雨の日は寝るネピゥ

生きてるきみやぼくが読んでさらに生きますように。

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記事一覧

好意ということ

恥ずかしがってみせるというのがなにより相手を敬うことです。 だからさっきから私は貴方の目を見ながら「ケロケロケロッピ!」と言っては顔を赤らめている。 虫に裸を見…

科学を信じるのはむずいのに

だいぶ前にYouTubeで地球平面説を信じる人々というのを観た。動画のコメント欄では平面説を信じる人々を馬鹿にするものが多かった。 僕は、『地球が球体かどうかを僕は計…

良い心持ちの淵辺には、寂しさに負けてる料理とかがある。

料理にミックスベジタブルが入ってることがある。お馴染みでありながら特段美味しかったり不味かったりの記憶はない。味という味よりもミックスベジタブルには寂しさが漂っ…

ここに居ないほうが良いですか?と言った女の人に、はいそうですね、と言ってしまった

空調の仕事でオフィスビルによくお邪魔する。作業のなかで天井裏を覗くことがあって、その際真下に人が居るときは声をかけて退いてもらっている。 いつものようにその旨を…

卵を落としたときとかに僕をダメにしないから

わけもなくメルカリで薙刀を買いたい。 持ち手に使用感があり色が落ちております。色はくすんでいますがもともとこのような色です。写真だと鮮やかに見えますが実物はくす…

完璧な顔して都会を歩く

完璧な顔で都会の雑踏を、みんな仲間だよねみたいなフリして歩いてみる。でもなぜかその一員に見做されてない気がする。だからなおさらそういう顔をしなきゃあいけないんだ…

最悪

上野アメ横のガード下の立ち飲み屋で飲んでたら右隣にいたおじさんが話しかけてきた。 一期一会で知らない人と喋るのがなぜか上野ではよくある。それが好きなところでもあ…

全パン屋の客に告ぐ

もっと穏やかな気持ちでパンに接してください。あなたたちパン屋でパンを吟味している客の目つきは怖いのです。今日はいったいどいつにしてやろうかと捕虜を選ぶシーンのよ…

人はヤドカリ

昔読んだ文章で納得するものがあった。 『人は街中などでイヤホンをすることで現実世界との隔絶を行なっている』というものだった。 街中でなぜイヤホンをするのか? 音…

出来損ないのフィクションに寄り添っている

むかし、昭和の邦画かなんかを観ていましたら濡れ場シーンで50ぐらいのオッサン役が演歌を一節歌っては女を突いておりました。そんなわけないだろ、変なの、歌終わったらリ…

パチンコ大学灰皿前

パチンコ大学というパチ屋の前を歩いていた。自動ドア横に置かれた灰皿で80歳ぐらいの爺さんがカフェオレ色の紙巻きタバコを吸っている。 このちょっと奥が目的のラーメン…

僕はカレーに恋をして醒めている

昔からの癖で、家でカレーを食べておかわりするとき盛る量が多過ぎるというのがある。 他の献立では起こらない特有の現象だ。カレーは僕の腹具合の目測を大きく狂わせてし…

空と信号機と電柱

小学生の頃家族で車で遠出した帰り、最寄りのインターチェンジを降りるあたりに差し掛かると僕は後部座席で逆さまになっていた。 頭が下で脚が上、そこから見える景色は空…

肉体がしている記憶

爪を切ると身体が軽くなるよと母から言われたのを覚えている。たしかにそう感じる。 半年ぐらい前、爪を研いでいた時期があった。しばらくして研ぐのが面倒くさくなってま…

置いといて

届けなくていいよ、そこに置いといてくれよ。 下に英字新聞の、でも翻訳したらこっちで言うスポーツ新聞みたいなやつ敷いて置いといてくれよ。 乗ったら二度と降りられない…

人助けは気持ちが良いと思い切れなかった

正午ごろ、仕事をし終わりコインパーキングに止めた車で片付けをしていたところをおじさんに話しかけられました。 「ここら辺に焼肉屋があるんだけど知らない?友達がやっ…

好意ということ

恥ずかしがってみせるというのがなにより相手を敬うことです。

だからさっきから私は貴方の目を見ながら「ケロケロケロッピ!」と言っては顔を赤らめている。

虫に裸を見られたところで恥ずかしくはない。
亀に見られたら、先ほどよりは恥ずかしい。
では犬は?あ亀より恥ずかしい。
なんか自分のなかの恥ずかしさのメスシリンダーが満たされていっている気がする。
では貴方では?ケロケロケロッピ!!
さらに変なこと

