花見田ひかる

ゲームのシナリオや小説を書いたりしています。noteでは主に自作小説を綴っていきます。

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花見田ひかる お仕事について(2024/3/12更新)

【プロフィール】花見田ひかる(ハナミダヒカル) 2014年 シナリオライターとして活動開始。 ゲームのシナリオ・キャラ設定・プロット等の執筆を中心にお引き受けしてまいりました。 男性向け・女性向け・全年齢向け、いずれも執筆可能です。 大学では小説・脚本の創作手法を学んだため、ゲームのシナリオ以外でも幅広い物語作りのお手伝いが可能です。近年は小説やドラマCD脚本・音声作品の台本を書く機会も多くなっております。 また、別名義にて企業のプレスリリース、WEBメディアのコラム記事・

    • 女性向け恋愛ゲームサンプルテキスト

      【作品概要】・女性向け恋愛ゲーム(スマホゲーム) ・3,000文字以内 ・舞台は芸能界 ・ヒロインは芸能事務所の社長 ・ヒーローは所属タレント 【サンプルテキスト】【プロフィール】花見田ひかる(ハナミダヒカル) 2014年 シナリオライターとして活動開始。 ゲームのシナリオ・キャラ設定・プロット等の執筆を中心にお引き受けしてまいりました。 男性向け・女性向け・全年齢向け、いずれも執筆可能です。 大学では小説・脚本の創作手法を学んだため、ゲームのシナリオ以外でも幅広い物語作

      • 微笑みの理由

        最近の姉は、ちょっとおかしい。 おかしな部分を具体的に指摘することはできないが、強いて言えば上機嫌なところとか。 今日も鼻歌まじりで帰宅すると、俺にクロッキー帳を見せてきた。 ――ゆう君、見て見て。部活で描いたんだけど、とっても上手だと思わない? 頷くと、姉は満足そうに微笑んだ。 外ではクールでミステリアスな芸術系女子という印象を持たれがちな彼女だが、(実際、同級生には「お前のねーちゃんはクール美人だよな」と言われたことがある)家族の前では、こんなふうに笑ったりするものな

        • はじめてのおつかい

          ――ごめん、お願いしたいことがあるんだけど。 彼からの電話に出ると、その声に焦りが滲んでいた。 今日は午後から取引先への挨拶に向かう予定だったが、予め買っておいた手土産を玄関に忘れてきてしまったと、つかえながら説明される。 こんなミスを防ぐために、わざわざ目に付く場所に置いておいたのだろうに……。彼らしい失敗だと思ったが、今は和んでいる場合ではない。 ――それでさ、本当に申し訳ないけど、今から言う場所に持ってきてくれないか? 彼が最後まで言い切る前に、私は承諾した。 だ

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          3本

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          その白球を胸に

          キミは知らないんだろうね。 青くて広い空の下、白いボールが私に向かって弧を描く。 その白球を両の手のひらで受け止めたとき、私はキミに恋をしたんだ。 あの日、キミは中学校の校庭でキャッチボールをしていた。私は、その姿を図書室から眺めていたの。 ――よく、運動なんか出来るよね。 そんなふうに呆れてしまうくらい、外はカンカン照りの真夏日だった。空気が揺らいで、キミの姿が歪んでいた。確か、陽炎っていうんだっけ。 だから、初めはユニフォーム姿のキミが「斜め右隣の席のちょっと気にな

          その白球を胸に

          ミルフィーユ

          約束の時間まで二時間もあるのに、スマホを眺めてはソワソワしてしまう。そんな自分が恥ずかしいと思う。でも、仕方がない。 ――だって、今日はカフェデートの日なんだもん。 私との勝負に負けた罰ゲームとして“隣家の幼馴染に美味しいスイーツをおごってもらう日”というのが正式名称だったとしても気にしない。 問題は、自分がどう思うかなのだ。などと無限の自己肯定力を発揮して、姿見の中の自分に向かって微笑む。 ――やっぱり、この服は気合い入り過ぎかな? 手に持った服を身体に当て、考え込

          ミルフィーユ

          ポップコーンの香り

          ポップコーンの香りは甘いのに、切ない。 あの小さな映画館は、いつもキャラメルシロップとトウモロコシの香ばしい匂いがしていた。 だからなんだろう。ポップコーンを食べると彼のことを思い出してしまうのは……。 私の住んでいた街には、映画館は一つしかなかった。もちろん、スクリーンだって一つだけで、席数は120くらいだったと思う。 ちなみに、流行りの超大作は県庁所在地の街でしか観られない。ここでは渋い白黒映画や名作洋画、社会派映画が、いつも二本立てで上映されていた。 そんなくすんだ

          ポップコーンの香り

          最後のバレンタイン

          窓を打つ静かな雨音が、春の訪れを告げている。 そんな如月の頃、私はあと何回このセーラー服を着るのだろうと考えていた。 ――私、卒業するんだよね。 赤いスカーフの結び目を整えながら、独り言ちる。声に出してみても、実感が湧かなかった。 三年生になってからの約一年は、それくらいあっという間だったのだ。 志望校、模試、補習、塾、受験、合格……。そんな言葉を何度も目にしながら、友人達と励まし合い、誰かと競い合い、計画通りにすべてを進める。 そんな毎日を繰り返していたら、もう新しい春

