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【ラノベ研】タイトルに「都道府県」が付く作品と、「妹」が付く作品、どちらが多いと思う?|「国内の地名」が付くタイトルの研究(1)

ラノベタイトル先生!


 起立!気をつけ!礼!

 着席!


 さぁ、「ラノベタイトル先生」の時間だ♥





テーマ発表★


 「ラノベタイトル先生」は、今回で第5弾

 これまでのテーマを振り返ると……

第1弾:「妹」の研究(全6回)

第2弾:「姉」の研究(全4回)

第3弾:「引きこもり・無職・ニート」の研究(全3回)

第4弾:「ハローワーク・ヒキニート・ブラック企業・残業・過労死・有給」の研究(全2回)


 そして今回のテーマは……「国内の地名」

 「『国内の地名』が付くタイトル」を徹底研究しよう★


※注:「『国内の地名』が付くタイトル」とは、例えば以下のような作品を指します。


<特集全体の目次>


第1回(本記事):タイトルに「都道府県」が付く作品と、「妹」が付く作品、どちらが多いと思う?

第2回:「秋田県でも恋がしたい!」

第3回:「北海道」ラノベは(大体)Eat or Fight !!

第4回:「全47作★全ての都道府県を網羅したご当地ラノベシリーズ」っていかがでしょう?

第5回:ニンジャ v.s 絶世のブス……あなたはどちらがお好み?

第6回:大阪らしいラノベって何だ?

第7回:京都を舞台にしたラノベを執筆するあなたのためのパーフェクガイド★

第8回:「奈良」ラノベを志すあなたには、「京都」ラノベが参考になるかも

第9回:【総まとめ】「タイトルに『国内の地名』が付くラノベ」のススメ

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登場人物紹介

・清水:マスター・オブ・アニメ。年100作以上のアニメを見続けて20余年。ラノベにも造詣が深い。『アイドルマスター』シリーズで最も好きなのは、四条貴音

・三葉:清水とは中学からの友人。最近ハマっている曲は『苺ましまろ』の「いちごコンプリート」。わたしたちを許してあげなさい。

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研究開始★




三葉「それでは始めましょう!」

清水「よろしくお願いします」

三葉「今回は『国内の地名』ということで」

清水「ええ」

三葉「何を隠そう私、実在する場所を舞台にした作品が好きなんですよ」

清水「ふむ」

三葉「例えば『ロボットもの』。架空の土地で戦うよりも、実在の場所を舞台にした方が燃える/萌えると思うんですよね」

清水「ほぉ」

三葉「参考までに、京都を舞台にした『ロボットもの』を考えてみましょうか。せっかく京都を舞台にするわけですから……うん!ロボットを開発するにあたって、金閣寺の金が徴発されることにしましょう。ロボットの格納庫は清水寺かな。そして、参謀本部はやっぱり二条城でしょうね。作戦指揮官が二条城に呼び出されて、ぶつくさ言いながら八つ橋を食べるシーンがあったりしてね」

清水「ははぁ……」

三葉「上層部は京大出身者で占められていて、『京大以外に大学があるのかい?』なんて嫌味を言う。阪大出身の作戦指揮官は怒りをこらえて唇を噛む。『……いまのはちょっちムカついたかも』」

清水「『ちょっち』ですか……」

三葉「そして、京都が舞台で嫌味な連中ときたら、これはもう毎晩祇園でお座敷遊びをしているに決まっていますね」

清水「それは偏見では……」

三葉「上層部連中は、いざ敵襲となるとお気に入りの舞妓・芸妓を連れて逃げ出し、さらに祇園を丸ごとシェルターに移築しようとして作戦指揮官をイラつかせる」

清水「ふーむ……」

三葉「そして、お待たせしました!ここぞという時に飛び出すのが、琵琶湖を使った一大作戦!戦闘指揮官がロボットのパイロットに向かって『琵琶湖のすべての水、あなたに預けるわ』なんて言うんですよ!超カッコよい!」

