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断食の可能性。アスリートと断食(ファスティング)?

 断食(ファスティング)についての覚え書き。

私は月に1~2回程度は、1日もしくは1日半断食のような短い断食をしようかなと考えています(たまにはもっと長めに)。

関連note:16時間断食でオートファジーを活性化!? 胆石など副作用についても 【断食(ファスティング)】

関連:「ダイエット」「断食(ファスティング)」の記事(瞑想する人note)



断食の方針について

 魑魅魍魎系の信仰やスピリチュアルの人たちがやるような、宗教苦行系の断食はやらないです。

リスク、デメリットを把握した上で正しくマネジメントされた断食に興味があります。

関連note:>> ※諸注意、リスク(禁忌、低栄養性脂肪肝、胆石症など)

断食の要点の把握に努めたうえで、方向性としては以下の状態を目標とします。

胃腸、内臓を休める
飲食物、とくに糖質、脂質、タンパク質の摂取を思い切って制限することによって消化吸収、同化、排泄の工程に関係する身体の諸器官・諸活動を休める。

カロリー、栄養を思い切って制限する
とくに糖質、脂質、タンパク質を制限する。

ケトン体代謝の活動を現出させる

なぜこれらを目標にするかというと、、

正しくマネジメントされたやり方で、ケトン体代謝が活発になる程度の飢餓状態を体験しようとするわけです。

そしてその飢餓状態で生じる神経生理の活動の、心身への影響に興味があるからです。
おそらくその影響は良いものであるのではないかと考えています。

ダイエット(減量・痩身)を目的とするものではないです。


また、断食によるこのような飢餓状態の影響について、医学的、生理学的にも研究・エビデンスが積み重なっておらず、未開の領域であろう点でも興味深いです。


 これらを目標とするので、たとえば糖質が含まれるなどして十分なカロリー摂取のできるようなタイプの栄養・酵素飲料断食はしないです。
これは固形物を摂取しないことで、胃腸・内臓を休める効果はあるかもしれないし、飢餓感が少ないのでイージーなやり方かもしれませんが、栄養の制限とケトン体代謝に関して不十分だからです。


しかし、上の目標から外れない程度には、ごく少量のナッツ類やオリーブオイルなどは摂取しようかと考えてます。
断食による胆石症のリスクを軽減できないかと考えています。

オリーブオイルに関してはポリフェノールの効果や整腸効果も期待できそうだし。


 ただ、オートファジーが活性させるダイエット法や断食の実践中には、ポリフェノール、抗酸化物質をサプリメントなどで多量に摂らない方が良いとする意見もあるようです。
というのは、ポリフェノール、抗酸化物質などの成分が、身体の自然なオートファジーの働きを混乱させるとする意見があるようだからです。
詳細は分かりません。

 あと女性の場合には、断食や強めのカロリー制限ダイエットは、男性よりもホルモンバランスの乱れなど副作用が生じやすいとする意見もあるようです。


断食は瞑想的なもの?

 スピ系自然療法みたいなエセ医療っぽい説明になりますが、。
瞑想と断食は相通じるものがありそうだと直感しています。


 基本的には、瞑想は座ってリラックスして心身の活動を鎮めるものです。
心身の活動による外界への働きかけを、積極的に行うというものではないです。
また諸感覚を通して、あわただしい外界の状況を積極的に把握し、反応しようとするものでもないです。
(瞑想には、さまざまなやり方がありますが、、、)

 なので、瞑想は「リラクゼーション法」であると説明されることがあり、心身の活動面では、消極的なものと考える人もいます。


 しかし、他の瞑想者の大多数の人はどう感じているか分かりませんが、少なくとも私の感覚では、「瞑想は単なるリラクゼーションに寄った消極的なものではない」と感じています。

むしろ外界の影響、外界へと向かおうとする心身の活動を遮断することによって、人間に元々備わる「内なるもの」が顕現する、「内なるもの」の活動が生じるという、積極的な面があるように感じられます。

このような感覚について、中国の気功、その中でも奥深い実践である内丹(仙道)では、「静中有動」―― 動かないで静かに瞑想しているが、内気(内なる気)は活発に活動している ―― 、 「後天を先天に返す」「後天が退き先天があらわれる」―― もともと備わっていた生命力の活動や意識の状態があらわれる ―― 、、、などとよく表現されます。


 この瞑想の感覚は、なんとなく断食の体験や効果を連想させます。

 断食は、思い切った食事制限で飢餓状態を作り出します。
では、これは胃腸を含めた身体の単なる休息状態であり、そして、結局のところは衰弱・無活動へと向かうものなのでしょうか。

そのような消極性ばかりではないと感じられます。

むしろ、人体の内に元々備わっている生命現象で、通常では働くことのない生命活動、神経生理の活動が、断食の状態では活性化され現出するという積極性もあるのではないかとも感じられます。

その断食によって生じる人体の特殊な活動の内で分かりやすいものの一つが、たとえばケトン体代謝だったりオートファジーの活性化だろうということです。
(ケトン体代謝やオートファジーの活性化は断食以外でも生じます)

