絵恋

感描家(かんかくか) ー感じるままに、感じたままに。 LIFEWORK:描くこと・書く…

絵恋

感描家(かんかくか) ー感じるままに、感じたままに。 LIFEWORK:描くこと・書くこと。伝えること・届けること。 詩は主に「生きること」をテーマに言葉を紡いでいます。 更新は心が動いたとき。その他は気まぐれで。

記事一覧

詩|うつくしいひと

自分自身から 外見 地位や 肩書き 名誉 財産 かざりつけるもののいっさいを 一度 全て 取り払ったとして それでも うつくしいひとは 一言、そして二言 目を見て こと…

絵恋
3週間前
12

短編小説|タイム・トゥ・セイ・グッバイ

「今日天気いいだろ。な、海行かねぇ? チャリでさ」  日曜日の朝午前10時過ぎ。人を傍若無人なチャイムでたたき起こして、信じがたい事にミキオはいきなりそう切り出し…

絵恋
2か月前
19

詩 | 独白

わからなくて。 何をみちしるべに どこへ向かうべきか わからなくて。 この痛みがなんのためにあるのか 繰り返した先に何かがみつかるのか わからなくて。 可能性がな…

絵恋
2か月前
18

詩 | ペンネーム

私は怖がりだから 本当の自分の言葉は 現実の知り合いには あまり言えずにいる やっぱり 弱さなのかな だけど 「私」という人間のフィルターを通して 言葉を読んでもら…

絵恋
5か月前
13

詩 | お金はタイムマシーン

お金はタイムマシーン この世にお金が無かったら 食べ物が必要な時には  育てるか、取りに行くとか 移動が必要な時には  足を使って歩くとか  全部全部、自分でやらなく…

絵恋
6か月前
26

詩|人生の、晴れと雨

晴天続きの毎日 久々に雨が降って 翌日 ふと庭に目をやると 黒土から小さな植物たちが 空に向かって懸命に短い葉を伸ばしていた 雨で一気に芽吹いたのだろう あちこち…

絵恋
8か月前
23

詩|都会について

大きなビルが  空を貫くように立ち並ぶ  都会の真ん中 十字架の形をした青空が見えた 空はとても遠くて そして小さかった 行き交い 途切れる事のない人と車の波 喧騒 …

絵恋
8か月前
14

詩|たかが、言葉。

たかが言葉に、立ち直れないほど傷つくことがある たかが言葉に、追い詰められて絶望することがある たかが言葉に、自分はひとりぼっちだと孤独を感じることがある たかが…

絵恋
8か月前
17

詩|欠ける

多分 欠けていなかったら、 書こうと思えていない まんまるであることは羨ましいけど 欠けていて 不器用で 満たされないところがあるからこそ 表現できる世界がある 欠…

絵恋
8か月前
18

詩|夜はやさしい

こころがなんとなくざわざわする夜 落ち着かず スマホを開く 光の波の中に 何も見つけられず 真っ黒 思いだしたように もう一度 光の波へ また 真っ黒 そんな夜 ただ…

絵恋
8か月前
15

詩|「何者ですか?」

「あなたは何者ですか?」 無邪気にそう 私に尋ねる人がいる そんな時 私はいつも 答えるべき言葉が見つからない 私は  女性であり 二児の母であり 会社員であり ・・…

絵恋
8か月前
12

詩|何はなくとも

何はなくとも 今が幸せ ふとそんな気持ちで 心が満たされる時がある。 あたたかい家に住み 清潔な服を着て 毎日ご飯を食べ 日々少しずつ大きくなる 可愛い子供たち 話を…

絵恋
10か月前
14

散文|愛について

愛ってさ 不思議だね だって見えないのに確かにあるんだよ。ここに。 愛は、「好き」「嬉しい」「楽しい」 想うと胸がじんわりとあたたかくなるような。 でもさ、 誰かを…

絵恋
11か月前
10

絵本|王さまの こころをさがして!

