たそがれ時のこいきなRADIO vol.13

令和になっての一発目の更新になります、第13回。
「たそがれ時のこいきなラジオ」
東京と仙台より不定期に発信しています。
詳しくない!どうしようもない!
そしてちょっぴり切ない!昭和の懐かしい
お話しにどうぞおつきあい下さい。

VOL.13のお題
◆昭和の夜人知れず泣いたシリーズ
飛行船ヒンデンブルク号爆発事故
◆あこがれの・スター・ふぉー・ミー
ピンクレディ
◆あ~。そういえば 1
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潮風と砂のあるところ 7・決別(完結)

砂漠と海、そして岩山。空の青、薄くちぎれちぎれに空を流れる雲。滑走路の端には、飛行機。帝国があらゆるものを犠牲にして大戦に勝利した後で、余剰物資として払い下げられた偵察機。アンリはこの機体で、やっと手に入れた平和な大空を思う存分飛びまわった。空中戦でも使ったアクロバット飛行の技術を次々、思いつくままに繰りだし、地上で見守る人々、友人たちや見知らぬ人達を大いに驚かせた。アンリは滑走路に降り立つと、曲

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潮風と砂のあるところ 6・追憶

走っている。エラの名を呼びながら走っている。地面は乾いているが起伏が激しく、ひとつ間違えば捻挫してしまいそうだ。大地は見渡すばかりの緑である。アンリの腰の高さに揃った秋小麦。その穂を掻き分け踏みつけながら急ぐ。雲一つ無い明るい青空が、地平線で緑の大地と接している。コントラストすらない、たった二色に染め分けられた世界の中で、ただ一つだけ小さな染みのような色彩。アンリはそれが、墜落した飛行機だと知って

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潮風と砂のあるところ 5・支社長

いつしか日は西に傾き、周囲の雲に赤みを帯びた光を投げかけ始めていた。航空郵便を積んだ複葉機は、赤い光の中を一線に飛びつづける。アンリはゴーグルごしに周囲を見まわし、美しいと思った。前後左右、そして上も下も、赤い光に包まれて飛ぶ。夕焼けを満たした球体の中を泳いでいるような気分。何かが自らの中に染みこんでいく。それでもアンリは飛行に酔いしれる事はなかった。果てしのない空にただ一人。ここはかつて望んだ平

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潮風と砂のあるところ 4・仲間

兵舎に戻り一直線に食堂へ向かうと、すでに食事の仕度が出来ていた。人数分の食事が用意はされているが 必ず幾つか、時には半数も空席ができる。直属のマーカスとエラ、それに同じ中隊のパイロット達は、帰還後の点呼で人数を確認している。十五人いる部下のうち三人が未帰還となっていた。
「おい、今日の一番手柄は第一中隊だな。あの爆発は誰がやった?」
マーカスが食堂に入ってきた第一中隊のパイロット達に声をかけた。

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潮風と砂のあるところ 3・空へ

馬の蹄音がアンリの夢想を破った。医者がやって来たのだ。医者を室内に導くと、屋外に出て壊れた飛行機に歩み寄った。女に遠慮しただけではない。アンリにはやるべきこと、いや、やるべきだと思える事が残っていたのだ。発動機が完全に止まっているのは、女を引っ張り出しながら確認している。見たところ燃料が漏れ出している様子も無い。荷室の鍵は操縦席のボックスに入っていた。
 準備が終わる頃には、陽射しは午後のものにな

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潮風と砂のあるところ 2・女パイロット

砂漠と海、そして岩山。空の青、薄くちぎれちぎれに空を流れる雲。目に見えるのはそれだけだ。アンリは無線室の大窓の前に腰掛け、定期便がやってくるのを待っていた。膝の上に読みかけの本を置き、指をしおり代わりに挟んで、北の空に目を凝らす。今日のパイ ロットは聞きなれない声だった。また誰かなじみの操縦士が夢破れて会社を去ったか、それとも命を落としたとみえる。やがて空を貫く航路上に、一点の影が現れた。今日も無

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潮風と砂のあるところ 1・空の灯台守

砂漠と海、そして岩山。空の青、薄くちぎれちぎれに空を流れる雲。目に見えるのはそれだけだった。アンリはゆっくりと滑走路を端から端まで歩いた。固く平らに砂を押し固めただけの滑走路に異常は無い。これで一日の仕事の半分は終わったようなものだ。もう一度空を見上げる。海と砂漠、西にそびえる岩山、空。目に入るものはそれだけだ。
 コーヒーとパンふた切れ、そしてオレンジがひとつ。本を読みながらでも、朝食の仕度から

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