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或る若者の思索

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私が日常生活の中で感じた何気ないことを、日記よりちょっとだけ推敲して書いてます。
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#社会人

ハイ・ヌーンは邪魔させない

ハイ・ヌーンは邪魔させない

 ある日の昼時、働いているのが逆に失礼なくらいの雲一つない空が広がっている。こんな空の下で、誰が私に働けと命じているのだろう、まったく不躾なやつだ、と思いながらも颯爽と車を走らせていた。社用携帯は11時を過ぎたころからめっきり鳴らないが、カーステレオは陽気なナンバーを鳴らしている。12時の5分前を告げるDJの高らかな声を合図に、車はややスピードを落とした。

 国道沿いのラーメン屋の駐車場に車をと

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ガチで孤独のグルメ

ガチで孤独のグルメ

 私が勤めている会社の昼休みは、正午になった途端、フロアの約半数の明かりが落とされて(節電のため?)、少々薄暗くなったところからスタートする。

 お昼時のフロアには、少ない時で5人ほど、多い時は10人ほどの人がいる。が、お昼休みにフロア内で会話が交わされることはまずない。みな自分の席で黙々とご飯を食べる。よくドラマなんかで、オフィスビル内のフードコートのような場所でOLたちが井戸端会議をしながら

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流星都市発

流星都市発

シンギュラリティ(技術的特異点)でも起きて、とっとと労働から解放されたいと願わんばかりの日々。早く河川敷の土手で釣りをして短歌を詠むだけの太公望みたいな生活がしたい。おちおち2045年まで待ってなどいられん。

 2045年というと私は所謂アラフィフと呼ばれる齢になっているが、果たして世界はどうなっているのだろうか。新型コロナはおよそ350波目くらいだろうか(そこまで行くともはや新型ではない気が

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雑記①

雑記①

 今日撮った写真が一枚もないことに気づく。写真に残したいと思えるような景色に遭遇できなかったこと、そもそも写真を撮るような暇がなかったことに、労働日の虚しさたるものを感じてしまう。モノクロームな憂鬱に徒然としてしまっている!

 ふいに切り取られて然るべき風景が、無機質で単調な労働日の中に存在するわけなかろう。冷房をフル稼働させながら換気している無意味極まりないこの部屋の気持ちを考えたことはあるか

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笑うドッペルゲンガー

笑うドッペルゲンガー

 転職して早1ヶ月が経った。

 海に集団で身投げするレミングの群れのごとく、自分のひとつ下の世代の子たちが新たに社会の荒波に漕ぎだしていったのを見送ったのも束の間、私も少し遅れて後を追うことになったのだが...。まぁ、タイタニック号に乗りこんだつもりでどーんと行こうや。

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 調子は心身ともにすこぶる良い。朝に弱い私ではあったが、"やるならやらねば"の精神が体に染みついた今では、勝手に目が

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