 作:絵恋  むかしむかし あるところに、バスティア王国という美しい国がありました。  自然豊かな国で、大きなお城が街の真ん中にあります。  人びとは皆、仲良く暮…

絵恋
1年前
21
詩|うつくしいひと

詩|うつくしいひと

自分自身から

外見
地位や
肩書き
名誉
財産
かざりつけるもののいっさいを

一度
全て 取り払ったとして

それでも うつくしいひとは

一言、そして二言
目を見て
ことばを交わせば わかってしまう

においたつ魅力
調和のとれた 心地良さ

何がどう他のひとと違うのか、
どうしても上手く言い表せないのだけれど

ことば
そして まなざしや しぐさに
あらわれる
「らしさ」という片鱗

それ

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短編小説|タイム・トゥ・セイ・グッバイ

短編小説|タイム・トゥ・セイ・グッバイ

「今日天気いいだろ。な、海行かねぇ? チャリでさ」
 日曜日の朝午前10時過ぎ。人を傍若無人なチャイムでたたき起こして、信じがたい事にミキオはいきなりそう切り出した。
 海? 自転車?
 寝起きのパジャマ姿で話を聞いた私は、訳が分からず、眉をひそめてもう一度彼の顔を見た。
 が、残念ながら彼の顔に、悪ふざけという感は浮かんでこない。
 どうやら本気で、自転車で海まで行こうと考えているらしかった。

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詩 | 独白

詩 | 独白

わからなくて。

何をみちしるべに
どこへ向かうべきか

わからなくて。

この痛みがなんのためにあるのか
繰り返した先に何かがみつかるのか

わからなくて。

可能性がなんなのか
本当は自分が何者であるのか

わからなくて。

自分が本当は何をしたいのか

わからない。
わからないふりをしているのかもしれないけれど

 
ただ泣きたい
ひどく疲れた。

ゆるされたい
このまま
生きていくことを。

詩 | ペンネーム

詩 | ペンネーム

私は怖がりだから
本当の自分の言葉は
現実の知り合いには あまり言えずにいる

やっぱり
弱さなのかな

だけど
「私」という人間のフィルターを通して
言葉を読んでもらうのも何か違っていて

ペンネームは、一旦まっさらにしてくれる

私自身を

分けておかないと
なんだか落ち着かない
この角度から見た私
逆の角度から見た私
本当は全部全部一つなのに
一面ずつ 知ってほしい
すべてをさらけ出すには

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詩 | お金はタイムマシーン

詩 | お金はタイムマシーン

お金はタイムマシーン
この世にお金が無かったら
食べ物が必要な時には 
育てるか、取りに行くとか
移動が必要な時には 
足を使って歩くとか 
全部全部、自分でやらなくちゃいけない
道具や 電子機器も
一から作る技術なんて  
殆ど誰も持ち合わせていない
お金があるから 
欲しいものと 交換できて
お金があるから
作ってくれた誰かと繋がり 生きていける

それは、便利なことだ
とてもありがたいこと

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詩|人生の、晴れと雨

詩|人生の、晴れと雨

晴天続きの毎日 久々に雨が降って
翌日 ふと庭に目をやると
黒土から小さな植物たちが 空に向かって懸命に短い葉を伸ばしていた

雨で一気に芽吹いたのだろう
あちこちから ぽつぽつと 明るい緑色
雑草の葉だけれど
なんだか微笑ましい

「恵みの雨か」
そう思って、ふと気づく

晴れの日ばかりでは
どうやら植物も枯れてしまうらしい
雨もまた
彼らにとって いのちを繋ぐために必要なのだ

そう 植物には

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詩|都会について

詩|都会について

大きなビルが 
空を貫くように立ち並ぶ 
都会の真ん中
十字架の形をした青空が見えた
空はとても遠くて そして小さかった

行き交い 途切れる事のない人と車の波
喧騒

ふと 街灯のてっぺんに
二羽のカラスたち
彼らは虎視眈々と 
誰かが 何かを落とすのを狙っている
今日生き残る事をかけて

アスファルトからの熱が 
どんどん体から水分を奪う 
喧騒
あっちからも こっちからも
あぁ この暑さは

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詩|たかが、言葉。

詩|たかが、言葉。

たかが言葉に、立ち直れないほど傷つくことがある
たかが言葉に、追い詰められて絶望することがある
たかが言葉に、自分はひとりぼっちだと孤独を感じることがある
たかが言葉に、起き上がれないくらいクタクタに疲れきることがある

