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私散文

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犬

去年の11月、ウチの犬が旅立った。
14年一緒に暮らした。
病気にもなったし介護もあったけれど
平均寿命より長生きしてくれた。
最後はちゃんと看取ることができた。

私は犬を飼うのが夢だった。
きっと大変だと、それでも飼うと決めてそうした。
楽しいことは山ほどあって、不安や心配もそれと同じくらいあった。
ウチの犬はベタベタするタイプじゃなかった。
なので、たまに甘えられると嬉しかった。
仕事から帰

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究極の休日

究極の休日

最近、金曜日の仕事終わりによく聴く曲
NakamuraEmiさんの「究極の休日」
仕事から解放された私が休みに向けて加速していくのを感じる。

「フォトジェニックと程遠い 地味な休日だけど
私が究極になる たまらないスタート」
私が究極になる・・・って、どんななの?
わからん!と困惑する。が、なぜか高揚する不思議なフレーズ
私が究極って?そもそも究極って?
そんなことを考える。
ふと答えの

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写真の思い出

写真の思い出

このご時世、実に手軽に写真を撮れる。
私が子供の頃 写真は特別なものだった。
父はすすんで写真を撮る人ではなかった。
家族の写真はほとんど伯母が撮ったものだ。

私の手元に残る子供の頃の数枚の写真
笑っていない困った顔
不安定だったんだなと思う。

実家には重たいアルバムが何冊かあって
見たいときに見られるところに置いてあった。
私が実家を離れて帰省したとき
その場所に見たことのない写真が一緒にし

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社長になりたい

社長になりたい

何言ってんだ?
はい、おっしゃるとおりです。
でも、社長になりたい。仕方ない。
年始にあたり「私のなりたいもの」は何か考えた。
その答えが「社長」だった。
偉くなりたいとか金持ちになりたいとか
そんなんじゃなくて
仕事する上での絶対的な決定権が欲しい。

私の今の仕事は派遣社員。
世間的には不安定でネガティブなイメージだ。
そのことすら私にしてみれば好都合だったりする。
正社員だったら
もったい

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そしていつかのクリスマス

そしていつかのクリスマス

シュ━━━━━━━━━━
「ん?なんの音???」
帰ってきて車を降りたら、あきらかに私の車から聞こえてくる音。
「あ、これってもしかして😨」
そう、パンクしている。
みるみるしぼんでいくタイヤを見て
大きくため息を一つつく。
「クリスマスなのに、ついてない😞」
(何一つクリスマスらしいことなどしていないが
クリスマスなのに、などと思う。
それってどうなのよ、自分。)

保険会社に電話した。

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お金

お金

何かを学ぶ時
時間やお金がどれくらいかかるのか
まず気になる。
本当にこの時代は便利になったもので
ネットを使えば無料で多くのことを知ったり学べたりする。
最近のこと。
インスタで英語のレッスンを発信している方がいて
個別のレッスンの参加者を募っていた。
参加費の告知後
お金がかかることに対してネガティブなコメントがよせられていた。
何かを学ぶためのお金は
それを提供する人や物に対して払うんじゃな

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夢を宣言

夢を宣言

幸せを感じた瞬間を覚えている。
一つは
今住んでいるマンションに
住みはじめてから しばらくたった休日の午後。
床も壁も家具も ほぼ思い通りになった部屋の中で
座って外を眺めていた時
じわじわ「あーっ、幸せ。」と思った。

もう一つは
今年の梅雨が明けた頃に
仕事帰り車を運転していた時。
開けた窓から入る風に吹かれて
あまりの心地よさに わずらわしいことを忘れて
「幸せって、こんなこと。」
そう思

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残り時間を意識して選択する50代

残り時間を意識して選択する50代

祖母は真夏に「もう冬がくる。」とよく言っていた。
子供の私は全く理解できず
祖母を ちょっとおかしいとさえ思った。

さて、お盆も過ぎて8月も後半。
ここ最近はお天気も悪かったりで
夏も終わりに向かっていると感じる。
あっという間に過ぎていく。
夏だけじゃなく一年も。
「あと4ヶ月ちょっとで もう来年か。」
・・・こういうコトね。
祖母と子供の私とでは
生きる時間の速度がまったく違う。
祖母の年齢

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ヒゲの思い出

ヒゲの思い出

自分の価値を収入の金額で測っていた30代の頃
低学歴、資格も持っていない私は
働く時間帯と時間の長さで少し多めの給料を得ていた。
こんな私でも頑張ればこれくらいは稼げる。
そう思った。
男の人にも負けたくなかった。
男の人並みに稼ぐことが
一人で生きていくには必要だと思い込んでいた。

そんなある日
顎に太い毛が二本生えているのに気が付いた。
「ん?・・・ヒゲ?」
すぐ抜いた。
その後また生えた。

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骨はどうせ砂と化して消えるのに

骨はどうせ砂と化して消えるのに

先日、健康診断を受けた時
レントゲンの写真を見ながら
病院の先生は
「特に問題はないですねー。」と言い、
その後何を言っていたのかはおぼえていない。

死んで残るのはこの骨か。
自分の骨が写った写真を見ながら
そんなことをぼんやり考えていた。

私は自身の「お骨」も「墓」も「葬式」もいらないと考えている人間だ。
私が死んだら、誰かの記憶の中の私も共に消えてなくなって欲しいとさえ思う。
生きた証など

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依怙贔屓

依怙贔屓

私は他人に対して好き嫌いがはっきりしている性格で
えこひいきもしがちだった。
他人が私に対して よくないことをしても
好きな人ならゆるす。
嫌いな人ならゆるさない。
そんなことがよくあった。

以前、その当時大好きだった友人が引っ越しをすることになり片付けの手伝いをした。
ゴミがつまった段ボール箱の中に私があげたものが捨ててあった。
私はその段ボール箱をごみ処理場まで運んだ。
その友人が好きだから

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ちっさな願望と妄想とその結末

ちっさな願望と妄想とその結末

動物が好きです。
ふれあえるペットはもちろんですが
ふれあえない野生の動物も。
私が住んでいる場所だと
主に鳥、蛙、用水路にずっといる鯉、たまーに蛇
触ったり、餌をあげることはしません。
ただ見ているだけ。
「いるなぁ。」と、
それだけで満足した気持ちになります。

例えば、近所でウサギを見つけたとして
それからそのウサギに出会えなくても
このどこかにウサギがいるんだ・・・
そう思ってしげみを眺め

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帰る場所、ありますか?

帰る場所、ありますか?

『進撃の巨人』ED曲
ヒグチアイさんの「悪魔の子」の歌詞

鳥のように 羽があれば
どこへだって行けるけど
帰る場所が なければ
きっとどこへも行けない

帰る場所は家なのか、故郷なのか、それとも誰かの元なのか
私の場合の帰る場所 「家」について

帰る場所は帰りたい場所のはずなのに
私にとって生まれ育った家はそうじゃなかった。
家族構成は実の父、実の祖母、実の兄、そして私。
なのに、なぜか私

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私の写真は○○○。

私の写真は○○○。

写真が好きです。
どちらかと言えば
撮るよりも見る方が好きです。
写真を見ながら、その写真の中にダイブして
苔むしたお寺の静寂を感じたり
夕暮れの海の色の移り変わりを思い出したり
浮かびあがった花の向こうの闇を見ようとしたり
私を一瞬にしてどこかへ連れて行ってくれる写真が好きです。

私が撮る写真はなぜかそれとは逆で
見た人をどこにも連れて行かない
拡がらない
『内向的な私』が写真に出ていると感じ

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