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Writing Group

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2023年7月から、週に1時間「書く」時間を持つためのグループを始めました。そこで書けたものの保管庫です。
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保護猫の誕生日

保護猫の誕生日

日本では2月22日は「にゃんにゃんにゃん」で猫の日。我が家の3頭の猫のうち2頭の「誕生日」でもある。本当に2月22日に生まれたわけではなく、保護猫なので生まれた日が分からない。

保護猫の年齢は餌やりさんからの聞き込みや獣医の見立てをもとに推測して決める。生後1年未満の子猫なら生まれ月ぐらいまでは推測できるが、大人の猫の場合は分からないので歯や骨の状態で大雑把に生まれ年を決める。里親さんが決まった

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自分にとって大切なものを仕事に関わらせる危うさ

自分にとって大切なものを仕事に関わらせる危うさ

普段テレビドラマはほとんど見ないんだけど、推していたコミックがアニメやドラマになるのは、とてもわくわくする。「セクシー田中さんがドラマ化される」ってニュースを見た時は、Facebookでシェアして「めっちゃ楽しみ〜」って書いていた。

https://www.facebook.com/asako.itagaki/posts/pfbid0jKUauomshfKYxceJQgijcCQv1nXTb7j

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5%の万が一

5%の万が一

「かなり大きな手術になります。力を尽くしますが、万が一の事態も5%ぐらいの確率でありますので、ご家族の皆さんともよく相談してください」という医師の言葉に、「5%なら万が一とちゃうやん……」と横から心の中でツッコミを入れられる程度には冷静だった。

手術をすることになったのは母だ。

一昨年の秋に大動脈解離で緊急入院となり、その時は血管が裂けた場所も裂け方も不幸中の幸いで致命的なものでなかったので、

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膝の痛みから逃げるためのピラティスがベリーダンスの課題に向き合う時間になった

膝の痛みから逃げるためのピラティスがベリーダンスの課題に向き合う時間になった

それは突然やってきた。

土曜日の朝、ベッドから出る前にストレッチをしようと体を動かしていると、何か音がした。ギリギリ、ザリザリ、気泡がはじけるようなパチパチという音も混じっているような、なんとも言えない音だ。

動くのをやめると音も止まるので私の身体から出ている音なのは間違いない。どこから出ているのかを突き止めるために身体の部位を1ヶ所ずつ動かして、音の発生源が右膝であることが判明した。痛みは全

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来年のカレンダー

来年のカレンダー

猫を飼い始めてから、毎年猫の写真でカレンダーを作っている。その年にiPhoneで撮った写真をカメラロールで見ながら、表紙も入れて13枚の写真を厳選する。

ジョンとシャーロック、仲のいい兄弟2頭と暮らしていた時は、一緒に写っている写真が5枚、一人で写っている写真が4枚ずつ、と決めて選んでいた。9年めに姉さんのマイちゃんが来たが、彼女は基本ケージにいるので他の2頭と絡まない。それでも3頭が一緒に写っ

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家の中で引っ越しをする

家の中で引っ越しをする

私の仕事部屋にはエアコンが無い。狭いスペースなので冬はホットカーペットと小さなファンヒーターで快適に過ごせるのだが、夏は如何ともし難い。というわけで、夏の間は仕事場をリビングに引っ越すのが年中行事となっている。

最初の年は、仕事用のThinkpadを仕事机からダイニングテーブルに移すだけの身軽な引っ越しだった。ダイニングチェアで1日中座り仕事は1週間で腰が悲鳴を上げたので、安いオフィスチェアを買

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4年経っても野戦病院

4年経っても野戦病院

夕方16時、オンライン会議を終えてほっとしてベッドに寝転がったら、寒い。思わずそのまま布団に入って目が覚めたら20時だった。そして布団に入っているのに寒い。昨年末にコロナをやってから枕元に常備していた体温計で測ってみたら38度を超えている。

