空ノ彼方

読む、書く(それも手書き)、どちらも大好きな「活字大好き人間」。FMラジオをかけっ放し…

空ノ彼方

読む、書く(それも手書き)、どちらも大好きな「活字大好き人間」。FMラジオをかけっ放しで日なが一日、本(活字)を読んだり、手紙や日記、雑感などを書いたりしていればゴキゲン、です。

記事一覧

内なる声、身体からの声に従う

 私は、その場に過剰適応することで生き延びてきた。自分の正直な思い、湧き上がる感情に蓋をして。それがフツー、当たり前になればなるほど、生々しい感情は麻痺して行っ…

空ノ彼方
6日前

やっぱり「一年単位」か

 末期がんを宣告された夫が目の前で息を引き取って逝った瞬間、私は「自分も後は死ぬだけ」と思った。以後、その思いを携えたまま暮らしている。が、何度も書いている通り…

空ノ彼方
13日前
1

自分の好み、こだわり、傾向

 名前だけ知っていたカフェの前を通りかかった。開店直前、もう数人が待っていた。私もその列に並んだ。  中に案内され着席。想像以上に小さな店だった。予約済の席もあ…

空ノ彼方
2週間前
2

互いの足を踏み付けながら

 私の“毒”両親は「仮面夫婦」だった。そして、私たち家族は「仮面家族」。  休日は、家族でお出かけする仲良し家族。平日は、一家の大黒柱として真面目に働くサラリー…

空ノ彼方
3週間前
2

頭の中の言葉、口に出す言葉

 私は「言葉の(出るのが)遅い子」だったらしい。ある時、女親が言っていた。  「遅い」と言うからには当然、何かと比較してであり、それは標準、平均、フツー、あるいは…

空ノ彼方
1か月前

「一般化」されてしまった

 何年も前のことになるのだが、あるヒトに悩み相談をした。そのヒトを「話を聴けるヒト」と感じ、とても尊敬していたから。  けれども、私の話を聞いてそのヒトは「あな…

空ノ彼方
1か月前

スコア(総譜)を読みながら

 図書館の楽譜コーナーに行ってみた。数多(あまた)あるクラシック音楽の楽譜を眺めている内に、お気に入りの曲を、スコア(総譜)を読みながら聴きたくなった。早速借りた。…

空ノ彼方
1か月前

その時の最善

 自分の育った家庭が「機能不全家庭」と知った時、ホッとした。それまで抱いていた生きにくさ(辛さ)の説明がついた気がしたからである。ほぼ同じ頃「その時はその時で(そ…

空ノ彼方
1か月前
2

素朴な思い

 ふと思い立って、いつも行っている小さな図書館ではなく、大きい図書館へ足を運んでみた。当然のことながら、おびただしい数の本! だった。  文庫本の書架を隅から隅ま…

空ノ彼方
2か月前

ゼロサムゲーム・透明な象

 「ゼロサムゲーム」。参加者全員の得点の和(サム)が常にゼロである得点方式のゲーム。一方が得点するとその分、他方の持ち点が減るので、全部の持ち点の総和はゼロになる…

空ノ彼方
2か月前
10

かもしれない ・ なんでもない・なんとかなる

 「他人だけでなく自分に対しても、ネガティブワードは使わないようにする。使うと自己肯定感が減るから。」そのような趣旨の文をnetで目にした。  自己肯定感の低さを自…

空ノ彼方
2か月前

今でなくても……。

 ひと頃「いつやるか? 今でしょ」なるフレーズが流行った。当時の私は「なるほど、そうだよなぁ」と思い、これで自分を鼓舞して暮らしていたような気がする。  それに引…

空ノ彼方
2か月前

その日のまえに

 最近よく読むようになった、重松 清の作品。どの作品も、私は泣きながら読んでしまう。いじめ、吃音、親子のすれ違いetc. 。その生々しさに、泣かずにはいられない。それ…

空ノ彼方
3か月前

本の世界へ

 無性に、ミヒャエル・エンデの「モモ」を読み返したくなり、図書館の児童書コーナーに直行した。  あえて大きい、ハードカバーのを借りた。一緒に、少年文庫になってい…

空ノ彼方
3か月前
3

豊かな甘々(あまあま)

 お互い忙しく、なかなか会えずにいた友人に、やっと会う機会が与えられた。  彼女は東日本大震災の時、東北地方で暮らしていた。玄関先まで津波が来たと、当時語ってい…

空ノ彼方
3か月前

疲れたら休めばいい(のに)

