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本紹介

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2015年12月の記事一覧

一年が終わるときに

一年が終わるときに

大晦日。
誰しも一年を振り返ってしまう大晦日。
そして、来るべき年に何らかの期待と希望と抱負を抱いてしまう大晦日。

『ぐりとぐらの1ねんかん』(なかがわりえこ と やまわきゆりこ)

久しぶりにこの絵本を開いてみた。
12月のページ。
今年とお別れする「さよならパーティー」に来た人は、「ことし いちばん うれしかったこと」を話すことになっている。

これはいいな。
そういえば、小学校の「帰りの会

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年賀状のサルにお困りの方へ

年賀状のサルにお困りの方へ

年賀状。
今頃作ってます。
もうそろそろやめにしたい…かな?
でも踏ん切りがつかない。
もらったらやっぱり嬉しいし。

干支のイラストも、悩みどころですよね。
「サルかー…書けねーし」
と、思っていたら、こんな便利なものがありました。

「あそびえかきうた」シリーズ(全3冊)より
『はっぱの なかの はっぱっぱ』(よしだていいち作 しのはらよしたか絵)

この絵かき歌絵本に載っている、こちらの歌

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猫 この狂おしい存在

猫 この狂おしい存在

布団からなかなか出られぬ朝。いや、出なくても良いのさ。冬休みだもん!
「もういい加減起きるにゃ〜」と呼びに来た猫を布団の中に引きずり込み、二度寝を決め込むのさ。冬休みだもん!ヒャッホウ!
「猫よ〜、なんでそんなにかわいいの〜」と頬ずりすれば、いきなりほっぺたをガブリ。
ここですね、猫の魅力は。
「あんたのことは結構好きだよ。ゴハンくれるしさ。寒い時は便利だし。でもイヤなもんはイヤっ」

レオナード

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溜め込んだ諸々 そして純文学

溜め込んだ諸々 そして純文学

年末の気忙しさ極まれり。
世間様の大掃除ムードに乗ろうと必死であるが、膨れ上がったファイルボックスにはなかなか着手する気が起きずにいる。

トーベ・ヤンソン『誠実な詐欺師』では、老女が、溜め込んだ膨大な書類・手紙類を下宿人に整理してもらう場面が出てくる。
また、思い入れがあって捨てられない物たちを、凍った湖の上に盛っておく場面がある。
春になって氷が解けたら、盛られた物たちは湖の底へ。目からウロコ

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ジャーナリズムについて

ジャーナリズムについて

昨夜は、古い友達と、3年ぶりくらいに酒を酌み交わしながら語りあった。
彼女は、若い頃はバリバリのカメラマンで、アーティストや市井の人々や静物やらを、とても素敵に撮っていたし、仕事一筋だった。

そんな彼女も母となり、自分のことより子どもや家庭のことを最優先して生きるようになり、カメラを持たなくなって久しい。
「別に写真なんてどうでも良くなっちゃったんだよね」

そんな彼女が、今ふつふつとやりたくな

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あしたするよ

あしたするよ

今年も残すところあと一週間あまり。
どうしよ、どうしよ〜!と常に心のどこかに焦りはあるものの、年賀状も大掃除もクリスマスの飾り付けさえも後回し。結局ダラダラ過ごしている天皇誕生日である。

枕元に置いている本の中に、がまくんとかえるくんシリーズの『ふたりはきょうも』がある。

この短編集の最初に収められている「あしたするよ」を教訓にしようと思い、数年前からベッドサイドに置いているのだ。

部屋

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年の瀬 名作劇場

年の瀬 名作劇場

『かさじぞう』と『まっちうりの少女』。どちらも貧しい主人公の、大晦日のおはなしだ。
老夫婦には幸せな正月が訪れるが、少女は凍えて天に召されてしまう。
今日は2年生に、どちらかの紙芝居を読もうと思った。

自分は小学1年生の学芸会で、『マッチ売りの少女』をやった(役は通行人A)。

よくこんな劇を1年生にやらせたよなぁ。

今どきの学芸会で、ハッピーエンドじゃない劇なんてやるだろうか?見たことない

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長新太とペンギン〜結果編

長新太とペンギン〜結果編

「長新太の絵本で、ペンギンが出てきて、ホテルの話で…」という、絵本捜索願いの結果発表〜!

週が明けて、当たりをつけていたペンギン絵本を依頼人に確認する時がやってきた。
「もしかして、これではないですか?」

『ペンギンやまのアイスホテル』(渡辺有一 作・絵)

果たせるかな、「これこれ、コレです!」と大感謝されたのであった。
「長新太だとばっかり思ってたけど、思い違いでしたねー」とのこと。
十数

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長新太とペンギン

長新太とペンギン

「長新太の絵本で、ペンギンが出てくる話があったと思うんですけど…題名を忘れちゃって」と、ある方から相談を受けた。
そういうご相談はとにかく嬉しい。「長新太といえば田村です!おまかせください!」と勇んで「これですかねー」とお持ちするも、「あー、違うなー」と言われてしまった2冊。
『カレーライスのすきなペンギン』と『まほうつかいのなんきょくさん』。

確かに、絵本ではないしね。文は違う人だしね。
でも

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ちょっとだけ悪い女の子

ちょっとだけ悪い女の子

今日のわたしはちょっと悪かった。
誰にも迷惑がかからない些末な悪さである。
スケールがちっちゃい悪さをやりました、ごめんなさい。

幼児期のわたしは、周囲に一目置かれる悪い子だった。近所の子どものおもちゃを取り上げて川に流したり、母親の日記を1ページずつ破って「回覧でーす」と近所に配ったりしました、ごめんなさい。

そこで思い出したのが『マイケン 12月19日』(マルガレータ・ストルムステット作

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学校図書館に出来ること

学校図書館に出来ること

今日の新聞記事の中で、特に目にとまった記事。夜間の繁華街を徘徊する少年少女に声かけ活動をしている「BONDプロジェクト」と無料学習教室を開いている「さいたまユースサポートネット」を取り上げた「学びの現場から」(日経新聞)。
これらの活動を賞賛したい!と思うと同時に、「夜の居場所」を必要とする若者が増大する社会に、どよよーんとしてしまう。
『多様性と出会う学校図書館』(野口武悟・成松一郎 編著)には

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