はここで調べ物に気力を使ってし

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