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【読書感想#20】数あるミステリーランキングを総ナメにした傑作短編集。(ネタバレなし)

【概要】

作品名:満願
著者:米澤穂信
発行所:新潮社
発行年:2017年
頁数:422頁
ジャンル:ミステリ、短編集

【あらすじ】

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴(ざくろ)」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。

【評価】

4/5

【感想】

※ネタバレは含みませんのでご安心ください

本作は、2014年に第27回山本周五郎賞を受賞した作品であり、「ミステリが読みたい!(早川書房)」、「週刊文春ミステリーベスト10(文藝春秋)」、「このミステリーがすごい!(宝島社)」において国内部門1位となり、前人未到の三冠を達成した他に類を見ない傑作ミステリだ。

今や抜群の人気を誇る米澤穂信の躍進劇の口火を切った作品である本作は、「夜警」「死人宿」「柘榴」「万灯」「関守」「満願」の6つの短編小説を収録している。
それぞれの作品は実にバラエティに富んだ内容のものばかりであり、一つ一つの物語に確固とした世界が存在し、とても密度の濃い独立短編集となっている。

私自身米澤穂信著の作品は初めてであったが、伏線の張り方や物語の終盤への持っていき方、環境や人間の様子を如実に表す筆力は非常に洗練されたものを感じた。
他作もぜひ読んでみたい。

ちなみに私の最も好きな話は「柘榴」だ。
あらすじにも書いてあるとおり、物語の雰囲気自体どことなく官能的で、1つの謎が解明されたときには思わず感嘆の声を漏らした。

ミステリー好きな方もそれ以外の方も存分に楽しめる多彩な作品であった。
ぜひ皆さんも読んでみてはいかがでしょうか。

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