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taxi driver

乗客たちに殴られたあと、一人ぼっちのおれは口の血をぬぐい、孤独なアパルトマンに帰りついた

ベッド横のテーブルに死んだママンにもらった聖書。去年ママンも死んだ。一昨年かも知れない。わかんない。去年だったんだろ
 
弾を確認する。この弾丸で聖書を撃ち抜けるだろうか。カーネーションが枯れている。オイルかけて燃やし捨てる。選挙区へ向かう

選挙にいったことがない、それは政治的でないからで、政治的になりたければ箱に紙っぺら一枚でこと足りると耳にし、唖然としたが


口が痛え、腫れていやがる、覆してえ、今度はこっちから狩る、孤独な毎日、女もいない、孤独から孤立、それでいて由ない

非正規社員の生存率をいくらでも測れ、非政治的という政治性を持つがゆえ、こころ隠して書く知られぬ詩、ここに死にかけの字

撃つべし、敵がサンドバッグでは的外れ、撃つべし、的は参謀どもの心臓たれ、狙いを持たぬを恨みとし、確実に撃ち抜くべしと

殴られた選挙区へ突入する、メガホンが社会を生きろと叫んでいる、メーターがレッドゾーンに入る、おれは動く世界を生きている


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