見出し画像

営業職ってなんでこんなに辛いんだろうね

営業職には経営のすべてがある
惜しむらくは、誰もそんな仕事の仕方を望んでいないということ

大量に採用されて大量に配属されて、半年過ぎたあたりから大量に辞めていく。転職サイトでは未経験歓迎。レジュメの内容が何であれ毎日オファーが来る。モノが売れなくなった時代のはずなのにどこでも人手不足で、厳しいノルマと業務のしわ寄せ。ホワイトカラー時代の肉体労働。
それが、営業職。

かつてモーレツ社員と呼ばれる人たちがいて、24時間働いていたという。
でもそれは嘘だ。
当時は送った契約書が返ってくるまでに1週間はかかったし、ハンコは必須だったし、記録も手書きだから言った言わないは不正確だったし、仁義とか筋とか、今では反社と呼ばれる人たちだけが使うよくわからないアナログなコミュニケーションの持ちつ持たれつで成り立っていた。

現代からすれば、とっても公正な仕事のやり方というわけだ。
送ったメールはその日のうちに返ってきて、パソコン一つで大体の業務が完結し、契約書に不備一つあればすぐに訴訟。血も涙もなく経営者も守ってくれず、変わらないものと言えば高いノルマが常にあることくらい。
さすがに24時間働けとは言われないけれど、16時間くらいは働かないとまともな契約一つまとめられないし、実態として16時間働いていたとしても記録の上では8時間。
おまけにどこも仁義や筋で飯が食えるほどの余裕がないものだし、特定の偉い人達にもそんな力はなく、ただ高いノルマが常にあるだけ。

人生の苦渋を煮詰めたような嫌われ者たちの地獄の軍団。
それが、営業職。営利企業の最前線にして花形部門。

大半の営業の成功者はどこか狂った犬のような眼をしている

いつしか、わたしたちは営業に甘えすぎた。
わたしたちに支払われる給料は営業が血眼になってかき集めたお金だ。
仕事をするという点においてプロフィット部門かコスト部門かでのヒエラルキーは本来あるべきではないと思うが、最前線で戦う者たちをいつの間にか見下し、自分が安全圏にいることを確認するために、営業だからということだけで様々なことを押し付けてきた。

苦しい仕事は「彼ら」がやればいい。「彼ら」が上手くやってくれる。だって営業職は花形だから、エリートなんだから。それくらいできて当然だ。

そこに経営のすべてがある。
割のいい仕事を取り合い、割を食う仕事は押し付けられ、コントロールする余地も奪われ、上からも下からも圧力をかけられる。
その無重力状態で自他のバランスを保ち、調和をもたらし、今日をなんとかしのぎ切る。
さながらそれは小さな経営者の視点であり、いち労働者から昇華することができたものだけが生き残り、いち労働者のままでいようとすれば呑み込まれて養分となる。悲しいけれども弱肉強食。だから多くの人が求められる。多くの人がいれば、9割潰れても1割で食っていくことができる。

負けるな営業。勝とうとするな営業。
しぶとく、這いつくばってでも折れるな。仕事を搾取されるな。
荒波のような職場で、時に抗い時に身を任せ、曲がり歪みながら前に進んでいるのか後ろに戻っているのかもわからなくなりながらでも、

必ず道はある。必ず道はあるのだ。

この記事が参加している募集

転職してよかったこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?