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「ハードボイルド書店員の尊敬する人」及び「100年後まで残る4冊」

皆さんは「尊敬する人は誰?」と訊かれたらどう答えますか?

私の場合、まず名前が出るのはチェ・ゲバラです。弱い者のために強大な権力に抗い続け、身内にすら忖度しなかった姿に惹かれました。

ぜんそくの持病を抱えながら長期のゲリラ戦に耐え抜き、キューバ革命をやり遂げたことがまず偉業です。しかし彼はその成功に留まらず、対アメリカ戦略でソ連へ近づいたカストロの方針に反発します。資本主義であれ共産主義であれ、立場の弱い国に強権を振りかざすやり方は同じじゃないかと。

国家としての「革命の成果維持」を優先したカストロの考え方は間違いではない。でも従来からの理念を曲げず、志半ばで斃れたゲバラの生き様も違った角度からキューバの存続に、そして今日のグローバリズムに連なる大国主義や大量消費社会への疑問を世界中で育むことに貢献したはずです。

彼は著書をいくつか遺しています。入門編としては↓がオススメ。医学部生時代の旅日記です。映画にもなっています。

ただ調べてみたら、どうも文庫本は版元在庫切れ。事情があるのかもしれませんが、ぜひ復刊か新訳をお願いします。

あと復刊希望といえば↓です。彼もまた私の尊敬するひとり。保守的で厳格な海軍軍人の父(及びそれが象徴する何か)に抗い、商業主義の不条理な荒波に揉まれながら叫び声を上げ続けた反逆のカリスマ。でもロックスターとして絶大な人気を得た彼が本当に望んでいたのは、たった一冊の詩集を出版することでした。

さらにもう一冊。いや二冊。

エッセイ集です。著者は「そして夜は甦る」から始まる沢崎シリーズで人気を博する和製ハードボイルドの第一人者。レイモンド・チャンドラーが好きな人なら間違いなくハマります(私もそのひとり)。

寡作で知られていて、元「フリージャズのピアニスト」という経歴も興味深いです。読者や時代、権威、お金に媚びず、時間をかけて自分の書きたいものをじっくり書く生き方がハードボイルドそのもの。この方も私が尊敬し、ひとつの目標として密かに仰ぎ見る存在です。

詳しくは↓をどうぞ。

小説はいずれもロングセラーなのに、なぜエッセイは新刊書店で買えない(&置けない)のでしょうか? これも理由があるのかもしれません。できたら復刊を!! 

紹介させていただいた4冊は、確実に100年後にもファンがいます。残すべき名著です。図書館や古書店で見掛けたらぜひ。

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