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「反オカルト論」 高橋昌一郎 著 光文社新書
コナン・ドイルも、原子タリウムを発見したウィリアム・クルックスも、ノーベル生物学・医学賞を受賞したシャルル・リジェも、インチキ霊媒師にころっと騙されました。一方、当時の奇術師ハリー・フーディーニは、すぐにトリックを見破りました。「理性的」と思われる人たちは、実は神秘的なものに騙されやすいのかもしれません。
これは、少しわかるような気がします。僕は、もともと理系ですが、「現在の」数式や論理で見落と
「新しい世界 世界の賢人16人が語る未来」 クーリエ・ジャポン編 講談社現代新書
2021年1月に出版された本です。賢人たちの主張の検証は、これからなされることになるでしょう。
16人の「賢人」たちが語る、パンデミック以降の世界についてのインタビュー集です。横断的に、賢人たちが今パンデミックの中で、何を考えているのかがまとめられていて、とても興味深い本でした。
ほとんどの人は、行き過ぎたグローバリズムに対する懸念を語っています。それをどうするかについては、それぞれ独
「私はガス室の「特殊任務」をしていた」シュロモ・ヴェネツィア著 河出文庫」
戦争という極限状態では、人は理性も共感的な感性も失ってしまうのかもしれません。それにしても、アウシュヴィッツで行われたことは、あまりに非人道的なことでした。
著者のシュロモ・ヴェネツィアは、アウシュヴィッツの特殊任務についていたユダヤ系ギリシャ人です。特殊任務とは、ガス室で殺された死体を墓穴まで運び燃やす仕事です。
彼は、アウシュヴィッツに連れてこられたユダヤ人たちが選別され、ガス室に送られ、
「ある明治人の記録 会津人柴五郎の遺書」柴五郎著 石光真人編 中公新書
義和団の乱における北京の各国公使館地区での籠城戦において実質的な指揮をとり、世界各国から賞賛された柴五郎の日記とその解説です。
柴五郎は、会津の生まれで、幕末に会津若松城が落城した時、10歳でした。
五郎は、会津若松城が黒煙に覆われ、わが家と思しきあたりが火の海になっているのを見ます。家の女性たち、祖母(81歳)、母(50歳)、兄太一郎の妻(20歳)、姉(19歳)、妹(7歳)は会津戦争の際に自
「The Person You Mean to Be」 Dolly Chugh 著
人は、限定倫理的に物事を判断して、限定合理的に行動を決定します。そして「限定」の範囲は非常に狭く、99.999996%の情報が無意識に追いやられているのです。つまり、人は、0.000004%の情報だけを経験的に選択しているのにすぎません。たぶん、これが自我の大きさなのでしょうね。
そんな狭い範囲での判断で、自分が完璧に正しいと考えるのはおこがましいのです。われわれにできることは「(完全に)いい人
「ソーシャル物理学」 アレックス・ペントランド著 草思社文庫
アイデアの流れは速いが、似たアイデアに繰り返し晒されているエコーチェンバー状態にある人は、孤立状態にある人と同じくらい、現実から切り離されていきます。
アイデアの流れが速いということは、新しいアイデアが出ると素早くそれを参照すること。情報は素早く入ってくるのですが、偏りができてしまいます。心理療法にしても、一部の療法が極端に注目されることがよくあります。政治や外交の情報にしてもどうも偏りがある。
「南京事件を調査せよ」 清水潔著 文春文庫
目立たず地道だけど、とても大切な仕事をする人がいるものです。例えば、南京攻略戦に参加した兵士たちの日記を集めた小野賢二さんです。小野さんは、歴史の専門家でもない「化学労働者」です。小野さんは、会津若松で編成された「歩兵第65連隊」、「山砲兵第19連隊」の兵士たちの日記を集めました。その数31冊、うち26冊分はコピーで5冊は現物であり、立派な一次資料です。
これらの日記には、複数の人たちが、193