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ふむふむ・エブリデイ

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時に世を救うのは、お腹を満たさないものだと思う。本とか映画、音楽など好きなものの記録。考察とか難しいことはできない。本当にただの感想文
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アラスカを想像して、腕時計をそっと外す 【#読書の秋2022】

アラスカを想像して、腕時計をそっと外す 【#読書の秋2022】

わたしの日常といったら、本当に冴えないものである。

毎日時間が来たら会社へ行き、1日中パソコンの画面と向き合う。皆の様子を窺いながら、時間になればお昼休憩をとる。お昼休憩が終わったら、銀行の窓口が閉まる15時ごろまでに両替に行く。常に空調が効いてブラインドが下がった部屋の中は、暑いのか寒いのかもわからない。スイッチを切らない限り、LEDの煌々とした人工的な光のもとで働いているので、太陽がいつ沈む

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うまく生きることができなくても、いいんじゃないかな

自分の人生、全然進んでいないんじゃないのか。

時々、そう思ってしまう。決まって仕事終わり、くたくたになった夜だ。考えることがなくなった、夜だ。

これがあふれ出てしまうと良くないことがわかっているから、あわててその気持ちに蓋をしようとするのだけど、疲れがたまっているとうまく蓋ができない。

そんな時に少しでも自分をごまかしたり、なだめたりするために入るのが、コンビニだ。

わたしは夜のコンビニが

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いい子じゃなくてもいいんだ

いい子じゃなくてもいいんだ

今日嫌なことがあった。
誰かに愚痴を言いたい。
共感してほしい。

相談した。
幼い頃の相談相手は親しかいなかった。

「そんなんあんたが悪いねんやろ」というのが、いつも返ってくる答えだった。

あぁ、そうか、集団でうまくできないわたしが悪いのか、と思った。

勉強も運動も飛び抜けたものがなく、最後から数えたほうが早いわたしが悪いのか、と。

なぜか、女子のコミュニケーションのなかのいざこざでやっ

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めがねとスカイブルー

めがねとスカイブルー

スカイブルー、って誰がいいはじめたんやろう

眩しくて目を閉じても、その空の青がまぶたの上から透ける。そんなよく晴れた日、わたしは『めがね』という映画を家で見ていた。

きた

という合図とともに、サクラさんが荷物ひとつで颯爽と空港に降り立ち、真っ白な砂浜を歩く。そして、タエコがある海辺の一軒宿「ハマダ」に到着するところから、物語はゆっくりうごいていく。

いや、うごいているのではなく、この映画を

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ありったけの好きをここに詰めたい#わたしの本棚

ありったけの好きをここに詰めたい#わたしの本棚

微熱さんのこちらのnoteを拝見しまして、面白そうだな、と思ったので、晒してみようと思います。

①本棚のこと漫画系一応漫画ゾーン、読んだ本ゾーン、読んでない本ゾーンに分けているけれど、割と気分で読みたい本を決めているので、あまり境界がなくなってきています。結構カオスな感じです。しかも、テーブルの下にも、すぐ読めるように本が平積みされています。うちの本たちはとても自由奔放です。(いや、整理整頓でき

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落ち込んでいる人へ贈りたい本#本棚

「今、人生のどん底だ」っていうぐらい、落ち込んだり傷ついたりしている人が目の前にいたら、この小説と甘いお菓子をそっと渡してあげたい。

お菓子は何がいいだろう、そうだ、カステラがいい。カステラは消化にいいし、栄養価も高いから、きっと食べたら元気が出ると思う。

けれどその人は今、そんな気分じゃないだろう。もしかしたら、渡しても嫌がられてしまうかもしれない。

小説とか読まないから。
カステラとか要

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雲隠れの月夜

雲隠れの月夜

中秋の名月。穏やかな夜を過ごしている。月は雲隠れして、その姿は残念ながら見えない。けれど、雲と雲の間からぼおっとした虹のようなひかりが漏れているので、あそこに月がおるんやなあ、というのがすぐにわかる。

遅めの晩御飯を済ませたあと、うさぎの型が抜かれた、まあるい月見まんじゅうをひとつ、スーパーで買って食べた。78円。ポップにはお月見セール!!と書いていたので普段はもっと高いのだろうか、それともそう

