美の探究  みつ

「美」とは何か。自分はどんな所に美しさを感じるか。 そんなテーマを軸にエッセイを綴って…

美の探究  みつ

「美」とは何か。自分はどんな所に美しさを感じるか。 そんなテーマを軸にエッセイを綴っていきます。モチーフは仕事である美術や茶の湯、本、音楽などなど。 画廊勤務。 茶の湯を習って10年、知人に教えるようになって5年目になります。 鰻が大好きです。

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出張で河井寛次郎記念館を訪ねたら、収穫ありでした。

軽雨の中、本日仕事で、京都の河井寛次郎記念館を訪れました。 仕事を済ませたのち、せっかくいらしたのでどうぞ館内をご覧になっていってくださいとスタッフの方が言ってくださいました。有り難いです。 河井寛次郎氏は、随筆や詩、書、彫刻など幅広いお仕事をされた方。本職は、陶芸家です。柳宗悦や濱田庄司らと共に民藝運動を進めた第一人者でもあります。 記念館は、生前河井寛次郎氏が五条坂に自ら設計し建てた住居と窯場をそのまま保存したものです。 今日、こちらにお邪魔して思ったことがあります

    • 李朝家具展 阿曾美術にて

      時代が変わっても廃れない美しさ。 そんな言葉がよく似合う展覧会です。 今日から25日まで阿曽美術にて、 李朝家具展が開催中です。 (22日月のみ休廊) 李朝とは、1392年から1910年の朝鮮王朝時代のこと。李王家が君臨していたので、略して李朝と呼ばれております。500年以上続いた王朝。日本で云うと、室町時代から安土桃山、江戸を越えて明治の終わりまで続いた事になります。それって素直に凄いですよね。 この李朝時代に、芸術、学問などが実を結び、素晴らしいものを作り上げていき

      • 上田泰江展2024 阿曾美術にて。

        今回の展覧会が始まる数日前、上田泰江さんとお電話でお話しをさせていただいた。阿曽美術で三回目となる上田泰江展の案内状が手元に届きました。(うちの店主が添えた)文章を読み、とても嬉しかった、とのこと。         その案内状はこちらです↓ その後、『でも、こんなふうに書かれるとなると、これからうっかり喋れませんな〜』と子供のように天真爛漫に笑っておられました。ほんとに、もう、無邪気に。 昨日、仕事を終えた帰路の途中でふとこんなことを考えました。『私がもっと歳を重ねた時、

        • 古谷和也展2023

          12月14日から20日まで、信楽焼、伊賀焼の陶芸家古谷和也氏の個展を開催しております。二年に一度、今展で八回目です。造形、自然釉、窯焚きによる変化など、信楽焼、伊賀焼には様々な見所があります。窯詰時に作品を置く場所や置き方一つ変えてもまるで異なる作品になります。また、古谷氏は伝統的な作風に加え、オリジナルの作品も日々模索し制作しております。どちらも、とても力漲る作品となっておりました。 案内状文章も担当致しました。掲載するので、読んでいただけたら嬉しいです。 陶芸家として日

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        出張で河井寛次郎記念館を訪ねたら、収穫ありでした。

          阪口鶴代展2023 阿曾美術

          こんばんは。 現在開催している阪口鶴代展についてお知らせさせてください。 実に八回目の個展です。 制作にじっくり時間をかける画家さんです。大体一年間で七、八点ほど。2023年は八点で、その八点を展覧しています。 ジャンルで云うと日本画、使用している画材は天然岩絵具です。ラピスラズリとか孔雀石とかそういう鉱石を砕いたものですね。 今年のテーマは『緑色』なのかな?と思うほど、殆どの作品が緑色で溢れております。 作家さんに訊ねると、 『ずっと描きたかった色なんだけど、ようやく自分の

