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【風呂酒日和71-2】 天盃(てんぱい)

【風呂酒日和(フロサケびより)】
どこかで銭湯を見つけると、つい寄り道したくなる。
銭湯から出ると、つい一杯飲みたくなる。
そんな私がふらりと立ち寄った、心と体とお腹を満たす、銭湯と居酒屋をまとめたマガジン。


今日の私はかなり積極的だ。
というのも、はらぺこにプラスして相変わらず美味しいお魚が食べたかったため事前に調べて目星を付けていたのだが、そのお店の口コミに「いつも繁盛していてなかなか入れない」と書いてあったため、銭湯に入る前に電話をしていたのだ。

その時は満席とのこと。1時間後くらいに行きたい旨を告げると「それではその時にまたお電話ください。空いてましたら入れますので」とのことだったので、私は豊宏湯を出てすぐにもう一度電話をかけた。

「カウンターは満席なんですけど、テーブルでもよければ…」

1人なのにテーブル席は申し訳ないかなぁと思いながらもとりあえず行ってみることに。

銭湯からは駅を挟んでちょうど反対方向だったので一度駅に戻る。ロータリーを抜け、歩いていくと「天盃」の看板が見えた。ここだ。

換気のためか入口の扉が空いていたのでそのままするりと中に入ってみる。
わぁ。すごい。大盛況。
すぐに厨房にいた店員さんが気づいてくれ、いらっしゃいませの声で奥さんが私の方に歩いてくる。
なんだかお客さんからの視線を感じる。
どうやら常連さんが多いお店っぽい。みなさん「誰...?」というような目線。すみません、初めてお邪魔しました。

テーブル席はどうやら私が電話をして向かってくる間にもう1人お客さんが来たようで「相席でもいいですか?」と聞かれる。
小上がりの真ん中、2人座ってギリギリという感じの小さなテーブルが一つ空いていて向こう側の席にこれまた常連さんと思われる50〜60代くらいだろうかという女性が今まさに座ろうとしていた。

おぉ、あそこか...。
初めてのお店、そして初めての相席に緊張しつつも、せっかく電話してここまで来たし、相席ならやめますというのはなんとなく申し訳ないような気がして先に座っていた人に「すみません、お邪魔します」と言いながらちょこんと座る。

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