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2018年9月の記事一覧
vol.6 魯迅「阿Q正伝」を読んで
阿Qという男について考える。
阿Qは無教養で、字も書けない。上層部からわずかばかりの賃金をもらいながら、お堂の中で寝泊まりしている。気にくわないことがあると酒で気分を紛らわす。なんのリテラシーもなく、思想もない。信じるものは何もなく、平気で嘘をつく。仕事がなくなれば万引きして空腹を満たす。女に欲情すれば、女中に手をだす。
そんな阿Qは自称、「精神的勝利法」なるものを見出す。「俺の方が精神的に豊
vol.5 トルストイ「人はなぜ生きるのか?」を読んで
名越陽子=訳
文章は簡素でわかりやすく書かれた短編だけど、内容はよくわからなかった。時間をおいて再読したけど、ますますわからない。
しかしこの作品、どういうことだろうと考えたくなる。自分だったらどうするかを考えてしまう。
セミョーンのように赤の他人に優しくできるだろうか。
素っ裸で弱り果てている赤の他人を街で見かけた時、どうする?いかにもやばそうな奴だから、見て見ぬ振りをして、そのままま通
vol.4 カミュ「異邦人」を読んで
ムルソーに情状酌量の余地あり。
しかし多数の意見は、母親の葬儀に涙も流さず、翌日女性を家に連れ込み、神を信じないやばい奴とされる。
法廷の場で、自分の気持ちに嘘をつけば死を免れる状況があるにも拘らず、精神的自由が全てで、それ以外は面倒で、胡散臭いお説教に抗して胸ぐらを掴む。異邦人扱いされようが、人間のクズだと罵られようが、死刑囚になろうが構わない。
そんな多数の宗教に押し付けられた価値よりも
vol.1 サガン「悲しみよこんにちは」を読んで。
タイトルが少女的でずっと避けていた作品。読んだら過ちの告白だった。自由を奪われて仕返しをする作品だった。
自由を奪われたと感じたセシルは、嘘がうまく策略家で執念深くなる。考えもよく変わる。罪の意識も薄く、時に過去の過ちが「悲しみよこんにちは」とやって来るけど、特に大きな反省もなく、自分の精神的自由を尊重して、また過ちを繰り返す。
この世界の空気感は西洋的で馴染めない。だけど自由は最も大切だとわ