          阪口鶴代展2023 阿曾美術

          戸田浩二展を開催します。

          10月10日から18日まで、阿曾美術にて初の戸田浩二展を開催致します。 茨城県笠間市で作陶をされている陶芸家の方です。創っているのは焼き締め(施釉をしていないやきもののこと)で、古の仏具を彷彿とさせます。御本人もそういった古美術がお好きな様です。水瓶や水鏡、壺、茶盌などを展覧します。 戸田作品がそこにあると、空間が清らかで静謐になります。百文は一見に如かず。どうぞご自身の眼でお確かめいただければと思います。 戸田浩二さん御本人も、静かな雰囲気を湛えた方です。作品との繋が

          戸田浩二展を開催します。

          伊豆にある断食施設に参加したら、収穫沢山でした。

          こんにちは。この記事を読んでくださっているみなさま、お元気ですか。 私はというと、今、伊豆にある断食施設におります。少し遅めの夏季休暇を頂戴し、食生活の改善や体型改善をすべく乗り込みました。一週間のプランに申し込み、今は六日目、最終日の夜です。 少し話が遡りますが、今年の7月3日時点で、体重が93.5キロありました。見かねた(?)父が伊豆の断食施設を教えてくれたのが始まりです。色々な方の体験談やホームページを読み、素直に行きたいと思い即決。人気の施設だったようで、その時点

          伊豆にある断食施設に参加したら、収穫沢山でした。

          美術鑑賞の原点について自分なりに考えてみた➖アーティゾン美術館にて

          今日、アーティゾン美術館に行ってきました。改めて、いろいろ考えることができ、有意義な時間に。展示テーマは、abstraction、つまり、抽象画。 皆さんは抽象画と聞いて、どんな印象を持ちますか?何が描いてあるのか分からない、と思う方も多いかもしれませんね。私もそう思っていたとき、ありました。今は、自由に想像力を広げて観ることができる、素敵な絵画の一ジャンルだと捉えております。 今回、ひさしぶりの絵画をメインにした美術館だったこともあり、展示室へ入った途端、作品の見方につ

          美術鑑賞の原点について自分なりに考えてみた➖アーティゾン美術館にて

          生活を楽しむことに目覚めつつ、春。

          最近、「生活を楽しむ」ことに目覚めつつある。カバンや洋服、食べ物に絵画などなど。手の届く範囲で、好きなものを購入するようになった。 以前は、とにかく心の健康を整えることでいっぱいいっぱい。その頃は本が支えだった。勉強のためというより、精神を保つための読書。家に籠って活字を追っていた日々を懐かしく思い出す。「いい洋服を買ったり美味しいものを食べたって、俺の心を救ってくれるわけじゃない」なんて文章が、昔の日記からちらほら出てくる。心から強くそう思っていたから。 きっかけは、ず

          生活を楽しむことに目覚めつつ、春。

          樂美術館へ〜利形の守破離展〜観れてよかった!

          今、京都にいます。 仕事兼美術館巡りの五日間になる予定。僅かでも、何か得て、ひとつ成長して帰りたいな。 今日は、樂美術館の特別展『利形の守破離-利休形の創造と継承』を観賞してきました。 樂焼とは、侘び茶を大成した千利休が、自分の理想の茶の湯茶碗を長次郎という人に依頼してつくってもらった茶碗のこと。樂家初代がこの長次郎であり、現在十六代目が継承しております。茶の湯茶碗を制作する『ちゃわんや』、それが樂家です。 今回の展覧会は、樂歴代それぞれの作品を、『守破離』という考え方

          樂美術館へ〜利形の守破離展〜観れてよかった!

