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現実逃避のうた

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#太陽

とべいちろうの現実逃避

陸にあがったぼく。
カメのように歩くぼく。
太陽は、ついて回るし、
犬は尻尾をふってほえている。
ぱっとしない毎日。

「とべ!いちろう!
 あるくな!いちろう!
 重力にまけるな!
君はいつでもふんわり空をとべるはずさ。」

ティテージの現実逃避

浮かんでいる雲の共通点って、なにかわかる
かい?
ぼくはわかるとも。
雲はくもなりに自分の体が軽すぎることに
不満をもっているんだ、きっと。

例えばかみなりや太陽、月たちといっしょに
スカイパーティをするとき、
雲たちはいつもそろって思う、
「太陽や月はいいなあ。ぼくたちも、
もっとどっしり構えたいぜ」ってね。

雲たちはそんなことを思いながら
カクテルに酔いつぶれ・・・・
決まって次の日になる

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シーズンの現実逃避

ぼくの見る夢の中はいつだって秋

そう、深い眠りの途中、
とつぜん黄金色の空気が舞って来て、
ぼくをとりかこんだかと思えば、
どうだい?
いつのまにか、夢の中さ。
夢の世界の季節はなにかって?
だから、秋。

普段の現実世界では、
赤・茶、オフホワイトのグラデーションさ。
そう、夏。いつでも夏。
濃くて騒がしい、厳しい太陽の光に
さらされて、
そして1日の終わりには、
疲労感がおそってくる。

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テルさんの現実逃避

テルさんは、あるとき坊主になる。
晴れてこどもたちの喜ぶ顔がみたいから。

テルさんは、あるとき突然
昔の友人に電話をする。
友人の驚く声がききたいから。

テルさんは、あるときお空のまあるい
太陽になる。
みんなを照らしていたいから。

てるさん、ああてるさん!
あしたも天気にしておくれ。

やみあがりの現実逃避

外の光がわめいている
雨雲と稲光は眉をひそめる

栄光を勝ち取った勇者は
まるでわたしそのものだ
国旗はなくなり、私旗が掲げられる
そこにはわたくしの顔があり、
勇者はそれを照らし、
わたしはそれを平和な家の中から眺めている