・・・だけど

たかが言葉に、ふわりと空気が和んで嬉しくなることがある
たかが言葉に、寄り添われて安心できることがある
たかが言葉に、もう一度頑張ってみようと励まされることがある

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詩|欠ける

詩|欠ける

多分 欠けていなかったら、
書こうと思えていない

まんまるであることは羨ましいけど
欠けていて
不器用で
満たされないところがあるからこそ
表現できる世界がある

欠けているからこそ
同じ視点を知る人の 気持ちが少しわかるところもあるし
欠けているからこそ
補ってくれる人の助けを 何よりありがたく感じられて
欠けているからこそ
満たされた時の喜びで心が震えるくらい感動できる

そう考えると
欠け

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詩|夜はやさしい

詩|夜はやさしい

こころがなんとなくざわざわする夜
落ち着かず スマホを開く
光の波の中に 何も見つけられず
真っ黒
思いだしたように もう一度 光の波へ
また 真っ黒
そんな夜

ただただ 時間だけが無駄だ
やめてしまえばいいのに
心の中の焦燥感が
何度も 反復させる
現実と幻の 境界

多分理由はわかっていて
でも気づかないふりをしてる
気づくと結構面倒だから
向き合うパワーが湧いてくるまでは 堕落していたいだ

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詩|「何者ですか?」

詩|「何者ですか?」

「あなたは何者ですか?」
無邪気にそう 私に尋ねる人がいる
そんな時 私はいつも
答えるべき言葉が見つからない

私は 

女性であり
二児の母であり
会社員であり
・・・
そんなことは
特徴や肩書き。
私の本質ではなく

私は

絵や文章をかくのが好きで
だけど人より少し生きるのが下手で
それでも真面目で一生懸命 
人生を少しだけ良くしたいと
もがいている ただの一人

あぁ 
それもまた
嗜好

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詩|何はなくとも

詩|何はなくとも

何はなくとも
今が幸せ
ふとそんな気持ちで 心が満たされる時がある。

あたたかい家に住み
清潔な服を着て
毎日ご飯を食べ
日々少しずつ大きくなる 可愛い子供たち
話を聞いてくれる夫
元気な両親
そして何年かに一回でも、家族で旅行に出かけられる

両の目で見て色を知り
話や音楽を聞ける耳を持ち
想いを表現できる手と口があり
どこへでも歩いて行ける足がある
毎日の出来事に
考えを巡らせる脳を持ち

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散文|愛について

散文|愛について

愛ってさ
不思議だね
だって見えないのに確かにあるんだよ。ここに。

愛は、「好き」「嬉しい」「楽しい」
想うと胸がじんわりとあたたかくなるような。
でもさ、
誰かを好きになって苦しくなることもまた、愛なのかな。
ってことは
「苦しい」「悲しい」っていうことも、愛なのかもしれないね。

核になる孤独と、孤独を満たす、液体みたいなもの。
私とあなたは「個」で「孤」だけれど
愛があるから、
つながり

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絵本|王さまの こころをさがして!

絵本|王さまの こころをさがして!

 作:絵恋

 むかしむかし あるところに、バスティア王国という美しい国がありました。
 自然豊かな国で、大きなお城が街の真ん中にあります。
 人びとは皆、仲良く暮らしていました。人だけではありません。鳥や、魚や、動物、虫たち・・・たくさんの生き物も、仲良く暮らしていたのです。

 ですが、最近この国の王さまは、戦争ばかり。森は焼けて、たくさんの動物が住み家をなくし、国は、少しずつ、元気をなくして

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