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アーサー・ランサムの世界へ

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子どもの頃から、イギリスの作家アーサー・ランサムが描く湖水地方などの冒険物語に心惹かれてきました。初めてランサムの本を読んだときから長い年月が経ち、もう一度その作品や世界について… もっと読む
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【読書】『世界の児童文学をめぐる旅』池田正孝

【読書】『世界の児童文学をめぐる旅』池田正孝

2020年10月に発行された最近の本です。著者は、文学とは違う専門(中小企業論)を大学で教えながら、ヨーロッパの児童文学の舞台をめぐって写真を撮り、日本各地でスライド上映会をしてきたという方。その積み重ねをもとに生まれたのがこの1冊です。

私がこれを読むことにしたのは、『ツバメ号とアマゾン号』など、アーサー・ランサム作品の主要な舞台であるイギリス湖水地方が取り上げられていたからです。

私は子ど

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アーサー・ランサム 現存する唯一と言われる音声テープ

アーサー・ランサム 現存する唯一と言われる音声テープ

子どもの頃夢中になって読んでいた、イギリスの作家アーサー・ランサムによる冒険物語。今でも水辺に行くと、ヨットに乗りたいという気持ちが湧いてきます。

ランサム・サーガと呼ばれる12冊の物語が出版されたのは1930-1940年代ですが、ランサムが亡くなったのは1967年。優れた児童文学に送られるカーネギー賞を受賞したほどの作家だったことを考えると、テレビのインタビューなどでランサムの映像が残っていて

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ベビーイコンタが気になる① ローライフレックスとアーサー・ランサムを繋ぐカメラ

ベビーイコンタが気になる① ローライフレックスとアーサー・ランサムを繋ぐカメラ

子どもの頃から親しんできた、イギリスの作家アーサー・ランサムによる冒険物語『ツバメ号とアマゾン号」シリーズ。「ランサム・サーガ」と呼ばれる12冊の最後の一冊では、物語が書かれた1930-40年代のフォールディングカメラ(蛇腹カメラ)が大きな役割を果たします。以前にそのことを書きました。

私は昔のフィルムカメラが好きですが、使っているのはローライ35 と二眼レフのローライフレックス。フォールディン

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アーサー・ランサムとクラシックカメラ(2)蛇腹の世界

アーサー・ランサムとクラシックカメラ(2)蛇腹の世界

この記事は、下記「アーサー・ランサムとクラシックカメラ、そして思わぬ発見」の続きです。

イギリス湖水地方などを舞台にした子供たちの冒険物語で知られる、作家のアーサー・ランサム。発行されたシリーズ全12巻の最後となる作品で重要な役割を果たすのが、カメラです。昔からのランサム・ファンで、ローライなどのフィルムカメラ好きでもある自分が、素人なりにランサムの作品とカメラについて調べるうちに偶然翻訳の間違

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アーサー・ランサムとクラシックカメラ、そして思わぬ発見

アーサー・ランサムとクラシックカメラ、そして思わぬ発見

Audible(オーディブル)で少しずつ聴いていた、イギリスの児童文学者アーサー・ランサムの『Great Northern?』(日本語版の題は「シロクマ号となぞの鳥」)。ようやく最後まで行き着きました。途中少し間が空くこともあったりして、朗読で10時間ほどの作品に3か月ほどかかりました。

子供の頃に岩波書店の分厚いハードカバー版を何度も読んでいるはずですが、やはり内容は忘れるものですね。英語が聞

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【読書】雑誌『Coyote』のアーサー・ランサム特集

【読書】雑誌『Coyote』のアーサー・ランサム特集

これまでに何度か取り上げてきた雑誌『Coyote』。自分がもう何年も雑誌をほとんど読まなくなっている中で、毎号テーマを確認し、最近の「星野道夫特集」のように興味があるものは購入するということを続けているのはこの雑誌ぐらいです。

そんな『Coyote』が、ずいぶん前になりますが2010年に発行したNo.46で、ひっそりとイギリスの児童文学作家アーサー・ランサムのことを35ページほどの特集として取り

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アーサー・ランサムとオーディオブック

アーサー・ランサムとオーディオブック

うちに、かなり年季の入ったiPodがあります。いつ買ったのか正確には覚えていませんが、十数年前のものです。

PCにつないでもiTunesに同期させることができません。何年も前にApple Storeに持って行ってみてもらったことがありますが、「ずいぶんと昔のモデルだから、もう無理みたいですね」と担当の方も何もできずに終わりました。

もともとはiTunesにも入れていたはずのコンテンツが、どうい

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アーサー・ランサムの名前が登場する本

子どもの頃から今に至るまで、大きな影響を受け続けているアーサー・ランサムの12冊の本。読み始めたきっかけは、ほんの偶然でした。子どもの頃、近所の図書館で棚に置かれている分厚い背表紙のハードカバーのシリーズ本を見て、どうしてかはわかりませんが1冊借りてみようと思ったのです。その近くには『ドリトル先生』や『ナルニア国物語』のハードカバー本もあったことを記憶していますが、なぜランサムの本を借りることにし

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【読書】『アーサー・ランサム』松下宏子

【読書】『アーサー・ランサム』松下宏子

『ツバメ号とアマゾン号』シリーズの作者として知られるアーサー・ランサム。その人物像や来歴を知りたいとき、日本語で読める本として『アーサー・ランサム自伝』とヒュー・ブローガン著『アーサー・ランサムの生涯』があります。どちらも分厚く、かなり読みごたえがある本です。

私もずいぶん前、学生の頃に読みました。でも、内容はもうほとんど覚えていません。このところ、今の自分の目線でもう一度ランサムの世界を味わっ

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アーサー・ランサムの世界へ

アーサー・ランサムの世界へ

イギリスの湖水地方を主な舞台としたアーサー・ランサムの冒険物語「ツバメ号とアマゾン号」シリーズ。ジョン、スーザン、ナンシー、ペギーといった子どもたちが主役の、“ランサム・サーガ”と呼ばれる12冊の作品が、子どもの頃から大好きでした。日本はアーサー・ランサム作品の人気がとりわけ高い国らしく、近年も岩波文庫から文庫版の新訳版が出版されています。

私が子ども時代に読んだのは、分厚いハードカバー版です。

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