ワン・ツー・ジャンゴ

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休みが欲しい

嫌な汗をかきながら、ハードカバーの本を四冊抱え、膨大な量の書籍に囲まれている。本を買った、買って良かったのか? エスカレーターに運ばれながら頭の中で、文字にならない、私の呼吸を浅くさせる何かを考え続けている。今日の天気はおそらく電車内のポカリスウェットの広告の効果が最大限に発揮されると思しい、爽やかな晴天だ。雲の配置があまりに完璧で、まるで絵に描いたような、人を追い詰める青空だった。 太陽に照らされて顔面の皮膚が固まったように動かない。朝がすみのような薄い嘆息、回数の足りて

    • 神様になりたくて

      無理をしている、とひとに言われるとなんだか自分のキャパを超えたことをしている気がしてきて、そんな心の変化に伴って筋肉が、骨の動きが緩慢になり、瞼が落ち睫毛が影を作る。ブラウンがかった黒髪が太陽を吸っている。つむじは燃えるように熱いのに頭蓋骨の中身は日の沈んだ後の海のように冷たくてなんだか生焼けの肉になってしまったみたいだ、なんて考えながら28mgのタールを煙に乗せて肺に入れることなく大気へ放出する。あ、サングラス忘れた。 今思うとカナダでの人間関係はヘルシーだった。世界中ど

      • イッヒ・リーべ・ディッヒ、フランク

        すっかり気温が上がって空気が緩く、やわらかくなったように感じられる。斜陽が駅前のロータリーをとっぷりとガソリン色に染め、行きかう日本人が例外なく共通に持ち合わせているダークブラウンの瞳が懸命に陽光を吸収し薄目の中から漏れ出る金色が優しかった。駅までの通り道の桜並木の花びらたちは月曜日の風にさらわれて公園の地面を埋め尽くしている。だぼついたフーディーに身を包んだ青年たちのスケートボードが固い地面を蹴って、地面に伏して眠りかけていた桜たちに再び命の息吹を与えていた。電車の混雑を嘆

        • 【和訳】 Ulysses and the Sea (Papooz)

          In an endless sea with you 果てしない海で君と Sailing under the rain 雨に打たれながら漂っている The only colour of my blues 私の憂鬱の唯一の色は Is made of dust and sand 埃と砂でできている Driftin' ドリフティン It's every day the same いつも同じ Clouds pass me by 雲は私を通りずぎて And I'm bou

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        • 日記
          19本
        • 和訳
          3本

        記事

          マジックマッシュルーム

          午後一時にシャワーを浴びるのがいい。十二時でも、二時でもいけない。それは必ず午後一時でなくてはならない。 私の家のシャワールームはとびっきり白くて大きい、というか細長くできている、ボーリングができてしまうかもしれない。私がこの家に引越しを決めたのもこのシャワールームが気に入ったからに他ならない。ドアを開けるとあなたは細長い長方形の短い辺のほうに立つことになる。少し薄暗いかもしれないが、電気をつけてはいけない。そこから一歩、二歩、三歩、四歩、五歩進んだちょうどボーリングのピン

          マジックマッシュルーム

          ジャンゴ、またの名を愛の伝道師

          ほんの気持ち欠け始めた大きな丸い月が見える、どこかの家から焼いた肉のにおいがする、耳元からBobby Vinton の Blue Velvet が流れている。 She wore blue velvet (彼女はブルーヴェルヴェットを身にまとっていた) Bluer than velvet was the night (夜よりも深い青) Softer than satin was the light (サテンよりもやわらかい光) From the stars (星たちから)

          ジャンゴ、またの名を愛の伝道師

          【和訳】End of Sequence (Waterstrider)

          I take a breath, I take the wind in 息を吸い、風を取り込み、 Counting my fears on every finger 指一本、一本で恐怖を数えながら I must confess I've been useless 私は役立たずであると告白せねばなるまい Wasting my years, Not getting younger 月日を無駄にし、若くはない I've fallen, Surrendered 挫折し、降伏し

          【和訳】End of Sequence (Waterstrider)

          記者の程度が低い時の適当言ってる麻生太郎

          道路が整備されているのだから、物理的に考えれば車とガソリンさえあれば今すぐにでも日本を縦断できるはずだ。空路が整備されているのだから飛行機とパイロットさえあれば世界中どこにだって行けるはずだ。簡単な話だ。しかし実際のところ、ビザの申請のための煩雑な手続き、高額な飛行機のチケット、明日の仕事、家族、ペット、宿泊先、旅先の治安、言語等、様々な要因が我々をこの地に引き留めている。 73パーセントの水分とタンパク質と骨で構成されている我々人体の構成物の割合は今も昔も変わらないだろう

          記者の程度が低い時の適当言ってる麻生太郎

          【和訳】Speaking of Happiness (Gloria Lynne)

