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「出会い、生まれる、じてんしゃ旅」 世界36カ国90000km を旅してきた自転車冒険家が、今回目指すのは生き 方の冒険。 財布を持たず、見通しを持たず、持つのはコーヒー… もっと読む
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#日記

しあわせとは。

しあわせとは。

福岡でのフリーコーヒーそして出会いは、自分がなにか大きな渦にまかれているような、そうしてその同じ渦のなかでさらに多くのものに出会っていくような、そんな感覚をいだくほどの濃さだった。

舞鶴公園でのイベントでコーヒーを淹れ終わったあと、片付けて走りはじめたときにポツポツと雨が降りだした。頭のまんなかのほうがジンと痺れる感じで、いつものようにこのあとのことは何にも決めていなくて、さあどうしようかとすっ

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「いちばん優しいたこ焼き」

「いちばん優しいたこ焼き」

昨日もええ1日だった。自分へのご褒美に選んだのはたこ焼き。
この町に来たときに見つけていた、僕の徳島の友だちとおんなじ名前の
「志保ちゃん」というたこ焼きやさんへ立ち寄った。

「12個ください!」

そこにいたおばさんは申し訳なさそうにこう言った。
「ごめんね今日用事があってお休みにしてたの。ごめんね。」

「あぁ全然だいじょぶ!ありがと!」
そう言って自転車に戻ろうとしてたら、窓から顔を出して

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そのときに踏み出せるか。人生の瞬発力。

そのときに踏み出せるか。人生の瞬発力。

こんなことって信じられるだろうか。あまりに展開がはやすぎて行き当たりバッチリの僕でさえもハラハラしてしまった昨日の夜の出来事を。

昨日も高知の商店街でコーヒーを淹れていた。なんとなく前日の余韻のようなものがまだあったので。オシャレさん、建築家の先生、銀行マンに徳島から来た若者たちに占い師さん(タロット占いをお返しにしてくれた)。昨日もまた高知らしいいろんなジャンルの方々とともに夕方までの時間を過

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居場所と役割が人を輝かせる。

居場所と役割が人を輝かせる。

「まだもうしばらくここにいますか?」
いるよ。待ってるね。そう伝えると、ちょっと内気そうなそのあんちゃんは目の前の建物に入っていった。まぁ、あとで帰ってきてくれるだろう。こなくても何かを感じてくれたならそれでいい。

ついに函館までやってきた。長くいさせてもらった北海道の終着点。
星型をした五稜郭のすぐちかく、若者が行き交うシエスタハコダテという建物の前の交差点で、ぼくはdailylife bic

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地震が起き、明かりが無くなった。

地震が起き、明かりが無くなった。

僕の頭のなかは「台風」のことでいっぱいだった。
下川町を出たころ、会う人会う人に「台風来てるから気をつけてね」と声をかけていただく。今年の西日本豪雨をはじめとした水害はまだ終わる気配を見せない。本来、梅雨がないと言われている北海道も今年は「蝦夷梅雨」といって雨ばかりの夏だったそうだ。

台風が来るのは今晩。自分のいる場所からオホーツク海にぶつかる興部町の道の駅にも、列車の車両が旅人の宿泊用に開放さ

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行き当たりバッチリでいこう。

行き当たりバッチリでいこう。

親友のリョータ家族の暮らしに、僕も借りぐらし。
そこで垣間見たおおらかさというよりも、どっしりとしていて、その都度起こることをしっかりと受け止められるような安定感。このままいたら、まだまだ彼らから受け取るものがたくさんあるだろうなぁという名残惜しさを残してペダルを踏みはじめた。

さぁどちらに向かおうか。当日の朝まで決めず、ゆきちゃんの「なんとなく東でしょ!」をサッと受け入れ稚内ではなく下川を目指

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おまじないを込めて、嘘をついた。

おまじないを込めて、嘘をついた。

札幌にいた分だけ、キャンプ道具も着替えも積んだフル装備の自転車にまたがったときの、よろけ方が大きい。つま先にぐっと力を入れて踏ん張らないとそのまま転んでしまいそうだ。サムズバイクの奈美さん、高田さんに見送ってもらい出発した。

