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記事一覧

読切小説「息の苦しい状態が続くことに白鳥は死んだ」

読切小説「息の苦しい状態が続くことに白鳥は死んだ」 誰も知らない湖のほとりに住み始めて二…

読切小説「無人のプラットホーム」

読切小説「無人のプラットホーム」 走る電車の窓から赤く染まった太陽が時間をかけてゆっくり…

読切小説「三日月太郎と死神」

読切小説「三日月太郎と死神」 平日の夜、街灯が一つもない夜の公園で人と待ち合わせをしてい…

読切小説「三日月太郎と太陽の約束」

読切小説「三日月太郎と太陽の約束」 気の利いたセリフも言えないの? 怒った口調で女が言っ…

読切小説「三日月太郎とパズル女」

読切小説「三日月太郎とパズル女」 梅雨入りする前、その女は湿気のある部屋で終わりそうのな…

読切小説「南極隊員と噂にならない内緒話」

読切小説「南極隊員と噂にならない内緒話」 南極大陸の調査を始めて、今年で三十八年も経過し…

読切小説「真夜中の雨音」

読切小説「真夜中の雨音」 真夜中過ぎに雨の音が聞こえた。浅い眠りだったのか、リズミカルに出窓を叩く雨音に僕は目覚めた。 それでも瞼は閉じたまま、しばらく雨音に耳を澄ませた。ポタポタピチャピチャと雨音は独特なタイミングで音を刻んでいる。 昨日の夜も、同じ時間帯に聞こえていた。 手元の時計を見ると、やっぱり真夜中の二時過ぎだった。朝には道路は乾いていたけど、出窓の周りだけは墨汁を和紙に落としたように濡れていた。 つまりは確実に雨は降っていると言う訳だ。それでも妙に感じた

読切小説「Fの会話」

読切小説「Fの会話」 季節外れのそうめんを食べようと、麺つゆを手に取る。念の為、賞味期限…

読切小説「猫と囲碁〜奇妙な関係〜

読切小説「猫と囲碁〜奇妙な関係〜 「参りました!!」と祖父の声が聞こえた。 縁側で囲碁の…

読切小説「首輪を外し忘れた女の子」

読切小説「首輪を外し忘れた女の子」 新しい折り紙を折る感覚で、君の不安を折りたたむ。淋し…

読切小説「部屋に生えてきた彼女」

読切小説「部屋に生えてきた彼女」 掃除機で部屋を掃除しながら、僕は部屋に生えた彼女のこと…

読切小説「家具屋の椅子」

読切小説「家具屋の椅子」 時間の渦が私を飲み込んだ時、そこには非現実的な椅子が存在した。…

読切小説「映画のように人生は歩まない」

読切小説「映画のように人生は歩まない」 埃が積もったレジカウンターを見るたびに、僕の履歴…

読切小説「アラーム音から怪物は生まれた」

読切小説「アラーム音から怪物は生まれた」 ゆるりとした日曜日の朝、大音量で泣き叫ぶアラーム音に拳を振り上げる勇気はなかった。 遅刻グセのある僕に、目覚まし時計をプレゼントしてくれたのは彼女。 いつも、デートで待ちぼうけをするのは彼女。 僕はいつだって、彼女の背中ばかり見る役だった。そんな僕に遅刻しないでと、大音量で泣く目覚まし時計をプレゼントしてくれた。 ありふれた目覚まし時計なんだけど、なにか違う雰囲気があった。 なにが違うかと説明するのは難しいと思う。形が変わ