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【悪夢】ちょぷっ!

絶対に想像しないで聴いてください

時間は正午くらいだったと思います

雨は降っていませんでしたが

薄曇りで

風がやけに肌にまとわりつき

生ぬるい水槽にかっているような

気味の悪い天気でした

あなたが散歩に出ると

近くの国道を大型トラックが頻繁に

相変わらずの猛スピードで

ビュンビュン飛ばしています

ゴツくて大きいタイヤを見つめていると

なんだか吸い込まれそうです

実際

体が少し

持っていかれた気もしました

ぞくりと身震いがして

背中に嫌な汗が吹き出したのを感じました

慌てて身を引き

あなたは立ち止まって息を整えました

するとその脇を

黄砂の如く砂ぼこりを撒き散らしながら

後ろに大量の砂利を乗せたダンプカーが

もの凄いスピードで過ぎ去って行きます

すかさず

煽るように大型のトラックがそれに追随し

車間距離を徐々に詰めていきました

――と

親指の先ほどの小さな小石が

ダンプカーから転げ落ちるのが見えました

その小石はアスファルトに着地したのも束の間

後続の大型トラックに

ちょうど尻の部分だけを――

総重量にして数十トンの車体を支えるタイヤに

踏みつけられ

――瞬間

ップンッ!!

と小石は小気味よく弾かれました

それはまるで銃弾のようにヒュンッ!と風を鳴らし

瞬時に

あなたの側頭部そくとうぶを直撃しました

あなたの頭蓋はあっけなく穿うがたれ

中から

ちょぷっ!

と脳みそが顔を出しました

(白子のような脂肪で出来てる脳です)

あなたは即死でした

ダンプカーと大型トラックの運転手は

車載カメラや国道を映していた

道路ライブカメラによって割り出され

のちに過失致死やらなんやら

それぞれ別の罪で捕まって実刑判決を受けるそうです

以上

これが

僕の――

いえ

あなたの一部が、最後に見た夢です

ちょぷっ!

〈了〉

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水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。