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#7だから何度も言っているように、
私は後方支援に興味がない。
もちろん春陽のことを下に見ているわけではない。だけど、見たことのないものを誰より先に見たいと言う気持ちが抑えられないのだ。
ベガは先遣隊が探査し終わった星だ。その星に危険因子がないことを確認し、次に鉱石や植物などを調査して、有益な情報を持ち帰る。その調査の時点で私たち学生を駆り出し、探査の訓練も兼ねて人件費を削減しようという魂胆だ。
だから特に興奮したりせず、訓練
#6だから何度も言っているように、
僕が銃を打つことに意味なんかない。
そこに銃があって、引き金が引けて、的に当てられる能力があっただけだ。
この星にはあとどれぐらいの仲間が生きているんだろうか、
あれだけあった弾倉も今はもう一つだけだ。
この星にはあとどれくらいの敵がいるんだろうか。
鬱蒼とした森の奥に、歩く気配があった。
スコープの反射がバレないように気配を消して向こうを覗くと、警戒心のない女がいた。こちらにはまだ気づいてい
#5だから何度も言っているように、
夏が好き。
あの突き抜けるような、風が特に。春陽と言う名前も気に入っているけれど、この風には負けるかもしれない。
春の良さといえば名前の通り、暖かい陽だまりだと思う。のんびりとしたあの空間は、この時間がずっと続くのかと思うほど良い。でも、夏は動きのあるあの風が私を運んでくれる。そんな気分になる。
でも冬も冬でいいところはたくさんある。雪は自然の迫力を間近に感じることができるし、冬の吹き荒ぶ風
#4だから何度も言っているように、
夏が嫌いだ。
汗が体を伝う感覚がどうにも苦手だからだ。汗ばんだ体を風がなでるのも、自分の体温の高さが際立つようで不快である。風香と言う名前にとことん負けている。
少し前までは毎年毎年憂鬱だった。マシになったのは煙草を吸い始めてからだ。煙草の葉っぱは乾燥すると喫味が辛くなる。程よく湿気を含んでいると、その葉特有の味がよくする気がする。もし違ったとしてもいい。
そうだと考えていれば気が紛れるからだ
#3だから何度も言っているように、
春陽が一番怖い。
私に対してネガティブな行動をとるから、と言う意味ではない。
むしろ逆だ。
今は私の後ろをつかず離れず歩いている春陽が、知っている人間の中で一番怖い。それは、すぐに怒るだとか、腕っ節が強いと言うわけではない。むしろ、怒らないのだ。たとえば、誤解で男子のいじめの犯人にされたときも、自分以外のミスのせいで訓練が伸びたときも、不良に喧嘩を売られたときも、怒りを顔に出すことは一切なかっ
#2だから何度も言っているように、
男女の権利は平等であるべきだ。そんな横断幕を掲げた男性議員も増えてきた。男性の雇用を増やす政策も知らない間に作られ、徐々にではあるが私の学校にも男性教員の比率が上がっている。風香の学校の役員はまだ女性ばかりだが、私の学校の校長は今年度から男性教師になり、地元の新聞で取り上げられていた。
「ナンパでもしに行く?」
「そんなガラじゃないのわかってて言ってるでしょ。」
「たまにはいいじゃん」
風香は暇
#1だから何度も言っているように、
「甘いものとタバコは合わないの。なんか口の中で混ざり切らないんだよ」
風香が制服から着替えた後は耳にピアスがたくさんぶら下がっている。
重そうだし、引っ張ったら痛そうだからあんまり長く見ていられない。
「甘いものが食べれなくなるなんて最悪じゃんそれ。やめなよ」
何度も言ったセリフを、もはや冗談のように言う。私は死ぬまで吸い続ける、と風香はいつも言った。
学校の近くの自販機にはいろんなフレーバー