駄文作文: 『鴨のキリトリセン』②
すごく遠い風景を一つ、覚えている。
田舎道、川沿いに歩く時、黒く白く光る川波を縫うように走る白っぽい線。鴨の家族が隊列を組んで泳いでいく。点々と続くその姿は優美で、鴨たちは地上を歩く律には永遠に追いつけない、高尚な儀式をしているように思えた。隣には会えなくなった妹がいて、律は彼女が転ばないよう手を繋ぐ。反対側の手には木の枝。幼い日の律は、意気揚々と歩いているうちに鴨のことなんか忘れて、妹と歌を歌いながら家に帰るのだ。
繰り返し思い出すので、妹がいた頃の風景というと、決まって