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小さなわたしときんぎょの夢

小さなわたしときんぎょの夢

※ネガティブな記事となっています。以下自己責任でお読みください。でも関取花ちゃんの『きんぎょの夢』はとても素敵な曲です。※

◇◇◇

人間の身体の60%〜70%が水でできているように、思い出や記憶もそうだと思う。良い記憶が70%ぐらいあれば、何かあってもまた良いことが起こるだろう、と考えられそうだし、悪い記憶が70%ぐらいあれば、何かまた悪いことが起こるんじゃないか、と考えてしまう。

雨の日や

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あぁやさしくしたい、されたい

あぁやさしくしたい、されたい

今週はクーラーが壊れているんじゃないかと錯覚するほどの暑さや、いつもよりずんと重い生理痛や、休み前に流れ込む仕事の書類たちにズブズブ埋もれて、手を地上に出すので精一杯だった。たすけて、という相手もおらず、誰も引っ張り上げてくれないので、自力でぜえぜえ言いながら、そこから必死の思いで這い出したときにはもう体力が残っておらず、そのまま寝てしまい朝を迎える、という生活が続いた。

くたくたに疲れていると

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「仕方ない」で終わらせられなくて、エアコン掃除を終わらせた

「仕方ない」で終わらせられなくて、エアコン掃除を終わらせた

あああ、また雨。

小雨ならまだかわいい。
けれど残念なことにザアザアぶりの大雨だ。
ここで、はあ…とため息をひとつ。
そのなか出勤しないといけないということで、またため息をひとつ。
幸せはすでに2つ、ひらひらと逃げる。



朝起きたら雨、というだけで、今日1日始まってもいないのに負けたような気がするのは、わたしだけじゃないと思う。

湿気のせいでもわもわにふくらんだ髪の毛、その割には化粧のり

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ボブという名の猫

ボブという名の猫

昨日は早めの晩御飯を食べながら、『ボブという名の猫〜幸せのハイタッチ』をNetflixで観た。(この日のメニューは餃子、厚揚げの炊いたん、中華風カニカマサラダ、途中で油揚げのネギ味噌焼きを追加した)

ジェームズはミュージシャンを夢見つつ、麻薬依存からもなかなか抜け出せず、日々を暮らしている。そんな中、1匹の野良猫の「ボブ」が迷い込んできた。ボブを飼うことになったジェームズは、ベティやヴァルに支え

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エア・ひとり旅

エア・ひとり旅

じつをいうと、わたしは旅行をするのが得意ではない。それは準備にとても時間がかかる、変に心配性で荷物が重くなる、枕が変わると眠れない、団体行動が苦手など、ジコチュウなどうしようもない理由からだ。家族だとまだ理解してくれるところもあるのでいいけれど、他ではそうもいかない。ひとりで勝手に気を遣い、ひとりで勝手に疲れてしまうのである。気を遣うのであればひとりで行けばいいじゃん、と言われそうだけど、そういう

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わたし、、、

わたし、、、

幼い頃から、両親や周りの人に、「あなたは恵まれているのよ」と言われて育った。
確かに間違いではないと思う。
お金持ちではなかったけれど、それなりに教育を受けさせてもらえたし、衣食住に不自由せずに育ったと思う。
けれどもなんだろう、「恵まれている」という言葉に、正直時々苦しめられる時がある。
見る人から見たら、わがままなのだと思う。
贅沢なのだと思う。
恵まれているのに、苦しむなんて。
けれど、ある

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さようなら、おかえり 【#本棚】

さようなら、おかえり 【#本棚】

お葬式の夢を見た。

まわりがてきぱきとテーブルを並べたり、お寿司を準備している中、わたしは喪服を着て、肩をふるわせながら涙が流れるままに泣いていた。

どうしてもっとやさしくしてあげられなかったんだろう。
どうしてもっと娘らしいことをしてあげられなかったんだろう。

わたしは何もしてあげられなかった。

本当の意味で本当にその人が居なくなってから、わたしはずっとそのことばかりをぐるぐる考えていて

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