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記事一覧
【詩の翻訳】古いたんすの総ざらいのときに/クリストフ・メッケル
古いたんすの総ざらいのときに
今日僕らは見つけた、古い戸棚の
引き出しを片付けているとき、出て行った家族たちの服を、
シルクハットを、フロックコートを、礼拝とお祭りにいくための
ニスの塗られたオーバーシューズを、
軽騎兵の、竜騎兵の、消防士の色鮮やかな制服を、そして思った、
古き良き時代を、無感動に。
僕らは服をバルコニーに吹く風の中へ掛けた、
うやうやしくではないが、しかしなんの
敬意もない
【詩の翻訳】ハーフェルラントのリベック村のリベックじいさん/テオドール・フォンターネ
ハーフェルラントのリベック村のリベックじいさん
ハーフェルラントのリベック村のリベックじいさん、
庭に梨の木がありました。
こがね色の秋がきて、
見渡すかぎり梨が光り、
塔から正午の鐘が鳴り響くと、
リベックじいさんは両方のポケットをいっぱいにして、
木のサンダルの男の子がこっちに来ると、
こう呼びかけます。「僕、梨いらん?」
女の子が来れば、こう呼びかけます。「お嬢ちゃん、こっち来ねえ!梨ある
【詩の翻訳】ゆりかごのそばの母/マティアス・クラウディウス
ゆりかごのそばの母
ねんねよ、かわいい坊や、安らかに穏やかに、
おまえ、おまえのお父さんのそっくりさん!
それがおまえよ。でもおまえのお父さんは言うの、
鼻は似てないって。
ついさっきお父さんがここに来て
おまえの顔をのぞきこんで
言ったわ。「確かに僕に似てるところが多いけど、
鼻は似てないね。」
でも私は、小さすぎるだけで、
彼の鼻と同じに違いないと思うわ。
だって彼の鼻に似てないっていう
【詩の翻訳】黄金の球/ベリース・フォン・ミュンヒハウゼン
黄金の球
父が愛ゆえに私に何を与えたとしても、
私は父に報いることができなかった。というのも私は
子どものころまだ贈り物の価値を知らず
男になってからは男らしく厳しくなったからだ。
誰よりも熱烈に愛され、父の心を注がれた
息子は今や私へと成長し、
そして私はかつて与えられたものに報いているのだ、
私にそれを与えなかった人に——まだ返している。
というのも彼が男になり、男たちのように考えるとき
ゆりかごの歌/デトレフ・フォン・リーリエンクローン
ゆりかごの歌
ドアの前で木は眠り、
庭中を夢が歩きまわる。
ゆっくりと月の小舟が漂い、
眠りながら雄鶏が鳴く。
お眠り、私のヴルフちゃん、お眠り。
お眠り、私のヴルフ。遅い時間に
私はお前の赤い口にキスをする。
お前の小さなぷくぷくの足を伸ばして、
まだ道や石ころの上には立たないで。
お眠り、私のヴルフちゃん、お眠り。
お眠り、私のヴルフ。時は来た。
雨がざわめき、風が吹き荒び、雪が降る。
【詩の翻訳】子ども/フリードリヒ・ヘッベル
子ども
母は棺桶の中に横たわっている、
最後に美しく飾られて。
そのとき小さな子どもが中へ入って遊びだし、
母を見つけて驚く。
ブロンドの髪に埋もれた花冠が
子どもにはとても気に入ったのだ、
色とりどりに晴れやかに、
束にされた胸元の花は、もっとずっと。
そして穏やかに、ねだるように子どもは大声で言った。
「大好きなお母さん、僕に
お母さんの花束から一輪お花をちょうだい、
お母さんがとっても
【詩の翻訳】母/アルブレヒト・ハウスホーファー
母
僕は一本のろうそくの光の中であなたが
暗い門の枠の中に立っているのを見ている。
あなたは冷気が山から吹いてくるのを感じる。
寒かろう、母よ……それでもあなたは戻らない。
あなたは見送る、夜中に
まだわからない、暗い運命の期日へと急ぎ帰ってゆく僕を。
湛えた微笑みはかえって泣くのと同じこと、
伴う痛みは、どんな信頼でも癒せない。
僕はあなたが愛の光のなかで、
白い髪を震わせて立っているのを
【詩の翻訳】盲人の独白/エーリヒ・ケストナー
盲人の独白
すれ違う人たちは皆、
通り過ぎてゆく。
僕が盲人だから、僕には立ち止まる人が見えないのか?
僕は3時からずっと立っているのに……
今、また雨が降りだした!
雨が降っているとき、人は善良ではない。
そういうときに僕に出くわした人は、
まるで僕と出会わなかったかのようにふるまう。
僕は目を持たずに街中に立っている。
両目が鳴り響いて、まるで海に立っているみたいだ。
夜に僕は一匹の犬の
【詩の翻訳】家のまわりに風が吹く/ヴォルフガング・ヴァイラオホ
家のまわりに風が吹く
風が、風が、家のまわりに吹いている、
僕らはスープを平らげて、
それから楽しく眠りにつく。
しかし突然僕らはまた目を覚ます、
なんて悲痛なああ、という声、
僕らはもう眠れない。
それはああ、うう、という、
キリストが最後の祈りを捧げた地で当時聞こえたような声で、
そのときも誰も眠れなかったのだ。
それは風ではない、それは嵐ではない、
それは森の中の虫でもない、
それは