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BOOK/MOVIE

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読んだ本、映画、音楽のこととか。
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花束みたいな恋をした、を見た人たちへ

花束みたいな恋をした、を見た人たちへ

映画を観終えたあと、こんなご時世だから話せなくて、でも話したい。私の好きな方々の感想を集めました。
独断と偏見です。有料無料混ざっています。自分のためにまとめました。

ネネネさん生湯葉シホさんかほりさん葉月このみちゃんカツセマサヒコさん霜田さん(プレミアムリスナー限定です)映画公式プレイリストもこちらはやく観終えたあとに話せるような世界になったらいいな。
でもこうやってたくさんUPしてくれるのも

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はじまりとおわり

はじまりとおわり

恋のはじまり、愛のはじまり、そしておわり。
京王線、多摩川、開発される前の調布、徒歩30分のマンション、一緒に暮らしている拾った猫。

日記のような映画にしようと思ったら脚本が書けた、とシナリオ本のあとがきで坂元裕二さんが語る。
「花束みたいな恋をした」印象的な台詞ばかりで、好きなものを並んで見つめる主人公ふたり、麦くんと絹ちゃんが愛おしい。この映像をずっと長回しで見ていたい。

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心のなかにスイスイさんを棲まわせる

心のなかにスイスイさんを棲まわせる

スイスイさんを知ったのは、cakesの連載記事がTwitterのタイムラインに流れてきたから。”メンヘラ・ハッピーホーム”なんだかすごい連載タイトル。相談文をクリックしたら、元メンヘラで史上最強の元カノになりたいという、スイスイさんのお悩みに対する回答は、「あなたの本当のお悩みってどういうことだっけ?」と相談者さんにとことん憑依して、寄り添って、そして読むわたしたちの心も整理してくれるものだった。

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理解がほしいなら表現しなきゃだめだ

理解がほしいなら表現しなきゃだめだ

大人というものはどんなに苦労が多くても、自分のほうから人を愛していける人間になることなんだと思います。
(いわさきちひろ ラブレター)

「おとな」になるっていうことは、自分に必要な愛は、自分でとってきつつ、ちゃんと自分から愛を注ぐ対象を見つけ、そこに必要な愛を注いで、細々とでも、それを、循環して続けていけるっていうことだ。
おとなになるって、やっぱりすごいことなんだ!(山田ズーニー 理解とい

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炭酸水とトマト、とろろ昆布

健全な時間に目が覚めて、ちょっとだけ家事をして、もう暑くなっている土曜日の朝、空いている電車で移動する。蔦屋書店で松井玲奈さんの新刊「カモフラージュ」を読んだ。短編集の最後に収められている「拭っても、拭っても」のなかの台詞が残っている。
“好きだった時間が長い分、その人が自分の体に染み付くんですよ。好きなもの、苦手なものもそうだけど。その積み重ねで俺たちは生きてるんだと思うんですよね。”
別に恋人

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物語との境目をさまよう

物語との境目をさまよう

昨日の日記。
情報の波に流されて溺れそうになる。今もうスマホを見たくない、ぼうっと光る画面を感じるのさえ嫌。「仕事」の定義ってなんだろう。結局、届けた人にきちんと届いたことを感じたいのか。明らかにキャパオーバーで、でも抱えるしかなくて、(本当の本当はそういうこともないのだろうけど)もっとできるようになりたい、余裕を持ちたいってただ思う。認めてほしいのか、感謝されたいのか、人のためだって言いながら自

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幸せの形が違ってもいいって思うこと

幸せの形が違ってもいいって思うこと

愛がなんだ
好きってなんだ、そう繰り返すテルちゃんはかっこいい。ただ、マモちゃんのことが好き。それだけで突っ走ることができて、強いとさえ思ってしまう。健全なのか分からないけど、でも、普通とか正解がないこの世界では、まっすぐに生きている人こそキラキラ輝いてみえる気がする。33歳になったマモちゃんの人生に、自分が存在してると信じられるなんてすごい。私なんて、明日愛想を尽かされるかもしれないな、って心の

