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家族は武蔵野線に乗ってディズニーランドへ行き、私は野岩鉄道6050型に乗って檜枝岐村へ行く
「パニック、パニック、パニック、みんなが慌ててるー」
夜明け前の春日部駅のホームに、クレヨンしんちゃんのテーマ曲を使った軽快な発車メロディが流れ、成人式後の徹夜明けなのだろう、スーツやドレスで着飾った集団がドタドタと車内に飛び込んできた。
三連休の最終日。妻と息子はスイミングスクールの友達グループとディズニーランドへ行くという。自由な一日を過ごす千載一遇の好機来たり。日帰り乗り鉄旅へ行こう。
会社をいつ辞めてもいいように
ここ数年間、己が職種で正社員は私一人であった。
属人的すぎて会社におけるリスクだとしばらく言われ続け、その声に押されて昨年後半から採用活動をし、思った以上に我が職種は売り手市場なのだと知り、私こそが求職者の立場になってやろうかしらと揺らぎながらも面接官を演じ続け、ようやく今年に入って少しか弱さも見える好青年を採用した。
チーム体制の安定化という目的を果たし、なおかつ私にとっては育成に成功すれ
【四十五歳中央アジア紀行1日目】飛んでソウル
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十一月二九日。
小学校へ登校していく息子たちとランニングに出掛けた妻を見送り、「BS世界のトップニュース」と新聞を読みながら昨日のあまりの餃子とご飯、味噌汁を食べ、洗濯機を回す。トルコ軍がシリアのクルド人勢力に対して本格攻撃を始めたというニュースに辟易とし、「羽鳥慎一モーニングショー」にチャンネルを変え、皿を洗い、掃除機をかけ始める。
掃除機の轟音の向こうに、武田修
【四十五歳中央アジア紀行2日目】飛んでアルマトイ、そしてタシュケント
1日目の旅行記はこちら
十一月三十日。四時間ほどの睡眠で目覚ましが鳴る。東横インの朝食は七時からであった。ソウル駅発8:10の仁川空港鉄道の直通列車を予約していたので、五時四十五分に起きなくてもいいはずだ。だが、私は己の睡眠欲を打倒して、激しく起床し、熱いシャワーを滝行のように猛烈に浴び、長い機内と乗り継ぎ時間に向けた機内持ち込み荷物を改めて整えて、脱兎のごとくソウルの街へと飛び出した。六時二
【四十五歳中央アジア紀行 0日目】飛ばないイスタンブール
久しぶりに出社した、九月のとある日。
ほとんどが在宅勤務のせいで閑散としたオフィス内で、私は東野出さんに話しかけた。
「妻という立場でさ、二週間くらい一人旅に出る夫ってどう思う?」
東野出さんは、業務ではほとんど絡みはないが、近しい年齢だ同じ釜の飯を食らっているので、たまに話をする。そして、二人の男の子のママということで、妻に対してそうであるように、私は東野出さんには頭が上がらない。 東野出