皇后

【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 16

中臣鎌子の屋敷に着いた時には、安麻呂は肩で息をしていた。

これを見た馬来田は、

「普段、運動しないからこうなるのだ。歌ばっかり詠んでないで、たまには武人らしく、素振りの百や二百をやって見ろ! 少しは体力がつくぞ」

 と、甥の体力不足を諫めた。

安麻呂は、これに反論したいのだが、息が上がってなかなか話すことができない。

それを見て馬来田は、「情けない」と言いながら、

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特別キャストはあなたです……
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【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 15

大伴安麻呂は、彼の叔父である大伴馬来田連(おおとものまくたのむらじ)が乗る馬を引いていた。

 流石に2月にもなると陽気も良く、散歩にはもってこいであった。

「こう天気が良いと、気分が良いですね、叔父上」

「うむ、屋敷に籠もりっきりだと、体も鈍るからな」

 大伴家は、宮中では閑職に追いやられていた。

 群臣会議の中に一応席はあるのだが、末席のため、この一族に発言権はない。

 そのため最近

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かたじけないm(_ _)m
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【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 14

大殿を出る時に、鎌子は金を呼び止めた。

「金、ありがとう、もう少しで衝突するところだった」

 鎌子は、金に礼を言った。

「いえ、とんでもない。内臣殿の力になれて何よりです」

 金は微笑んだ。

「如何もいかんな。どうしても中大兄と意見が衝突してしまう」

「お二人とも頑固ですからね。国を思う気持ちは同じなのですが」

「国を思う気持ちか……、そうだな」

「まあ、あまり宮内が揉めるのは如何

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あなたのスキとネコがいれば1日幸せですm(_ _)m
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【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 13

唐からの表函には、飛鳥の群臣が危惧したような、戦の文字は含まれてはいなかった。

むしろ、関係を修復する趣旨の書状であった。

ただし、今回の使者は劉仁願の私的なもので、正式な唐からの使者は翌年に派遣されるとのことであった。

倭国としては、唐のこの申し出は願ったり叶ったりであった。

飛鳥の群臣は、すぐさまこの話に飛びついた、と言ったらことは簡単なのだが、やはりこ

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かたじけないm(_ _)m
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【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 12

これより先の4月、対馬の沖に唐の船団が出現した。

知らせを聞いた飛鳥の群臣は、すわ戦かと慌てふためき、西国各国に沿岸防備を固める趣旨の命令を出すとともに、采女通信(うねめのみちのぶ)と僧侶智辧(ちべん)らを対馬に送って、その対応に当たらせた。

彼らは、百済鎮将劉仁願(りゅうじんがん)の使者 ―― 朝散大夫郭務悰(ちょうさんたいふかくむそう)を代表とする一団で、表函と献物を進上す

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旦那、お目が高い!
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【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 11

一つ、二つ、三つ………………

 ―― また見つめられている。

 四つ、五つ、六つ………………

 ―― あそこにも!

 七つ、八つ、九つ………………

 ―― いったい幾つあるのだろう?

 間人大王は、寝台に横になって天井の木目を数えていた。

 床に就いて以来、二ヶ月近く起きられない状態が続いたが、ここ数日は頗る調子がいい。

 しかし采女たちは、間人大王の体を慮ってか、それとも誰かに言

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山田く~ん、この人に座布団1枚!
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なんで上皇「さま」上皇后「さま」と呼ぶの??

明日(2019年9月8日),上皇后さまが,乳がんの手術を受けられると報道されています。

記事によりますと,「がんの進行度合いを示すステージは1で、明らかな転移はないと判断されている」そうなので,重症というわけではないようです。しかし,手術は麻酔も含め全体で4時間に及ぶそうなので,上皇后さまのご年齢を考えると,やはり心配してしまいます。

ところで,上皇后さまは,今年5月1日の御代替わり(みよがわ

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【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 10

彼は、いつの間にか宮門の前まで来ていた ―― 宮門を潜る中臣鎌子の姿がある。

 鎌子は、大海人皇子に気付き、頭を下げた。

 大海人皇子も彼に頭を下げて、通り過ぎようとした。

 ―― いた!

    ここにいた!

 大海人皇子は振り返った。

「内臣!」

 鎌子は、その大きな声にちょっと体をビクつかせた。

「は、はい! 何でしょう?」

 大海人皇子は周囲を見回す。

 宮門に2人の舎

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今日1日素晴らしい日でありますように!
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【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 前編 9

大殿の帰り際、大海人皇子は顎を撫でながら、一人にやにやと笑っていた。

 しばらくは回ってこないだろうと思っていた大王の位が、こんなにも早く目の前に見えてきたからだ。

 活発で頭脳明晰であった兄と違って、彼は小さい頃からのんびり屋で、始終ぼんやりとしていることが多かった。

 そのため、中大兄は父 ―― 田村皇子(たむらのみこ)の期待を一身に受け、将来の大王候補としての教育を受けたが、大海人皇子

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Special Thanks!!
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「あいつはどこに行っても宗教を作る」
ある友人が共通の知人についてこう言いました
この表現は乱暴でもとても的を射ています

改号に際した美智子さまのドラマで
お言葉の鋭さに衝撃を受けました

相手のことばや人となりに
自分と似て非なる崇高さを感じれば
惹かれるのは当然だと思います

ちくわ大明神
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