詩:しあわせはどんなとこにある
「わたしを幸福にしてください」
近所に住む神とよばれる男に頼んだ
「それだけはわたしもできないんだ。申し訳ないけど」
「じゃあ、結婚させてください。あと子供もほしいし、楽しい友達もほしい。熱中できる趣味もほしいし、やりがいのある仕事もほしい」
「それならできるよ」
神は言った
「ただ、ぜんぶ手に入れてもあなたが幸福になるかどうか保証はできないよ。これを見てごらん」
………………………
そこにはわたしがいた
わたしはいまわたしの望むすべてのものをもっていた
でも誰と一緒にいても
なにをしていても
わたしはなにかをこらえるように
歯を食いしばり
苦虫をつぶしたように
顔をしかめていた
………………………
絶望的な気分になってわたしは神にたずねた
「じゃあ、どうすればいいんです?」
神はわたし耳にイヤホンをつっこんだ
イヤホンからはSMAPの「Peace!」が流れている
わたしと神は片耳ずつイヤホンをはめ
だまってSMAPを聞いた
こんなこと望んではいなかったが、悪くはなかった
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