雲は少しあるけど青空が広がっている。気温も暑すぎずという感じで、スピードにのってくると体に当たる風が心地よい。交通量が多い国道なので、いつもよりいくぶん緊張しながら歩道と道

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タマゴを割るように、踏み出せばいい。

タマゴを割るように、踏み出せばいい。

(前回はニセコのめぐちゃんの家にお世話になることになったとこから)

起きたー!久しぶりの屋根!久しぶりの布団!そしてあったかいお風呂!なんて気持ちがよいのだ!旅人として生きるとこんな当たり前が幸せになるのだ。(日常生活に戻るとあっという間に忘れて当たり前のことになってしまうのは秘密だ。秘密にしとかないとみんな旅してくれないかも!)

おいしい朝ごはん(これはもうブレックファーストやな!おしゃれや

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ニセコへGO!GO NISEKO!

ニセコへGO!GO NISEKO!

前回の記事で嘘をついた。いま気づいた。
続きを書きながら、あ!そやった!と間違って記憶していることを思い出したのだけれど、いまさら書き直すのもかっこ悪いと思っているからそのままにしておくことにした。開き直ったのだ!後悔はない。

(こんなことしてたら一生本は書けんか?いやそろそろ書かねばと思いはじめている。素敵な編集者さん!見つけて!)

というわけで続き。友達がニセコに住んでいたのを思い出したの

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「わずか1杯のコーヒーのために」

「わずか1杯のコーヒーのために」

さむい。。。(ほんとは、さむい!!!)
35℃の関東地方から降り立った北海道は苫小牧港のキャンプ明けの朝。
「ちょうどいいなぁ!」と言いたかった!そんな自分の気持ちなんてそっちのけの天気は風も雨もビュービュー、ジャバジャバ。
予報では、台風の影響で大雨なようだ。

こんな日は走るどころではない。コーヒーも淹れるところではない。
いさぎよさが大事!決めた!今日は休養日!
なるべく近いファーストフード

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最北の地でコーヒーを淹れる。

最北の地でコーヒーを淹れる。

7月に入って、おい!だいじょぶか?と不安になるほどの暑さがやってきた。朝起きたら、すでに暑い。日が高くなったら、もうあかんくらい暑い。「外でコーヒーを淹れて飲んでもらう」ことが目的である(だったっけな、朦朧としている!暑さか!?)今回の旅で、この天気はちょっとよくない。いや、だいぶか!?

控えめに予想しても、街を行き交う人が
「30うん℃の暑いまちなかでコーヒーを飲もう!」
という気分になるはず

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きみがぼくらの心を照らしてくれたんだ。

きみがぼくらの心を照らしてくれたんだ。

「あの、、、コーヒーのめるの?」
この言葉からこの日の歯車は動きはじめた。

清澄白河。ブルーボトルコーヒーすぐ近くにあるNois BIKEの軒先をお借りしてカフェをOPENさせてもらえることになった。自転車の前にひょっこりやってきたのはお隣さんの男の子だった。こうせいくん。

「いいよ。君が飲みたいなら。」と返した僕に、彼は「ちょっとまってね!ママにきいてくるから!」とダッシュで消えていった。大

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完全アウェイから生まれる(2)

完全アウェイから生まれる(2)

最初にコーヒーを飲みに来てくれたのは、数年ぶりの再会となる友人だった。彼とは中国・四川省での災害ボランティア活動をともにした。今はもう立派な会社に勤めて、奥さんも子どももいるお父さんだ。

たぶんお互いに少し照れながら友人と、当時のこと、今のことを話しているあいだにまた次のお客さんがやってきた。テントの下のベンチが埋まってくるにつれて、通りを歩くお客さんの目にも止まるようになってきた。ここからはひ

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完全アウェイから生まれる(1)

完全アウェイから生まれる(1)

昨日お世話になった友人宅からpatagonia渋谷店に向けて自転車を走らせる。少し慣れてきたものの、後ろが長く、カフェのための荷物を満載した自転車はふらつく。それも縦や横ではなく、グネグネねじれるように。

今日は念願だったpatagoniaでのOPEN。一昨年だったろうか、この会社が取り組む長崎県川棚町に建設されようとしているダム運動の話を日本支社長の辻井さんからうかがった。40年以上の前に計画

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