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人生なんてぜんぶかんちがい

人生なんてぜんぶかんちがい

みみばしる
って言葉をきいて、何を思い浮かべる?
ほとんど事前情報を入れずに観に行った舞台、石崎ひゅーいさんが音楽監督をつとめ、ワタナベシンゴ(THE BOYS&GIRLS)さんが舞台上で生演奏する音に、声に、すべてを持っていかれた。
松居大悟監督の描く、”受信者だったリスナーが主役になる”境界線を越える舞台。演技経験不問のオーディションから選ばれた出演者たち。

「人生なんてぜんぶかんちがい、聞

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けもなれ最終回と、ハイボールとティラミス

けもなれ最終回と、ハイボールとティラミス

初めてのパスポート、あっけなく手に入った。
これを打つPCは冷たい、冬だ。忙しさを理由に、心の中がざわざわしていて、やりたかったこともできなくて勝手に自己嫌悪に陥って、23時前に帰宅する。右足の中指の爪が伸びて歩くたびに痛い。運悪く満員電車に押しつぶされて、どんどん気持ちが後ろに向いていく。

何度か書きかけたnoteは、下書きのままにして電車を降りる。
帰り道に唯一あるコンビニに立ち寄る。ティラ

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音楽の魔法にかけられて前を向ける、健全に後ろ向きにもなれる

音楽の魔法にかけられて前を向ける、健全に後ろ向きにもなれる

星野源「POP VIRUS」
今月末に久しぶりにライブに足を運ぶことになって、TSUTAYAでレンタルした。買わなくてごめんなさい。朝の通勤電車でイヤホンから流れ出す、無心で聞いた、彼の声が、バンドメンバーが奏でる音楽が、全部身体にはいってくる。朝の道が満たされる。

僕の好きな音楽の中にはポップ・ウイルスというものがあり、それは遥か昔、誰かが奏でた音階から始まり、いま現在世界で鳴っている音楽

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私の行動は「正直」か「わがまま」か

私の行動は「正直」か「わがまま」か

サクちゃんの「正直であるためには、誰と一緒にいるか」というnoteを読んで思ったことを書く。ちょうどお正月休みに、note中にも引用されている平野啓一郎さんの「私とは何か 個人から分人へ」を読んだところだった。

自分も正直でありたいし、正直な人がすきなんだけど、それはどんな人のことかというと、単にウソをつかないとか隠しごとをしないというだけではなく、思ったことを全部口にしてしまう人のことでもない

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寝ても覚めても

寝ても覚めても

昨日までのコンタクト、さようなら、目がきしきしするよ。渋谷のミニシアターで見た映画、隣の男が携帯マナー悪過ぎてたった2時間大人しく映画も見られないのかと絶望的な気持ちになった。それをひっくり返してもらえるくらい映画は面白かった。これが正解、はいハッピーエンド、みたいな話がいつからか綺麗すぎて積極的に見ないようになっていった。

猫、泡だらけの腕、ぽんと投げ出された手、海、3.11、朝ごはん、川、雨

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生きてるだけで、愛

生きてるだけで、愛

曲が終わって無音になったイヤホンを耳に突っ込んだまま歩いた。ボタン一個でまた再生を始めるのはわかっていたけれど、ただ冷たい道をそのままにして歩く。



ななめ前に座っていた人の青いキラキラしたスカートがちらついた。趣里が演じる寧子は、わたしのなかにも確かに存在した。認めたくない。程度の問題はあれど、あの屋上のシーンみたいなことを思っていたことがあった、あのとき、真っ暗な夜、言葉で会話ができない

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「女優姉妹」吉澤嘉代子 が気になっているあなたへ

「女優姉妹」吉澤嘉代子 が気になっているあなたへ

彼女に、いったい世界はどんなふうに見えているのだろう。1曲1曲に込められた登場人物たちの人生は、まるで違う。

マイクチェック、ワンツー
髪の長い女の子がYouTubeの画面で歌っていた。Twitterに流れてきた20秒で知って、虜になった。「未成年の主張」を何度も何度もその場で聞き返した。配信もなかったから、翌日TSUTAYAに走ってあるだけCDを借りた。そして今までライブに4回足を運んだ。弾き

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