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スポーツクラブと私と私の家族  2023年度の総括として

 昨年3月末に41年間勤めたサラリーマン生活を卒業した。退職後、春からは88歳の母の介護をしながら、今まで夢に描いていたけれど実現できなかった念願の小説学校、そして自宅から徒歩5分のスポーツクラブXに通い始めた。

 まずケアマネージャーとのコミュニケーションを密にして、母の介護認定の見直しをしてもらった。「要介護3」に上がり、デイサービスへの通所もこれまでの週1回から2回に増え、お風呂にも入れてもらえることになった。加えて週1のミニデイへの送迎と訪問リハビリの対応、月1の病院への付き添い、何よりも毎日3度3度の食事作りなど、やることはたくさんある。

 小説学校の方はXの休館日に合わせて毎週金曜のコースに通うことにした。講義を受けて毎週出される課題にパソコンで取り組むのは家事がひと段落した夜になってから。

 Xでは入会してすぐに専属トレーナーによる個人レッスンが3回受けられる。私を指導してくれたのは管理栄養士の資格をもつ20代のAさん。すでに社会人として独立して我が家を出ている娘、息子より若くて有能な女性トレーナーだ。

 余談になるが、ちょうど20年前に離婚して2人の子供とともに千葉県八千代市から母の住むこの街に越してきた。母にサポートしてもらい、シングルファザーとして2人を育て、大学を卒業し社会人として巣立ってくれた。

 Xでは、初回は体組成測定計に乗って各種データを計測。食事・睡眠・運動といった日常生活のヒアリングからスタートして改善指導を受ける。次に私の目的や希望を叶えるための中長期の目標を一緒に立ててくれた。

 そして、その目標に合ったトレーニングメニューをAさんが策定してくれ、計3回で具体的なジムマシンの利用方法やトレーニングの進め方をレッスンしてくれる。

 それからというもの、母がデイサービスやミニデイで不在にしている時間帯に毎週2回から3回通うことにした。トレーニングを続けると少しずつ身体が柔軟になり、軽快に動くようになって、体調の良さを実感できるようになった。

 当初恥ずかしくて参加できなかったスタジオでのプログラムにも勇気を出して参加してみた。熱いインストラクターに励まされ、若い皆さんの積極性にも感化され、心地よい汗を流すことができるようになった。

 そんな私の姿をAさんがたまに見かけられると「頑張ってますね」「その調子で頑張りましょう」「何かお困りのことはありませんか?」と温かい言葉をかけてくれる。そして1週間ほどサボっていると「しばらくお見かけしませんでしたね。お久しぶりじゃないですか?」と鋭い指摘もしてくれる。(笑)

 10月までは、そのお声がけが私の励みになって、喜ばしいことにポッコリお腹も徐々に凹んできていたのだが……。

 11月初旬に中学の同窓会があった。数十年ぶりに再会する懐かしい友と話が弾む。酔っ払って帰宅途中、夜遅くに駅のホームから転落し、右足を怪我してしまった。

 病院でリハビリを受けながら、杖をついて歩くところから始め、Xでは週に3回、温浴施設を利用してサウナでしっかり汗を流す。私より人生の先輩の皆さんは元気がいい。「おはよう」「昨日は来なかったね」裸同士の付き合いが始まりつつある。

 幸いなことに学校は在宅のままオンラインで受講することができる。現在、温浴施設と同じフロアにあるプールでウォーキングができるまでに回復した。ただ、今尚、1つ上のフロアのジムエリアにはご無沙汰したままだ。
 
 実は先日、家の中で母が転倒して腰椎を圧迫骨折してしまった。現在、Xに程近い停留所からバスに乗って約10分の病院に入院している。

 私は午前中にXに行って午後の面会時間に合わせて母に会いに行っている。時間があるとバスに乗らずに約1時間かけてゆっくりと歩いていく。先週の土曜日には娘、息子が久しぶりにこの街に帰ってきてくれ、一緒に母を見舞ってくれたばかりだ。

 暖かくなったら母も退院してくれることだろう。いや、そう願いたい。今は1人なので外食することが多いが、母の美味しく食べる笑顔を楽しみに、また料理を作りたくてウズウズし始めた。
私の右足もまもなく完治し、ジムエリアでのトレーニングがようやく再開できそうだ。

ポッコリお腹になってしまっている私をAさんは笑顔で迎えてくれるだろうか。母の笑顔、そしてAさんの笑顔を楽しみに、今、私は毎日を頑張って生きている。(了)

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