 以前、ヨシタケシンスケ氏の絵本絡みで「疲れたら休めばいい」というようなことを書いた(と思う)。  書いたはずなのに、疲れている自分に鞭打っている自分が、いた。又…

空ノ彼方
3か月前
3

内なる声、身体からの声に従う

 私は、その場に過剰適応することで生き延びてきた。自分の正直な思い、湧き上がる感情に蓋をして。それがフツー、当たり前になればなるほど、生々しい感情は麻痺して行った。そうとは気づかないまま、気づけないまま。
 結局、心身に不調を来すようになって初めて、それを自覚した。
 以後、自分の内なる声、身体からの声に、耳を傾ける努力を重ねた。初めのうちは全く分からなかった。内なる声、身体からの声なるものがどう

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やっぱり「一年単位」か

 末期がんを宣告された夫が目の前で息を引き取って逝った瞬間、私は「自分も後は死ぬだけ」と思った。以後、その思いを携えたまま暮らしている。が、何度も書いている通り、終活、身辺整理の進み具合は、何とも遅い。
 後は死ぬだけとの思いと、今はまだ死ねない、死にたくない、こうした思いが常にせめぎ合っている。子どももおらず、親戚付き合いもせず、亡夫と二人、肩を寄せ合って暮らして来た結果、正真正銘の「おひとり様

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自分の好み、こだわり、傾向

 名前だけ知っていたカフェの前を通りかかった。開店直前、もう数人が待っていた。私もその列に並んだ。
 中に案内され着席。想像以上に小さな店だった。予約済の席もあり、開店からほどなくして、ほぼ満席となった。メニューを眺めながら、なかなかの値段、私の懐具合では、リーズナブルとは言えないなと、内心思った。
 オーダーを済ませ待つ間、違和感を覚えた。あれっ、なんだろう。厳密に言えばそれは、居心地の悪さ。小

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互いの足を踏み付けながら

 私の“毒”両親は「仮面夫婦」だった。そして、私たち家族は「仮面家族」。
 休日は、家族でお出かけする仲良し家族。平日は、一家の大黒柱として真面目に働くサラリーマン、パートタイムで働き、亭主関白の夫に仕え、子育て、家事もこなす主婦、親や教師(=大人たち)の言うことをよく聞き、家の手伝いもし、勉強もそれなりに出来る子ども、を、それぞれが演じていた。
 成長するに連れ、そうした状況、雰囲気、関係に、私

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頭の中の言葉、口に出す言葉

 私は「言葉の(出るのが)遅い子」だったらしい。ある時、女親が言っていた。
 「遅い」と言うからには当然、何かと比較してであり、それは標準、平均、フツー、あるいは周囲の子どもたち。生まれた瞬間(それ以前?)からヒトは、かくも「比較」の只中に在るのか……。
 それはさておき、結果的には、ある日突然、洪水のように言葉が出て来たそうだ。それでも「お喋りさん」にはならなかったようで、これも女親から「何を考

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「一般化」されてしまった

 何年も前のことになるのだが、あるヒトに悩み相談をした。そのヒトを「話を聴けるヒト」と感じ、とても尊敬していたから。
 けれども、私の話を聞いてそのヒトは「あなただけではないから……。」と「私の悩み」を、いとも簡単に「一般化」してしまった。最大限の善意で解釈するとしたら、私を励ますつもりだったのだろう、となるのだろうが、とんでもないことである。とてもそうは捉えられなかった。むしろ「あなただけではな

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スコア(総譜)を読みながら

 図書館の楽譜コーナーに行ってみた。数多(あまた)あるクラシック音楽の楽譜を眺めている内に、お気に入りの曲を、スコア(総譜)を読みながら聴きたくなった。早速借りた。
 借りたはいいが、自分の読譜が演奏について行かれるか、不安になった。そういうこと(読譜)からは、ずいぶん遠ざかっていたので。
 ええぃままょ!とスコアを開き、曲を流した。案の定、落ちた(どこを演奏しているのか、分からなくなった)部分も

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その時の最善

 自分の育った家庭が「機能不全家庭」と知った時、ホッとした。それまで抱いていた生きにくさ(辛さ)の説明がついた気がしたからである。ほぼ同じ頃「その時はその時で(その行動を取ったのは)仕方がなかった。ヒトは無意識の中で『その時の最善』を選んでいる。後悔したり、あれで良かったのかと思ったりするのは、そこから成長した証。」この言葉に出逢った。ますますホッとした。以来、この言葉を胸に自分を励まし、鼓舞して