          Speaking of happiness 幸せといえば You never thought of mine あなたは私のことを考えなかった Mentioning loneliness 孤独といえば I feel lonely all the time いつも感じていたわ Ever since you went away あなたがいなくなってから After swearing we would never part 互いに永遠を誓ったのに There was no

          【和訳】Speaking of Happiness (Gloria Lynne)

          愛するあなたと交換日記をしたい

          プラクティカルなものが傾向として好きだ。衣類、文具、道具、文章なんであれ機能美、実用美というものは実に理解がしやすいから好きだ。なぜそこに存在しているか明確な物質は私を安心させる。ただ、誤解をしないでほしいのは私は無駄排他主義者ではないということだ。無駄には無駄の美学がありそれは機能性、実用性とは別のジャンルだ。 村上春樹の文章は簡易で読んでいて気持ちがいい。彼の作品を初めてロシア語に訳した日本学者のドミトリイ・コワレーニン氏は、深い没入感について言及している。その感覚は村

          愛するあなたと交換日記をしたい

          【和訳】 Black Night (Cheryl Thompson)

          I wanna know if he's tired 彼は疲れているのかしら I wanna know if he's blue 彼は憂鬱なのかしら Oh how I miss his lovin' 彼の愛に焦がれて Ooh, what can I do? いったい何ができましょう Black night, Black night ブラック・ナイト ブラック・ナイト Black and so lonely and blue 黒、孤独、そして憂鬱 Heaping t

          【和訳】 Black Night (Cheryl Thompson)

          笑うな、誰もお前のことを好きでない 

          「欲しいなら取ればいいじゃん」と彼は言った。いや、はあ。その通りなんですが、それを「取った」後の煩悶だったり、相手方の都合だったり、そういうところは一切カットで一時的欲求を優先させよ、と。いや、でもそれでいいのか。というか、そんな簡単に「取る」ことができないかもしれないじゃないか。悶々。そもそも彼にとって人間なんていうものは程度の低いもので、彼の安寧だったりを揺らがすことのできるような存在ではなく、一過性の事象に過ぎないのでしょうが。 一緒に行く人によってカラオケの選曲を合

          笑うな、誰もお前のことを好きでない 

          減るようなものでもないので

          勢いよく行こうと思う。愚かな一日だった。そう、このまま何もしないとあと50分そこらで本当に愚かな一日で終わってしまう。だから、勢いよく行こうと思う。 帰宅の途、車庫に収まった車を見るたび、通り過ぎるたび、自身の愚かさが露呈していくように感じられ恥と怒りの感情がふつふつと内側から湧いてくる。今更もう時間は過ぎてしまったし、会計は済ませてしまった。時間もお金も返ってこないなら勢い良く通り過ぎるしかないのだ。そして最も救いがたいのは今日の午前中、明日にまた同じ過ちの種を先んじて予

          減るようなものでもないので

          ナポリピッツァ、サイコー!

          ピザをオーダーする際、「2倍」もしくは「増量」の選択肢があったならばノータイムでそちらを選択するべきである。許可など取る必要はない、即、倍プッシュだ! 私は退勤後、メイドインアビスを求めて近くのTSUTAYAへと誘われた。結果から言うとメイドインアビスはあった、しかし借りなかった。友人と電話をしていたのでブツブツとひとりで喋りながらメイドインアビスを探し求める様は非常に気色の悪いものだったと自負している。 この街からはどんどんとチェーン店が撤退している、モスバーガー、丸亀

          ナポリピッツァ、サイコー!

          やはり、私は四の五の言わずに自衛隊に入るべきである

          雨の冷たい1日だった。アノニマスの仮面が駐車場のフェンスにかかって濡れている。携帯ショップで虎のようなお母さんと熊のような図体の20代の男が携帯を契約しているのが窓越しに見える。携帯の料金をきちんと支払っている自身に安堵を覚える。4連休を必要以上にアクティブに過ごした反動で、そばかすのような赤い斑点が顔面に散っていた。16時間ぶっ通しで眠り鏡を見たが一晩そこらで消えるはずもなく、仕方なくファンデーションをブラシで伸ばした。 私は仕事柄、小学生と会話をする機会に多く恵まれてい

          やはり、私は四の五の言わずに自衛隊に入るべきである

          妹は私に語らない、笑わない

          長い、長い下方に傾斜するプラスチック製の管を水に押し流されて滑っていく。派手に着水、普段笑顔を見せない妹から笑いが漏れる。もう一度、ニ人で一緒にカンカンに熱された鉄製の階段に並ぶ。母親はパラソルから出ない、父親はこういう場所に来るのを嫌がった。電子機器に残らない記憶、心拍、あなたの笑い皺、私は覚えている。私は日焼けをすると肌が赤くなりすぐ剥けてしまうタイプだったが、あなたはそのエネルギーをじわっと肌に蓄えるタイプだった。セブンティーンアイスであなたはいつもチョコレートを選んだ

          妹は私に語らない、笑わない