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いつだって青く見える
雑節|春ノ社日
令和6年3月25日
東京に憧れていた。最寄り駅から歩いて50分もかかってしまう私の実家は,どこにでも行けて,なんでも見られて,なんでも体験できる東京とは明らかに違って見えていた。観光地がないことで有名な私の出身地にはなんにもない。そう思っていた。
高校を卒業してから,東京に出てきた。東京にはなんでもあった。日本中どころか世界中の食事も,娯楽も,文化も,出会いも,別れも,楽しさも
「お施主さま」と呼ばないで
啓蟄|蟄虫啓戸
令和6年3月9日
古民家を受け継いだ。築70年ほどになるその建物は,もともとは日用品を扱う住宅兼商店だった。10年ほど空き家になっていた建物は,山梨県の旧甲州街道沿いに位置し,八ヶ岳,南アルプス,富士山を望むのどかな里山のなかにある。
その建物を地域の大工さんに依頼して改修工事を進めることとなった。そこではじめて,建築業界には家造りを依頼する人のことを「お施主さま」と呼ぶ慣習が