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給食:食事に関する社会的習慣を身につける (CASE: 33/100)


▲「給食」とサステナビリティ

私は給食に必ず出てくる牛乳が嫌いでした。牛乳とご飯が口の中で混ざるのが嫌で、毎日牛乳に悩まされていました。そんな私は、給食の最後に牛乳を一気飲みした後、水道水で口を濯いでいた記憶があります。
そんな思い出の給食ですが、今になって考えてみると、日本の給食は持続可能な食生活を身につける制度として、とても良い仕組みだと感じています。

OECDの調査によると、73.1%のアメリカ人の体重が、標準や医学的基準を超えていると言われています(肥満も含まれています)。OECD20の平均は59.6%。それに比べて、日本人の平均は27.2%です。この差の背景には、様々な文化的および社会的要因がありますが、日本の給食は、食生活の社会的習慣を作る重要な要因の一つだと考えられるのではないでしょうか。

日本の義務教育諸学校の設置者には学校給食の実施が義務付けられており、義務教育諸学校に通う子供たちは、毎日バランスの取れた健康的な食事を食べることができます。献立は栄養士によって立てられ、新鮮で、発達に必要な栄養分が含まれた食事が提供されます。

日本人にとっては当たり前に感じるかもしれませんが、例えばアメリカでは、節約のためお弁当を持って行ったり、学校のカフェテリアで食べたいものを自分で選んで食べたりする仕組みになっています(オプションにはジャンクフードが多く含まれています)。
日本の学生は、個人の好き嫌いには関係なく、決められたメニューを食べなければなりません。バランスの良い食事を食べて育つ仕組みなのです。

また、給食は栄養を補給するだけではありません。「食育」が学校教育の中で重視され、様々な経験を通じて、「健全な食生活を実践できる力」を育む仕掛けが作られています。例えば、「今日のりんごは、地元農家の○○さんが育てた果物です」のような地産・地消を推進したり、給食当番は仲間と一緒に準備を行い、配膳することで食事の重要性を学べたりするのです。

給食で学ぶ知識は、体験として体に染みつき、いずれ習慣となっていきます。大人になった際に持続可能な健康生活を送れる準備に繋がっているのです。
また、それは一人一人固有のものではなく、共通の体験となっているため、社会の「当たり前」、つまり社会的習慣になっていくのです。環境の持続可能性も、まずは社会的習慣を構築することが重要になるのではないかと、日本の学校給食を通して思います。

▲参照資料


▲キュレーション企画について

イノベーション事例についてi.labがテーマにそって優れた事例のキュレーションを行い、紹介と解説を行います。
2022年のテーマは「サステナビリティ」です。

▲今回のキュレーション担当者

i.labシニアエクスペリエンスデザイナー 島田怜南

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