清水「(『エヴァ』に似たようなシーンがあったような……)」

三葉「とまぁ、そんな具合です」

清水「なるほど」

三葉実在する場所を舞台にしたからこその味わいというか、おかしみというか……そういう面白さがあると思うんですよ。私はこういうのが好きでして」

清水「ふむふむ。ちょっとわかってきましたよ」

三葉「そしてこの延長線上に、『実在の地名を含むタイトル』があります。例えば私の大好きな映画『仁義なき戦い』の第2作のサブタイトルは『広島死闘編』……超クール!」


清水「なるほど」

三葉「そんなわけでね、今回は『国内の地名』が付くタイトルを見てみたいのです


まずは「都道府県」に注目★


三葉「ただね」

清水「ええ」

三葉『国内の地名』と言っても様々あるわけですよ。都道府県名はもちろん、市区町村名や、『東北地方』『関東地方』なんてエリア名だって『地名』ですよね」

清水「ふむ」

三葉「で、これらすべてをまとめて扱うのは難しい。『都道府県名』と『市区町村名』では種類が違うし、そもそも数が多すぎる」

清水「確かにゴチャゴチャしそうですね」

三葉「ということで、まずは『都道府県』に注目したいと思うのです」

清水「承知しました」


「都道府県」が付くタイトルの刊行数と、ラノベ全体に占める割合


清水「さて、『都道府県』の付くタイトルですが……」

三葉「ええ。まずは全ラノベ中、『都道府県』の付くタイトルがどれだけあるのか見てみましょう」



清水「なるほど」

三葉「ただまぁ、326冊と言われても多いんだか少ないんだかさっぱりだと思いますので……」

清水「そうですね」

三葉私たちが過去研究した単語と比較してみましょう



清水「へぇ!『妹』が付くタイトルより多いんですね

三葉「『ラノベ全体の0.82%』と聞くと、『1%もないのか……少なすぎない?』という気がしますが……」

清水「ええ。『妹』よりも多いとなると、『そこそこあるんだな』と感じますね」


「都道府県」が付くタイトルの刊行数の推移


三葉「続いて、刊行数の推移を見てみましょう」

清水「ふむ」

三葉ラノベ44年間の歴史の中で、『都道府県』が付くタイトルの数はどのように変化してきたのか、グラフに整理したのですが……」

清水「ええ」

三葉「なかなかどうして興味深い結果なんですよ、これが!」



三葉「お気づきになりましたでしょうか?ご注目いただきたいのは、2000年頃に急増加して、その後急激に減少する……この変化!

清水「ほぉ」

三葉「続いて、比較のために、ラノベ全体の刊行数の推移を見てみましょう」



清水ほぼ一直線に増加を続けているんですね

三葉「そう!」

清水「ふむ」

三葉「そして、いまご覧いただいた2つのグラフをくっつけると……



清水「あー、なるほど!ラノベ』と比べて、『都道府県』タイトルの2000年頃の動きがおかしいというわけですね」

三葉「そうなんですよ。98年以前、そして11年以降は、概ね『ラノベ』の動きに沿っていると言えるでしょう。ところが、99年から10年までの動きは……変!

清水「ふむ」

三葉「この『<都道府県>タイトルブーム』とでも呼ぶべき異常な増加は何事か!……でね」

清水「ええ」

三葉「アレコレ考えてみたんですよ。そして1つ気づいたことがありまして」

清水「ほぉ。伺いましょう」

三葉『都道府県』タイトルがメチャクチャ増えていた99年~05年の6年の間に、タイトルに『都道府県』が付く作品は121冊刊行されています。で、その121冊の内訳を見ると……



三葉「なんと、『東京S黄尾探偵団』シリーズ、『東京ANGEL』シリーズ、『東京タブロイド』シリーズ、そして『京都探偵局』シリーズ……この4シリーズだけで全体の7割を占めているんですよ!121冊中85冊!


※注:サムネの画像を見ると、なんとなく作品の雰囲気がつかめるかと思います。ざっとご覧ください。


三葉「さらに、この4シリーズの刊行時期を整理してみました」



三葉「お気づきでしょうか?……そう!これら人気シリーズの刊行が99~05年に集中しているんですよ!

清水「例えば『東京S黄尾探偵団』シリーズを見ると……おお!シリーズ全28冊のすべてがこの時期に刊行されているんですね!

三葉「そう!」

清水「同様に『東京ANGEL』シリーズは25冊中17冊、『東京タブロイド』シリーズは20冊中19冊、『京都探偵局』シリーズは12冊すべてが、この時期に集中しているのか」

三葉「その通り!」

清水「なるほど」

三葉「つまり、結論としては、

・『都道府県』タイトルは、概ねラノベ全体と同程度のスピードで増加傾向にある

ここ数年は毎年20冊程度刊行されている。

99~05年頃、刊行数がイレギュラーに増加していた。これは、長編シリーズの刊行がこの時期に集中していたためである。

一方、06~10年以降の減少は、99~05年の反動と思われる。すなわち、①長編シリーズが完結し、かつ、②これら長編シリーズとの差別化を図るために『都道府県』タイトルが避けられていたのではないだろうか。

・また、昨今の『地域活性・地方振興』への関心の高まりも『都道府県』タイトルの増加を後押ししていると考えられる。

 ……ということになります」


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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(分析:清水、三葉 / 文、イラスト:三葉)

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