コエラカンヌ

もそもそ日記や雑感。 YouTubeにはゆるゆる3dCG、浮世絵とか生き物とか妖怪とか。

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記事一覧

モネは好きですか?

 と問われたら、どう答えるだろうか。少し前の私であれば、「別に、ふつう」と大人に心を閉ざしたティーンエイジャーのようなことを言ったはずだ。  先日モネ展に行った…

コエラカンヌ
2週間前
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『地球博物学大図鑑』との話 #2

 前の記事で、次は『地球博物学大図鑑』の中身について紹介すると書いたが、それは半分嘘になる。というのは、図鑑の内容に触れる前にどうしても伝えておきたい魅力がある…

コエラカンヌ
1か月前
2

スミソニアン『地球博物学大図鑑』との話

 何年か前に、自分へのご褒美を買おう!と思い立ったことがある。すごく頑張ったか、つらいことがあったか、何があったかはもう忘れてしまったけれど。とにかく、ちょっと…

コエラカンヌ
1か月前
1

読書日記:『世界は夢組と叶え組でできている』との話

 桜林直子さん著の『世界は夢組と叶え組でできている』を読んでいる。桜林さんのことはTBSポッドキャストの『となりの雑談』という番組で知った。私は番組開始当初からの…

コエラカンヌ
2か月前
4

どなりおじさん考

 通勤時、駅のホームで電車を待っていた時のことだ。私の前には数人が並んでいた。電車が到着してドアが開くと、人波が溢れ出す。降りる人々が途切れるのには、もう数秒か…

コエラカンヌ
2か月前
3

写実と浪漫の間で恐竜は鳴く

 少し前に、福井県に行ってきた。昨秋の遠野旅行で味を占めた私は、すっかり旅人モードになっているらしい。泊まりがけの旅行をこんなに間隔を空けずに(しかも自発的に!)…

コエラカンヌ
2か月前
3

せーの、で踊る

 モーモーチャーチャーをご存知だろうか。わたしはモーモーチャーチャーについて何年も前に同僚から教えてもらったのだが、モーモーチャーチャーの実在は確認しないままで…

コエラカンヌ
6か月前
1

瞠目せよ、行政の本気 遠野カッパ旅

 あまり大きい声では言えないが、わたしは正直なところ遠野市立博物館を舐めていた。市立の施設ということで、くそ真面目な、学びはあれど華はない展示を想像していたのだ…

コエラカンヌ
7か月前
11

慈愛の淵にて 遠野カッパ旅

 さて今回のメインたる、カッパ淵である。ここでは所定のカッパ捕獲許可証を購入すると、キュウリを餌にカッパを釣ることができるとのことだった。わたしは飛行機の中から…

コエラカンヌ
7か月前
6

感傷の赤 遠野カッパ旅

 遠野市に入ると、至る所でカッパを見かけた。道路の案内標識や看板のあちこちに、まんが日本昔ばなしのエンディング曲で手を振ってくれそうなカッパのイラストが添えられ…

コエラカンヌ
7か月前
2

遠野カッパ旅、序文

 旅は好きだ。その割には、めったに行かない。ひとえに諸々の準備が面倒だからである。「休みが取れたら」だの「季節が良い時に」だのは、総じて「面倒くせぇ」の言い換え…

コエラカンヌ
7か月前
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モネは好きですか?

モネは好きですか?

 と問われたら、どう答えるだろうか。少し前の私であれば、「別に、ふつう」と大人に心を閉ざしたティーンエイジャーのようなことを言ったはずだ。

 先日モネ展に行ったのは友人から誘われてのことである。小学生の頃にルノワールの展覧会に行ったときには、薔薇色の顔をほころばせる少女の可愛らしさや、裸婦のまとったふくよかな幸福感にうっとりとしたことを覚えている。親にねだって小さなレプリカを買ってもらったくらい

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『地球博物学大図鑑』との話 #2

『地球博物学大図鑑』との話 #2

 前の記事で、次は『地球博物学大図鑑』の中身について紹介すると書いたが、それは半分嘘になる。というのは、図鑑の内容に触れる前にどうしても伝えておきたい魅力があるのだ。

 それは中身ではなく外側、つまりカバーデザインである。前回貼ったのと同じだが、下記の東京書籍のサイトで写真を参照されたい。

 まるで標本箱のように「地球上の全て」が並んだ美しいカバーデザイン!このように様々なバリエーションのもの

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スミソニアン『地球博物学大図鑑』との話

スミソニアン『地球博物学大図鑑』との話

 何年か前に、自分へのご褒美を買おう!と思い立ったことがある。すごく頑張ったか、つらいことがあったか、何があったかはもう忘れてしまったけれど。とにかく、ちょっと贅沢で、気分の上がるものを買おうと思ったことは覚えている。