          最後のバレンタイン

          明日が晴れならば

          ――朝子に謝ろう。 夕暮れに染まる部屋のベッドに制服のまま飛び込んで、そう思った。 東雲朝子は、私の親友だ。そして、兄の恋人でもある。家に遊びに来た朝子を見て、兄が一目惚れしたことが交際のきっかけだったらしい。 彼女はあらゆる面で私よりも秀でていたが、謙虚で控え目な性格であるため、それを誇示することはなかった。今まで喧嘩することなく友情を育んでこれたのは、彼女の美徳故のことだろう。 だが、兄のことが絡むならば話は別だ。 地味で平々凡々な私の唯一の自慢は、聡明で人気者の兄

          明日が晴れならば

          小説サンプルテキスト

          【作品概要】・対象性別や年代を問わない ・1,000文字以内 ・少し切ない物語 【サンプルテキスト】【プロフィール】花見田ひかる(ハナミダヒカル) 2014年 シナリオライターとして活動開始。 ゲームのシナリオ・キャラ設定・プロット等の執筆を中心にお引き受けしてまいりました。 男性向け・女性向け・全年齢向け、いずれも執筆可能です。 大学では小説・脚本の創作手法を学んだため、ゲームのシナリオ以外でも幅広い物語作りのお手伝いが可能です。近年は小説やドラマCD脚本・音声作品の

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          泣いていたかもしれない。

          ああ、これで生きていける。 深夜一時の冷えた布団の中で、私は安堵のため息をついた。 東京で暮らそうと思ったのは、ただ単に地元で暮らしていく人生が想像出来なかったからだった。 地元には当時の私が欲しいもの、選びたいものなんて、何もなかった。その例の一つが進学先だ。地元には美術・芸術系の大学なんて存在しない。 漠然と「文章を書きながら暮らしたい。出来れば物語を」などとまったりとした夢を見ていた私は、東京に出て行くしかなかったのだ。 「絵を描くことを学びたい」という双子の妹の声も

          泣いていたかもしれない。

          薔薇の刺繍

          ――このハンカチ、綺麗だな。 夕暮れの通学路のアスファルトの上に、白いハンカチが落ちていた。せめて道の端に寄せておこうと思い、拾い上げると「力也」という刺繍が目に留まる。名前の他にも、鮮やかな色をした薔薇のモチーフもあしらわれていた。 ――男の人の名前だよね……? その優美な針仕事と、持ち主であろう男性の名前があまりにも不釣り合いで面食らう。 「力也」はこんなハンカチを好んで持ちはしないだろう。きっと柔道部、あるいはそのOBに違いない。母親に無理やり持たされたのだろうか

          彼の住む街

          ――ここは拓海君の住んでいる街だ。 私は次の停車駅を告げるアナウンスを聞きながら、窓の外を流れる風景を特別なものとして受け止めた。大学進学のために地方から上京したばかりの私にとっては、目にするものすべてが新鮮だった。 だが、彼が住む街を前にしてより一層胸が高鳴っていく。 拓海君は小学六年生のときに転校していった男の子だ。微かに覚えている引っ越し先の名前が、駅名看板として現実のものになったとき、思わずホームに降り立っていた。 駅前には見慣れたチェーン店やコンビニが並んでい

          君の体温に触れて

          地面を打ち鳴らす夕立に、私は目を見開いた。入道雲の育ち具合からして、下校時間に一雨来そうだなと思ってはいたのだが……。大粒の雨が、容赦なくセーラー服を濡らしていく。 家に向かって駆けだそうとしたとき、後ろから声を掛けられた。 「あの、傘持ってないの?」 振り向くと、同じクラスの丸山君がいた。銀縁眼鏡に、長めの前髪が特徴的な男子だ。 「うん。朝、急いでたから忘れちゃったんだ……」 思えば、彼と会話をするのは初めてだった。丸山君は数か月前に来た転校生だったからだ。窓辺の席

          君の体温に触れて

          待つということ

          ーーそういえば、あの人は昨日も同じ場所にいたなあ。 駅の傍に佇む、散りかけの桜。その下に立つ白いワンピースを着た女性を見て、私は思い出した。清らな印象を与える装いが、印象的だったから覚えていたのかもしれない。 ぼーっと眺めていると、視線に気づいた女の人が私に微笑みかける。 「学校の帰り?」 問いかけに答えようと口を開いたが、なんだか気恥ずかしくて声が出ない。慌てて、頷いてみせる。 女性は柔和な口調で、当たり障りのない言葉を続けた。天気の話だとか、桜の見頃を過ぎてしまって

          待つということ

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          【作品概要】・対象性別や年代を問わない ・1,000文字以内 ・少し切ない物語 【サンプルテキスト】【プロフィール】花見田ひかる(ハナミダヒカル) 2014年 シナリオライターとして活動開始。 ゲームのシナリオ・キャラ設定・プロット等の執筆を中心にお引き受けしてまいりました。 男性向け・女性向け・全年齢向け、いずれも執筆可能です。 大学では小説・脚本の創作手法を学んだため、ゲームのシナリオ以外でも幅広い物語作りのお手伝いが可能です。近年は小説やドラマCD脚本・音声作品の台本

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