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或る若者の思索

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私が日常生活の中で感じた何気ないことを、日記よりちょっとだけ推敲して書いてます。
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#電車

私は二度、旅に出る

私は二度、旅に出る

 若いうちは無茶な行程の旅路でも意外となんとかなるものだ。片道8時間かかる各駅停車での移動だって、ネカフェでの雑魚寝宿泊だって、市街散策で交通機関を使わずひたすら歩き続けることだって、体力と気力があればそんなの苦でもない。移動だけで潰れる一日も、安く済ませるためには仕方がない。シャワールームと身体を横にするスペースさえあればホテルもネカフェもさして変わらない。おまけに深夜バスなら宿泊と移動が同時に

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満員電車の所有欲

満員電車の所有欲

 満員電車に乗り始めて今年で7年目になる。毎朝毎夕こんな現代の奴隷船みたいな乗り物に詰め込まれていることが、7年のキャリアを積み重ねた今でも阿呆らしい。実に罪深い、早くなんとかしてほしい。
 満員電車に乗り始めた当初は「何が大量輸送だ、いいから早く目的地に着いてくれ」と崇拝もしていない神様に毎朝必死に嘆願していたものだ。
 しかし5年も6年もこれに乗っていると、悲しいことにこの過酷な環境に慣れてし

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三途の川の渡し賃くらいチャージしておけ

三途の川の渡し賃くらいチャージしておけ

 私の交通系電子マネーカードには、常にわずかな金額しか入っていない。死の間際、信玄袋の中に小石や聖書などしか持っていなかったという田中正造くらい、ポッケナイナイである。
 「どうせすぐ使って無くなるんだから、多めにチャージしとけばええやん」とよく言われる。
 確かに。鉄道大正義社会に住んでいるので、それなりの金額をチャージしたとしても、確実に数日でなくなると私も思うし、何より駅の改札前でまごつくこ

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敢えて乗らなかった

敢えて乗らなかった

 3番線の列車の到着を待つ後ろで、4番線の列車が発車して行った。乗り損ねたのではなくて、敢えて後発の列車に乗る。変な話じゃないだろ?どうせ、行き先は同じなんだし、7分急いだところで世界が救えるわけでもないし。

 思えば私の人生もずっとそんな感じだ。

 駅のホームに立ってさえいれば、列車は東西南北からひっきりなしにやってくる。その列車たちの行先はどれも同じ、だけれどそれぞれ経由地が異なる。陰惨な

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流星都市発

流星都市発

シンギュラリティ(技術的特異点)でも起きて、とっとと労働から解放されたいと願わんばかりの日々。早く河川敷の土手で釣りをして短歌を詠むだけの太公望みたいな生活がしたい。おちおち2045年まで待ってなどいられん。

 2045年というと私は所謂アラフィフと呼ばれる齢になっているが、果たして世界はどうなっているのだろうか。新型コロナはおよそ350波目くらいだろうか(そこまで行くともはや新型ではない気が

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あの急行列車をもう一度

あの急行列車をもう一度

 少しでも職場に情けをかけると間に合わない、18時12分発の急行列車。この電車に乗るためには、定時とほぼ同時に職場を抜け出さなければならない。

 会社から最寄り駅まで、自転車で約8分を要する。だがこれはあくまで理論上の"最速の"時間。そこに不確定要素である信号機が3か所、さらに天候や通行量といった乱数が加わってくるので、駅までの所用時間は日々細かく変化するのだ。

 今日はすんでのところで、急行

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ちょっと無理をして

ちょっと無理をして

 人は皆、その程度に大小あれど、絶対に「無理をしている」と思うんですよ。希死念慮を抑えながら学校に行っている子供だって居るし、生活のため社会の畜生と化したオトナもいる。
 私が嘆きたいのは、そんな無理をしてまで頑張らなくても(😭)ということではなく、無理をしなければ生きられないということである。

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 転職活動をしたとき、私はかなり"無理を"していた。言うまでもないが、就活生側はまるで地を這

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