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素朴な思い

 ふと思い立って、いつも行っている小さな図書館ではなく、大きい図書館へ足を運んでみた。当然のことながら、おびただしい数の本! だった。
 文庫本の書架を隅から隅まで眺めた。洋の東西を問わず、知っている作家、既に読んだ作品も勿論あった。が、これも当然のことながら、未知の作家、未読の作品の方が多かった。ホント、そんなのは当然、なのだが。
 すると突然、ここにある本を読み尽くすことなく自分の寿命は尽きる

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ゼロサムゲーム・透明な象

 「ゼロサムゲーム」。参加者全員の得点の和(サム)が常にゼロである得点方式のゲーム。一方が得点するとその分、他方の持ち点が減るので、全部の持ち点の総和はゼロになるというゲーム理論(kotobank.jpより)。

 毒親で、多分に自己愛性パーソナリティ障害的傾向が強く、私(娘)が密かに「天動 説男(てんどう せつお)」と呼んでいた男親は、自分の家庭にこのゼロサムゲームを持ち込み、勝者はいつも自分で

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かもしれない ・ なんでもない・なんとかなる

 「他人だけでなく自分に対しても、ネガティブワードは使わないようにする。使うと自己肯定感が減るから。」そのような趣旨の文をnetで目にした。
 自己肯定感の低さを自覚している私にとって、納得できる言葉だった。

 気が付くと自分を厳しくジャッジメントし、ダメ出しばかり。それが日常だった。自分の言葉が自分を創る。自分に影響を与えるのは、他人から浴びせかけられる言葉ばかりではない。こんな当たり前も分か

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今でなくても……。

 ひと頃「いつやるか? 今でしょ」なるフレーズが流行った。当時の私は「なるほど、そうだよなぁ」と思い、これで自分を鼓舞して暮らしていたような気がする。
 それに引っ掛けて、今は「いつ買うか? 別に今じゃなくても大丈夫でしょう??」と、自分に問い掛けながらの暮らしを心掛けている。
 それまでの私は、モノが無いとたちまち不安になるヒト、だった。多分に、買い物依存状態に陥っていたのだろう。更には、期間限

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その日のまえに

 最近よく読むようになった、重松 清の作品。どの作品も、私は泣きながら読んでしまう。いじめ、吃音、親子のすれ違いetc. 。その生々しさに、泣かずにはいられない。それらがリアルであればあるほど、作者の思い(想い)、エネルギーが迫ってくる。氏が、心を、命を削って、作品を生み出しているのが、ひしひしと伝わって来るように感じられてならない。

 「その日のまえに」も、氏の作品だった。文庫本の裏表紙に書か

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本の世界へ

 無性に、ミヒャエル・エンデの「モモ」を読み返したくなり、図書館の児童書コーナーに直行した。
 あえて大きい、ハードカバーのを借りた。一緒に、少年文庫になっている「はてしない物語」(上下) も借りた。

 漢字が読める者に、ルビは案外煩わしいものだと、少々驚きながら「モモ」を一気に読んだ。奥付けを見たら、この日本語訳は、ちょうど五十年前に出版されていた。五十年=半世紀前、であるが、表現、言い回し、

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豊かな甘々(あまあま)

 お互い忙しく、なかなか会えずにいた友人に、やっと会う機会が与えられた。
 彼女は東日本大震災の時、東北地方で暮らしていた。玄関先まで津波が来たと、当時語っていた。そして今、元日の地震、その後の状況に、自分の被災が思い出されて辛いと、話してくれた。

 ハッとした。一瞬、言葉を失った。

 そこまで想像できていなかった。今回の地震で、東日本大震災だけでなく、阪神大震災、熊本や新潟、北海道等、過去の

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疲れたら休めばいい(のに)

 以前、ヨシタケシンスケ氏の絵本絡みで「疲れたら休めばいい」というようなことを書いた(と思う)。
 書いたはずなのに、疲れている自分に鞭打っている自分が、いた。又しても「何やってんの?自分」だ。

 クリスマスからお正月にかけて、亡夫と過ごしたその日々が、どうしても思い出されてしまう。それは同時に、二人で年を越し、新しい年を迎えるのはこれが最後、来年は無いと、否応無しに思わされた日々でもあった。未

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