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谷間の百合の白め

緑に乗って黄に乗り換えて、さらにオレンジに運ばれ、街に出れば颯爽と歩くトレンチコートの男女たち、ずいぶんと立派に見える、なんてビジネスライクなんだ

その歩きかたに見とれているうち、ビジネスする彼彼女たちから遅れをとって、自分のビジネスも無駄な時間を喰い、急いで百合の白を探すべくポート迄

百合の白、彼女のその純白は、いとけない世間知ラズの少女のようでいて、その実不義理の大人である、おれの制裁に値するあばずれである

コンクリート製ジャングル、捜索するおれは速度二〇kmのトランスポートシステムの上に立つ、ゆくさきはめくるめく高層ビル街区、ぐるぐる



青をバックにのしかかるNSビル、都庁ビル、損保ジャパン、上空は神話の眺め、と仰げば見とれ、胸高鳴る、おれはいま空の下に在る

下界はいたるところに配線の黒が絡んでいる、それが都会の密林ならばだ、ついでに鉈ふり廻してぶった斬ってやる、とまでこちらが意気込んでいると

遠近法のかなたにあっけなく百合の白を見つけ出す、それは確実に近づいてくる、いやこちらが近づいていくのか、錯覚のパースペクティヴにふたたび見とれそうで戒める

フローラルの谷間、いまやこの手も届く青姦可能状態、しかし百合の白の不義理の制裁がため、いま愛撫の手つきで握り潰さん、ゆっくり触れかける、千の窓が見下ろしている


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