白央篤司
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新刊『名前のない鍋、きょうの鍋』10月25日発売
今月の25日、新刊が光文社より発売になります。
朝日新聞ウィズニュースで連載中の『名前のない鍋、きょうの鍋』より18編を単行本化、すべてを大幅に加筆し、一部は再取材してまとめました。鍋に関するコラムも4本書きおろして入れてあります。
現在、予約受付中で、ささやかではありますが予約特典もご用意しました。下に特典内容と応募方法を書きますね。
光文社さんのnoteで「はじめに」が公開中。なぜこの本
うちのミートソースのレシピ
うちのミートソースのレシピを『クロワッサン』のサイトで紹介していただきました。ちょっと分かりにくい&面倒かもですが(笑)、よかったらお試しください。ふたつめの干し椎茸入りの、個人的に推し。軽めの赤ワインとどうぞ。
https://croissant-online.jp/life/214480/
こないだのつまみ #21 牡蠣と菜の花の酒蒸し和え
牡蠣と菜の花は、なかなかの相性良しだ。
両方とも「エッジのきいた香味」があるなと思う。濃いうま味の牡蠣とほろ苦さや辛みのある菜の花、合わせてみると受け止めあって、いい酒の肴になる。冬のものと春のものを掛け合わせるの、一般的にはあまりやらないけどなかなかオツなもんです。
菜の花は食べやすい大きさに切ってゆでるか、ちょっとぬらしてレンチンしておき、水分を切っておく。
牡蠣はざるに入れて塩をふり、全
こないだのつまみ #18 手作りさつま揚げ
居酒屋に入って、品書きに「手作り さつま揚げ」の文字があると軽く興奮する。うれしい。そして頼んでしまう。さつま揚げを手作りするのは面倒くさいものだ。おいしく作ろうと思ったらなおさら。
魚をさばいてすり身にして、具やら混ぜて、揚げて……という手間をかけてるお店は応援したくなる。もちろん、刺身用に取った魚が客の不入りで出せず、鮮度的に刺身はいまいち……となってすり身になることもあるだろう。でもだから
こないだのつまみ #17 サメハツ
「ハクオーさんは髪が伸びるの、早いねえ……」
美容師のTさんがしみじみ言う。Tさんにお願いするようになって1年ちょっとだが、どうやらずっと思っていたようだ。
やっぱりなあ。
私は髪も爪も伸びるのが早い(らしい)。自分でも「こないだ切ったばかりじゃん」とか言いながら、毎月2~3回は爪を切っている。ああ……なんというのか、生命エネルギーを無駄遣いしてるように思えてならない。若い頃は気にならなかったけ
こないだのつまみ #14 ちぢみほうれん草のソテー
実は、ほうれん草があまり得意じゃない。
独特のえぐみと、噛んだときにちょっと歯に残る感じが苦手なのだ。なので『きのう何食べた?』でシロさんが常夜鍋をやるとき、あらかじめほうれん草を下ゆでしてから鍋の具にするのを見て「なるほど~」と膝を打った。
だが、ちぢみほうれん草はえぐみが少なく食べやすいので、よく手に取る。味が濃くて、サクッとした食感もいい。むしろ好物であり冬場のたのしみだ。
買ってきたら
こないだのつまみ #13 ししゃもの焼いたの
40代後半に入ってから、最高の酒の肴は焼き魚と思うようになった。とにかく酒を呼ぶというか、調理してるときに立つ香りが「一杯やりたくなる」気持ちをグイグイと誘う。その誘引力がいい。
魚を焼くのは手がかかるし、値段も高めというネックはあるが、その点ししゃもはありがたい。いや、ししゃもではなく、正確に書くとカラフトししゃもですな。手頃に買えて、スーパーによくあるのはカラフトのほう。こちらもじゅうぶんお
こないだのつまみ #12 卯の花
「居酒屋にあるとつい頼んでしまうもの」
そんなつまみ、ないだろうか。
私は卯の花、つまりはおからが品書きにあるとほぼ毎回頼んでしまう。なんで好きなのか、自分でもよく分からない。豆腐を作るときに出る、大豆のしぼりかすで作られる卯の花。「これぞ酒のつまみ!」というようなコクや塩気、珍味感に富むようなものではない。そうなんだけれども、私は卯の花で飲むのが好きなのだ。
ある夏の日、神戸を旅した。
関西
こないだのつまみ #10 キムチサンド
明石の翌日は大阪に移動した。
旅の同行者、くいしんぼのおふたりは意外なことに大阪飲みが初めてという。
酒好き天国の天満(てんま)と鶴橋を案内したいと思い、実行した。いま思えば短時間で欲張りすぎのスケジュールだったが(どちらも理想をいえば半日ぐらいかけて飲み歩きたいエリア)ちょっとは楽しんでくれたかな。
鶴橋を歩いてて「キムチサンドが食べてみたいの」とユーコさんが仰る。
喫茶店『ロックヴィラ』の