 たとえば食べ物や飲み物で贅沢をする方法もあるが、なにか形に残るものが良かった。服や靴やアクセサリーという選択肢もあったが、特にこれといって欲しいものが無かった。妥協はしたくなか

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読書日記:『世界は夢組と叶え組でできている』との話

読書日記:『世界は夢組と叶え組でできている』との話

 桜林直子さん著の『世界は夢組と叶え組でできている』を読んでいる。桜林さんのことはTBSポッドキャストの『となりの雑談』という番組で知った。私は番組開始当初からのリスナーなので、1年ちょっと前のことだ。ご著書のこともちらちらと話題に出ていたので気になっていたのだが、なんとなくタイトルから「私にはまだ早いかもしれない」と先延ばしにしていた。その感覚はたぶん間違っておらず、今だからこそ咀嚼できる内容だ

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どなりおじさん考

どなりおじさん考

 通勤時、駅のホームで電車を待っていた時のことだ。私の前には数人が並んでいた。電車が到着してドアが開くと、人波が溢れ出す。降りる人々が途切れるのには、もう数秒かかりそうだ。そんなことを考えながら、手に持っていたスマホに見るともなく目線を向けた瞬間。後ろから怒鳴り声がした。

「スマホばっかり見てボーッとしてたら後ろの迷惑だろうが!!!」

 振り返ると、私よりは幾分か年上であろう男性がいた。先ほど

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写実と浪漫の間で恐竜は鳴く

写実と浪漫の間で恐竜は鳴く

 少し前に、福井県に行ってきた。昨秋の遠野旅行で味を占めた私は、すっかり旅人モードになっているらしい。泊まりがけの旅行をこんなに間隔を空けずに(しかも自発的に!)連続したのは、私の人生としてはとんでもない快挙である。

 今回の旅のメインは福井県立恐竜博物館。過去に一度だけ行ったことがあったが、何度でも訪れたい博物館だ。FPDMという略称からして格好良い。もしも売店でFPDMと書いた腕章が売ってい

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せーの、で踊る

せーの、で踊る

 モーモーチャーチャーをご存知だろうか。わたしはモーモーチャーチャーについて何年も前に同僚から教えてもらったのだが、モーモーチャーチャーの実在は確認しないままでいた。先日、たまたま立ち寄った成城石井でモーモーチャーチャーを見かけた。それまでモーモーチャーチャーのことはすっかり忘れかけていたのだが、モーモーチャーチャーの名前を見るや記憶が蘇り、「これがかのモーモーチャーチャーか!」と鼻息を荒げたわた

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瞠目せよ、行政の本気 遠野カッパ旅

瞠目せよ、行政の本気 遠野カッパ旅

 あまり大きい声では言えないが、わたしは正直なところ遠野市立博物館を舐めていた。市立の施設ということで、くそ真面目な、学びはあれど華はない展示を想像していたのだ。
 
 実際に足を踏み入れてみて、この先入観は完全にくつがえされた。

 まず映像作品がすごい。2階のシアターでは座敷童子のアニメーションが映写されていた。これがとても良い。絵本のような美しさと民話的な恐ろしさが共存した素晴らしい短編作品

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慈愛の淵にて 遠野カッパ旅

慈愛の淵にて 遠野カッパ旅

 さて今回のメインたる、カッパ淵である。ここでは所定のカッパ捕獲許可証を購入すると、キュウリを餌にカッパを釣ることができるとのことだった。わたしは飛行機の中からずっと、この許可証を買うべきか否か考え続けていた。

 値段としては決して高いものではない。許可証を買って帰れば話の種にもなるだろう。さらに、キュウリをぶら下げた釣竿を手にカッパ淵にたたずむことを想像すると、それなりにわくわくするのも事実だ

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感傷の赤 遠野カッパ旅

感傷の赤 遠野カッパ旅

 遠野市に入ると、至る所でカッパを見かけた。道路の案内標識や看板のあちこちに、まんが日本昔ばなしのエンディング曲で手を振ってくれそうなカッパのイラストが添えられている。

 「遠野のカッパは赤い」のだと予習していた。だからてっきり看板や土産物にも赤カッパが目立つのかと思いきや、存外に緑色ののカッパが幅を利かせていた。たしかにカッパといえばアマガエルのようなグリーンで塗りたくなるし、ぱっと見で「カッ

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遠野カッパ旅、序文

遠野カッパ旅、序文

 旅は好きだ。その割には、めったに行かない。ひとえに諸々の準備が面倒だからである。「休みが取れたら」だの「季節が良い時に」だのは、総じて「面倒くせぇ」の言い換えに過ぎない。それでもごく稀に、旅に行きたい気持ちが面倒臭い気持ちに勝つことがある。今回の岩手旅行がそれだった。

 この旅の最たる目的は、遠野のカッパ淵である。遠野市といえば、妖怪好きの多くが憧れる地ではないだろうか。別にアンケートを採った

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