他にも、内分泌、免疫、エピジェネティクス、腸内フローラ、、、、などの点でも興味深い発見があるかもしれません。

エピジェネティクス・・・DNAの塩基配列の変化をともなわずに、遺伝子の働き・発現を決める仕組み。またその研究領域。


また断食中は、やはり、やつれ気味になるためか身体活動、外部への反応・働きかけの意欲が減衰して、自らの内部に向かうというような感覚や衝動を感じる人もいるかもしれません。

ひょっとすると瞑想と断食はとても相性が良くて、お互いに、その効果をブーストしあったりするかもしれません。

関連note:断食療法(ファスティング)の体験談。断食と瞑想 >> 瞑想がはかどる?


脳・神経系や精神への作用

 医学・生理学の専門家でもない人が、こういう細かいことに触れるのは、スピ系自然療法によくあるエセ医学臭を強めてしまうので嫌なのですが、、、、

断食によって、ケトン体代謝に関係するメカニズムなどによって、人体内では様々な生理活性物質の生成合成が促進されると言われます。

その内の一つが、たとえば、脳由来神経栄養因子(BDNF)です。
これは脳ミソに良いものです。
「断食/ファスティング  BDNF」でググってみてください。


 ちなみにこのBDNFは、筋トレやちょっとばかし強度のある有酸素運動でも生成が促進されることが分かっています。
運動が脳機能・学習能力を高めるといった話題では、BDNFは必ずといっていいほど言及されます。

あと瞑想とBDNFとの関係についても、注目する研究者はいるようです。


 このBDNF以外にも断食、ケトン体代謝のメカニズムが優位に働くことによって生成分泌が促進される生理活性物質が沢山あるようです。
それらにはアンチエイジングや認知機能、精神状態の改善に役立つなど、様々なものがあるようです。


 断食によって多幸感や爽快感、集中力の高まり、、、などを経験することがあると報告されています。
これは、ただの気まぐれではなくて、生理学的な根拠があるものだという説が唱えられています。

断食中に生成が促進される物質が、脳ミソに作用することによって、それらの精神状態が発現するという説があります。


とにかく断食は脳・神経系、精神にも、生理学的な根拠をもって作用するものだと言えます。

この点でも、瞑想と断食の相性の良さを探ることができるかもしれません。


アスリート、スポーツにも良い?

 断食では、筋肉は痩せます。
またやり方によっては基礎代謝や胃腸機能、内分泌、骨量などにも長期的な影響があるとされます。

なのでスポーツ、格闘技、ボディビルなどでは、断食は注意しなければならないものではあるでしょう。

断食でやつれたら、パフォーマンスが悪化します。

しかし、今後断食についての生理学的・医学的な研究がすすめば、アスリート向けの断食プログラムが開発されるかもしれません。


ちなみプロ選手の中にも断食を取り入れている人も既にいるようです。
ひょっとして既にけっこういるのかもしれません。ネットで検索するといろんな記事が見つかります。

参考:プロゴルファー宮里美香が語る【断食】…準備と回復を合わせて3週間「体をリセットするためです」



 ではどのような点で、アスリートと断食が結びつくのでしょうか?

可能性としてあり得るのが、やはり、心身のコンディションや怪我の回復などでしょう。持久力、正確性、筋肉・筋力の質にも関係するかもしれません。

さらにもっと繊細な領域にまで及ぶかもしれません。

断食は、神経生理・内分泌、エピジェネティクス、腸内フローラ、、、にまで影響があり得るものです。


 神経生理・内分泌を通しての「意識・意志と身体活動の協調」といったものまで調整するような、断食プログラムも開発し得るもかもしれません。

断食中の神経生理の状態は、ひょっとすると瞑想と相性が良いかもしれません。
たとえケトン体代謝のメカニズムが働こうとも、やはり断食中は、身体はやつれ気味になるので激しい運動は適していないでしょう。

自らの内に向かうような実践が良いかもしれません。
なので断食プログラムには、瞑想やヨガといった自らの心身に向き合うような実践が適しているのかもしれません。

関連note:【ヨガの分類①】健康法のヨガ。リラクゼーション、整体効果、瞑想


内省、「意識・意志と身体活動の協調」、イメージトレーニング、精神的な平静さ、集中力、俯瞰的な視点、感覚の反応や身体の動作の正確性を身につけるような実践も、アスリート向けの断食プログラムには適しているのかもしれません。


断食の効果を東洋伝統療法的な、迷信的な方法で表現すると、、、

外なるものを遮断し内なる生命力を目覚めさせ、アーマ(毒素)を除き、ナーディ(気の経路)を浄化・新生し、プラーナ(気)で賦活し、心身を活性化させる

 、、、というものなのかもしれません。


関連参考

・Intermittent Fastingはアスリートに有効か?


・損傷した末梢神経は、「断食」で治癒し再生する:研究結果


・オートファジーと“運動”がもたらすメリットとは? 16時間断食はダイエット以上の効果アリ