          田嶋健太郎展2022

          2022年12月6日より13日まで、田嶋 健太郎展が阿曾美術にて開催されます。自身にとって必然性を感じるモチーフを、納得いくまでじっくりと描くというスタイル。作品から繊細な感性が伝わってくる、魅力のある画家さんです。発表するのは、今年描きあげた9点。どうぞご来廊お待ちしております。 さて、この記事↓でも書きましたが、 私にとって、画廊の展覧会案内状文章執筆はやりがいのあるお仕事です。 田嶋健太郎氏は、私と同じ1984年生まれ。とても親しく、良い関係でいることができています

          田嶋健太郎展2022

          上田泰江展II 阿曾美術にて。

          上田泰江さんの第二回目となる個展が、本日より阿曾美術で開催されております。 上田泰江さん。本年92歳になられます。 これまで幾度もアトリエを訪ねさせていただきました。落葉色づき、流れる白雲は美しく、陽射しが柔らかく照らしてくれる。初めて訪れたのはそんな季節でした。 野山と一体化したような場所に構えたアトリエから、上田さんの自然への深い想いが伝わってきます。 そして、描く作品はその御心が結晶化された絵です。自然の中で暮らし、自然を知り、そして自然を愛しているからこそ生み出せる絵

          上田泰江展II 阿曾美術にて。

          いつだったか忘れたけどあれ楽しかったね

          糸井重里さん主宰の『ほぼ日』(ほぼ日刊イトイ新聞)というサイトがあります。その運営をしている株式会社ほぼ日の人気商品ほぼ日手帳2019に、荒井良二さんのこんな詩が載っていました。 いつだったか忘れたけどあれ楽しかったね この詩を見たとき、なにか自分にとって大切なことばである気がして、ノートに書き留めました。以来、ずっと頭の片隅にあります。今、このフレーズをふと思い出したので、この詩をテーマに文章を綴ってみたいと思います。 みなさんにとってのこれは何でしょうか? わたしが

          いつだったか忘れたけどあれ楽しかったね

          お茶室見学会へ出掛けたら、感動して帰ってきました。

          今日は、店主が監修的なことをしたある方(Yさん)のお茶室がほぼ完成したとのことでしたので、見学へ出掛けてきました。場所は、熱海です。行きの東海道線車内から見た海はどこまでも白く光り、広大でした。 完成披露お茶会がまだなので具体的なことは何も書きませんが、様々な創意がお茶室に込められていて、痺れました。茶室を作るということは創作であり、表現ですね。何故か?だって、Yさんのお茶室を観た自分が、こんなにも感動しているのだから。人の心を感動させるものは表現だと定義できるのだなと学び

          お茶室見学会へ出掛けたら、感動して帰ってきました。

          感謝の気持ちについて考えてみた。

          以前、サッカーの長友佑都氏の本を読みました。殆どの内容を忘れてしまったが、一つ心に刻まれた事があります。それは、繰り返し繰り返し『感謝の気持ちを大切に』と書いていたこと。幾度も書いているので、否が応でも憶えてしまった。 感謝の気持ち、、、これについて思考を巡らせてみたい。その時に浮かぶのは、家族や仕事の関係者の皆様、友人、などなど身近な人。この世にオギャーと産まれて自分一人で育った訳じゃない。仕事でも同じ。いきなり現在の自分があるのではない。 でもこれ、意外に盲点だと思う

          感謝の気持ちについて考えてみた。

          平櫛田中彫刻美術館へ行ったら、好きな作家が増えました。

          今週月曜日、小平市にある平櫛田中彫刻美術館へ行ってきました。大体の美術館は月曜が休館なのですが、こちらは火曜日がお休み。企画展の題名は『宗教美術の世界』。内容はというと、 平櫛田中は、西洋彫塑の表現と技術を取り入れながら、大正期から昭和期に新たな木彫表現を確立した彫刻家。若い頃に仏師出身の高村光雲のもとで木彫技術を学び、その後も日本木彫の淵源である仏像と神像に関心を持ち続けました。本展では、平櫛田中のコレクションから江戸時代前期に全国を遊行しながら仏像を刻み続けた円空の仏像

          平櫛田中彫刻美術館へ行ったら、好きな作家が増えました。