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科学を信じるのはむずいのに

科学を信じるのはむずいのに

だいぶ前にYouTubeで地球平面説を信じる人々というのを観た。動画のコメント欄では平面説を信じる人々を馬鹿にするものが多かった。

僕は、『地球が球体かどうかを僕は計算できない。だからどっちか分からない。球体であることを無謬に信じる僕と、(彼らも無謬かもしれないけれど)考えて平面説を信じるに至った彼らではどちらが馬鹿なのだろう』とカッコいい顔してコメントした。そしたら返信があって、今日まで積み上

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良い心持ちの淵辺には、寂しさに負けてる料理とかがある。

良い心持ちの淵辺には、寂しさに負けてる料理とかがある。

料理にミックスベジタブルが入ってることがある。お馴染みでありながら特段美味しかったり不味かったりの記憶はない。味という味よりもミックスベジタブルには寂しさが漂っている。

なんか物足りない、彩りが足りない、つまり寂しい、そんなときミックスベジタブルは役に立つ。枯れ木も山の賑わいとばかりに入れてみればさっきよりなんか良い感じになっている。ではあるがそれで完全に寂しさは消えていない。消し切れていないた

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ここに居ないほうが良いですか?と言った女の人に、はいそうですね、と言ってしまった

空調の仕事でオフィスビルによくお邪魔する。作業のなかで天井裏を覗くことがあって、その際真下に人が居るときは声をかけて退いてもらっている。

いつものようにその旨をデスクに向かっている女性に伝えると
「ここに居ないほうがいいですか?」
と女性は言った。思わず僕は、はいそうですねと答えたが、言った瞬間にすごく冷たい言い方だなと思った。まるでこの世にあなたは必要ないみたいな。

彼女のセリフには、文脈上

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卵を落としたときとかに僕をダメにしないから

卵を落としたときとかに僕をダメにしないから

わけもなくメルカリで薙刀を買いたい。
持ち手に使用感があり色が落ちております。色はくすんでいますがもともとこのような色です。写真だと鮮やかに見えますが実物はくすんでおります。などと当人が気にしていることが露わになっている注意書きがされているものを買いたい。

そこを突いてさらに安くしたい。

「色はどれぐらいくすんでいるんですか?くすんでないものとちょっと検討中です」
とか言って相手が気にしてると

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完璧な顔して都会を歩く

完璧な顔して都会を歩く

完璧な顔で都会の雑踏を、みんな仲間だよねみたいなフリして歩いてみる。でもなぜかその一員に見做されてない気がする。だからなおさらそういう顔をしなきゃあいけないんだけど、大衆の面前でつまみあげられ「キミは江東区南砂3とかがお似合いだね」と、コインパーキングの名前ぐらいまで番地を指定されてふさわしい街を言われそうでソワソワする。それを隠せない奴からそういう目に遭わされるし、それを隠して歩けてるのがカッコ

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最悪

最悪

上野アメ横のガード下の立ち飲み屋で飲んでたら右隣にいたおじさんが話しかけてきた。
一期一会で知らない人と喋るのがなぜか上野ではよくある。それが好きなところでもある。

おじさんとの話は弾んだ。おじさんは53歳で福祉事務を市川でしてるらしい。そうやって楽しく喋っているともう一軒行こうということになった。
これはよくあるのかは分からないが、以前にも上野で一度、飲み屋のカウンターで隣になった歯が抜けてて

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全パン屋の客に告ぐ

全パン屋の客に告ぐ

もっと穏やかな気持ちでパンに接してください。あなたたちパン屋でパンを吟味している客の目つきは怖いのです。今日はいったいどいつにしてやろうかと捕虜を選ぶシーンのようです。
ただでさえ怖いのに、人のパン屋でそういう目をしているのですよ。パン屋の店主が閉店後自分の店のパンをそういった眼差しで眺めて興奮する悪趣味ならまだ良いのですが、しかし他人のパン屋の、まだ他人に所有権があるパンに対してそういったジラジ