這うように起きてして猫のごはんの支度をして、棚の奥から買い置きのCovid-19抗原検査キットを引っ張り出して久しぶりに鼻に綿棒を突っ込んだ。盛大にくしゃみ

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はじめての文学フリマ

はじめての文学フリマ

こういう業界に身を置いているのにもかかわらず、今まで行ったことがなかったのです。文学フリマ、略称文フリ。「作り手が「自らが《文学》と信じるもの」を自らの手で販売する、文学作品展示即売会」なのだそうです。

今回、一番の目的は、一緒にWriting Groupをやっている横山仁美さんの「雨雲出版」がブースを出すというので応援&必要ならお手伝いをしたい、というものでした。来年出版予定のボツワナの作家ベ

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正しいと正しいの争い

正しいと正しいの争い

私が物心ついたころからユダヤ人国家のイスラエルとパレスチナ人は争っていた。カトリックの幼稚園に通っていた5歳の時、クリスマスプレゼントにサンタクロースが置いていった「旧約聖書物語」を何度も繰り返し読んでいた私は、エルサレムはユダヤ人の約束の地だと信じていた。だからユダヤ人の国を占領しているパレスチナ人は、バビロン人やローマ人のようにユダヤ人を彼らの土地から追い出す悪い人たちだと思い込んでいた。

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金木犀の花が咲かない

金木犀の花が咲かない

朝起きた時の長男猫のポジションがクローゼットの中からケージの上に移動しているとか、ウォーターサーバーの水の減りが遅くなって配送延期の連絡をしたとか、毎年秋の訪れを感じる現象はいくつかある。ある日突然窓の外から金木犀の香りがすると、いよいよ夏も終わりでそろそろ冬物を出さないと、と思ったりする。

昨年は10月のはじめに金木犀が咲いてすぐ、末っ子の王子(猫)を見送った。ところが10日ほどしてまた金木犀

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あれから1年

あれから1年

おはよう。
こちらは10月に入って急に涼しくなって、今朝は半袖では肌寒いぐらいの気温でしたよ。そろそろママのベッドの上で、兄さんと猫文字を描いてくれる季節ですね。

1年前の今日、君の魂は旅立っていきました。呼吸が止まると同時に涙が溢れて光を失う君の眼が今でも目にやきついています。

食道に癌が見つかり、君の命の終わりがこのままでは2-3ヶ月後と知らされた3月。この後だんだんと食べ物が喉を通らなく

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FIPは、薬で治る病気のはずなのに

FIPは、薬で治る病気のはずなのに

かつて結核は「発症すれば高確率で死に至る病」だった。1943年にストレプトマイシンという特効薬が発見され、複数の抗結核薬を併用して服薬するプロトコルが確立し、今では発見できさえすれば薬で治療できる病になった。同じ病気にかかっても、昔と今では意味が違う。サナトリウム文学なんてものは現代を舞台にしては成立しない。多くの死に至る病を治療できる病に変えるために、研究者や製薬会社は大金を投じている。

死に

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病院と猫

病院と猫

たいていの猫は動物病院が嫌いだ。普段は抱っこ好きで甘えんぼうな猫でも、病院に行くためにキャリーバッグやリュックを出すとそわそわして逃げようとする。はじめて猫を飼う人は、キャリーバッグに入れるための捕獲に半日かかることも珍しくないが、慣れればそれなりにコツは掴めるもので、なんとかなるようになる。

病院で診察中の猫の態度は全く猫によって違っている。10年前に一緒にうちにきた茶白と黒白の義兄弟もそうで

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桜橋

桜橋

大学1年の時に親と喧嘩した勢いで一人暮らしを始めてから、引越しの回数は両手を超えた。振り返ってみると3年以上住んだ場所には共通点がある。桜の名所にほど近いのだ。

意識しているわけではないけど、気がつけばそばにある。中目黒に13年住んだ後、「半蔵門線(not東武線)の駅から徒歩圏、猫が飼える、2LDK/3階以上」の条件で紹介された今の住まいも、ベランダから外をみると隅田川の桜があった。

家から一

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