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【Netflix】「アメリカン・ナイトメア」確証バイアスの恐ろしさ

<概要>

アメリカン・ナイトメア: 誘拐事件はなぜ"狂言"と言われたのか?
2024 | 年齢制限:16+ | 1シーズン | ドキュメンタリー
2015年、あるカップルの家に男たちが侵入し、女性が誘拐される。だがその後、女性が姿を現したことで、カップルは自作自演を疑われ...。奇妙な事件の全貌に迫る犯罪ドキュメンタリーシリーズ。
(Netflix公式サイトより)


<評価>

リアル「ゴーン・ガール」と呼ばれた事件


45分×3回の新作ドキュメンタリー。

1回目を見たとき、

「例によって、時間稼ぎの多いネトフリ・ドキュメンタリーか。1時間1回で済む話を、3回に引き伸ばしているのか」

と感じたが、2回目、3回目と意外な展開が続き、結局、これだけの長さが必要だと納得させられた。

面白いし、恐ろしいし、考えさせられる。いいドキュメンタリーで、かつ、いちおうハッピーエンドで終わってくれるのもありがたい。


2015年、カリフォルニア州で起きた誘拐事件。30歳の同棲カップルが襲われ、女性が連れ去られたが、数日して「解放された」と戻ってくる。

直前に、このカップルには、男性の浮気をめぐるゴタゴタがあったらしい。

前年(2014年)に、デヴィッド・フィンチャー監督の映画「ゴーン・ガール」が公開されていたため、警察もマスコミも、みんな「ゴーン・ガール」のような偽装誘拐、「狂言」だと思い込んだ。

映画「ゴーン・ガール」より


誘拐された女性が、たまたま映画のロザムンド・パイクに似たブロンド美人だった。マスコミは、リアル「ゴーン・ガール」(a real life Gone Girl)とか、「ゴーン・ガール事件」(Gone Girl case)とか呼んだ。

誘拐された女性は、被害者のはずが、いつの間にか加害者あつかいされていることに唖然とする。


ドキュメンタリーのなかでも「確証バイアス confirmation bias」という言葉が使われる。要は「思い込み」だ。


確証バイアス(かくしょうバイアス、英: confirmation bias)とは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮設や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと。認知バイアスの一種。
(wikipedia)


新聞記者も、映画やドラマの見過ぎで、政治家は汚いことをする、とか、芸能人にはモラルがない、とかの思い込みで記事を書く。

人間はそんなアホなはずはない、と思うかもしれないが、マジにそんなアホなのだ。そこがまさにバイアスの恐ろしさ。

マスコミが「確証バイアス」で突っ走るのは、日本の「もりかけ桜」の例でも明らかだ。最近、毎日新聞が最高裁で敗訴した件など典型だ。裏金問題や、松本人志スキャンダルにも、バイアスがあるかもしれない。

(このドキュメンタリーを見て改めて思ったが、たとえば毎日新聞の場合、全国紙が1面で顔写真つきで名誉棄損して、賠償金220万円は安すぎる。早期に訂正・謝罪されれば別だが、最後まで認めず開き直ったら、2ケタ上の賠償金でおかしくない。そうでないと抑止できず、マスコミの「書き得(どく)」「開き直り得」になってしまう)


ともあれ、この2015年の事件が特異なのは、マスコミだけでなく、警察やFBIも、終始思い込みで動いたことだ。

アメリカ人って、バカでこわいなあ、と思うが、日本でも同じかもしれない。


このドキュメンタリーの見どころは、意外なところから真相が露見すること。それ以上はネタバレになるから言えない。

だが、真相が明らかにならない可能性も大きかった。

このような「思い込み」で汚名を着せられ、そのまま名誉回復されない例は無数にあるのだろう。

と思うと、まさにリアル「ナイトメア」で、改めて慄然とさせられる。



<参考>


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