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人はヤドカリ

人はヤドカリ

昔読んだ文章で納得するものがあった。

『人は街中などでイヤホンをすることで現実世界との隔絶を行なっている』というものだった。

街中でなぜイヤホンをするのか?
音楽を聴きたいから。
それも十二分にありながら、現実世界の音を耳に入れたくない思惑もだいぶ含まれているのだと思う。

つまり、社会と隔絶して社会に参加したいのだ。

あるとき靴屋で、中国出身の女性販売員と雑談していて聞いた話だ。女子高生ぐ

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出来損ないのフィクションに寄り添っている

出来損ないのフィクションに寄り添っている

むかし、昭和の邦画かなんかを観ていましたら濡れ場シーンで50ぐらいのオッサン役が演歌を一節歌っては女を突いておりました。そんなわけないだろ、変なの、歌終わったらリピートすんのかなもしくは次の曲行くのかな、次エーデルワイスだったらふふふとか思っていたのに、そのうちに口角は下がり、なんとなくそれを受け入れ真顔で見つめる自分がいました。

同じように、お客様でお好みで混ぜてお召し上がりくださ〜いといって

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パチンコ大学灰皿前

パチンコ大学灰皿前

パチンコ大学というパチ屋の前を歩いていた。自動ドア横に置かれた灰皿で80歳ぐらいの爺さんがカフェオレ色の紙巻きタバコを吸っている。
このちょっと奥が目的のラーメン屋だ。入る。

食べ終えて戻る道、少し先パチンコ大学の灰皿のちょっと手前あたりだろうか、歩道の真ん中で70代半ばの小綺麗な爺さんが下を向いてチョンチョンと何かを蹴っていた。
近くなるとそれはバッタだと分かった。
普通道端では見ることがない

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僕はカレーに恋をして醒めている

僕はカレーに恋をして醒めている

昔からの癖で、家でカレーを食べておかわりするとき盛る量が多過ぎるというのがある。
他の献立では起こらない特有の現象だ。カレーは僕の腹具合の目測を大きく狂わせてしまう。

それと家というのもある。
外食ではおかわりの量を冒険しない。
その点家なら最悪食べ切れなくてもあとでまた食べるから大丈夫だ、という算段が働いている。従って盛る量が多くなる。

そして残すこととなる。

1杯目を食べ終え意気揚々と炊

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空と信号機と電柱

空と信号機と電柱

小学生の頃家族で車で遠出した帰り、最寄りのインターチェンジを降りるあたりに差し掛かると僕は後部座席で逆さまになっていた。
頭が下で脚が上、そこから見える景色は空と信号機と電柱だった。

みんなで遠出して楽しかった旅も、家が近づくにつれ徐々に見たことがある景色になる。
そして家に着く前のどこかで完全に日常へと引き戻され終わりを突きつけられる。

でも楽しかった旅はなるべく終わらせたくない。だから見知

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肉体がしている記憶

爪を切ると身体が軽くなるよと母から言われたのを覚えている。たしかにそう感じる。

半年ぐらい前、爪を研いでいた時期があった。しばらくして研ぐのが面倒くさくなってまた切るのに戻した。
そのときそれぞれの違いに気付いた。

爪を研ぐと指先の感度が保たれる。爪を切るとそれがあからさまに変わる。

爪切りは指先の感覚に大きな変化をもたらす行為なのです。
この変化は新たな感じ方の到来であり同時に以前の感じ方

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置いといて

届けなくていいよ、そこに置いといてくれよ。
下に英字新聞の、でも翻訳したらこっちで言うスポーツ新聞みたいなやつ敷いて置いといてくれよ。
乗ったら二度と降りられない直感だけを与える前輪がデカい昔の自転車で取りに行くから。
インドネシアの運び方で持ち帰るから。
エサを引っ張ったらワナが作動する仕組みでそこに置いといてくれよ。絶対零度にした磁石の力で浮遊させながら。
すぐ嘘だとバレる永久機関のなかに組み

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人助けは気持ちが良いと思い切れなかった

正午ごろ、仕事をし終わりコインパーキングに止めた車で片付けをしていたところをおじさんに話しかけられました。

「ここら辺に焼肉屋があるんだけど知らない?友達がやってるんだよ」

とのことでした。
その名前でグーグルマップで検索してみると出てきません。

「おかしいなぁもう潰れちゃったのかなぁえぇー困ったなぁ」

おじさんは去ろうとしません。

して聞いてみれば、おじさんは今日大阪から東京に遊びに来

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