瑞野明青

歴史や旅が好きです 平安末期から鎌倉時代が本籍だと思っていたのですが、最近幕末・明治に…

瑞野明青

歴史や旅が好きです 平安末期から鎌倉時代が本籍だと思っていたのですが、最近幕末・明治にはまってます 旅は国内・海外とも行きます

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  • 【小説】奔波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編

    小説 奔波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編 をまとめました

  • 奔波の先に~井上馨と伊藤博文~ 飛翔編

    井上馨の生涯を描いていきます。 維新の三傑を失い、これからの政府は伊藤博文と共に自分たちで担っていく。それには困難が…

  • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ 明治維新編

    【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ の明治維新編をまとめます。

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【小説】「奔波の先に」の先にはどこに行くんだろう(参考文献リスト) 

 井上馨に興味を持って、とりあえずこれだけ読みました。 どこに向かうかどこまで続けられるのかわからないんですが、影響が大きいのは坂野潤治先生のものです。特に「未完の明治維新」にはなぜか泣けました。明治維新にかけた人たちの思いが、ここに帰結するとは思えないの何故か。  伊藤博文の影に隠れ、実績もどこまでがそうなのか、よくわからないと言われています。そのために総理大臣になりそこねて(実際にはけっていますが)います。しかし、折角大河ドラマ「青天を衝け」で登場したのですから(カット

    • 奔波の先に〜馨と博文〜特別編 井上式料理を食す

      先日 たなか〰る先生の「川棚温泉で井上式料理を食べる」イベントに行ってきました さて、井上馨とは  明治の元勲、元老であり、財界にも多大な影響力を持った人物です。伊藤博文の盟友としても有名です。くわしくは、本編をお読みくださいm(_ _)m  この井上馨、料理好きで有名です。家に来た客や宴席において、自分の作った料理でもてなすのが好きですが、大きな問題がありました。  独特すぎるレシピ、味付けや食材の組み合わせに、ついていける人がほとんどいないのです。そのためどうやってやり過

      • 【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#164

        28 条約改正への道(3)  鹿鳴館のパーティで、博文と馨は、密かに話し合っていた。 「宮内卿の居心地はどうじゃ。宮中も変革が進んでいるが、抵抗勢力は大きすぎるからの」 「まずは、陛下に皆の上に立つという心構えを、持っていただくところからじゃ」 「わしは実力行使が過ぎる、と言いたいようじゃの」  馨はふと宮中での出来事を思い出していた。  気になったのが、朝見の時の天皇皇后両陛下の椅子の高さだった。  馨は宮中の担当に「お二人の椅子の高さを揃える必要がある」と命じていた。

        • 【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#163

          28 条約改正への道(2)  博文が主導していた華族令が交付された。これにより旧来の家柄だけでなく、武功や国に貢献した人物にも爵位が得られることになった。  馨も博文と一緒に伯爵になった。ちなみに武子の実家岩松家は新田を名乗ることを認められ、一足先に男爵となっていた。これには馨の存在が、後押しをしたとも。  そんな時、また朝鮮で動きが起きた。また、京城にある公使館が襲われたというのだ。  大輔の吉田が、外務卿の馨の執務室にやってきた。 「京城で動きがあったようです。先程、

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        【小説】「奔波の先に」の先にはどこに行くんだろう(参考文献リスト) 

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        • 【小説】奔波の先に〜聞多と俊輔〜幕末編
          54本
        • 奔波の先に~井上馨と伊藤博文~ 飛翔編
          22本
        • 【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~ 明治維新編
          89本

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          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#162

          28 条約改正への道(1) 「そういえば、謹助はいつまで東京に居るんじゃ」  博文がふっと、何の気無しに口にしていた。 「20日までだった」 「聞多もおるし、たしか勝もおったはずじゃな」 「俊輔、何をブツブツと独り言を言っとるんじゃ」  馨は不思議そうに声をかけた。 「ふん、君たちは気が付かないようだから、言ってやる。わしら密航から20年じゃよ。正式には去年だったのじゃが。これは僕が洋行しとったから問題なかろう」  博文は胸を張って威張りながら続けた。 「山尾は東京を離れる

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#162

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#161

          27 鹿鳴館 (7)  鹿鳴館も建物としての問題が色々あり、それを一つ一つ乗り越えて、形となりつつあった。そんな馨の前にまた一つ問題が持ち上がった。 「この馬鹿ぁ。なぜ、これが駄目なのか、わしに理解るように説明しろ」 「それは、我が国において、このような前例がありませんので」 「おぬし、公使館の経験は?」 「ありますが、公使館付きの留学生でして」 「そげなもんと、話してわかるものじゃないの。実際に反対しているのは誰じゃ。それに直に来るようにというんじゃな」  失礼しますと言

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#161

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#160

          27 鹿鳴館(6)  馨も希望通りの日比谷近くの旧薩摩藩の藩邸の土地を手に入れる事ができた。  土地が決まったことで、設計も本格的になった。設計はジョサイア・コンドル、工部省のお抱え外国人で工部大学校の教師を勤めている。そういえば、博物館もこの男の設計だったなと馨は思った。軽やかな感じでは駄目だとはっきり言っておく必要があると考えていた。 「君が設計担当のコンドル君か」 「よろしくお願いします」 「単刀直入に言う。ヨーロッパのゴシック様式で作って欲しい」 「外国人との社交場と

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#160

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#159

          27 鹿鳴館(5)  明治16年7月のある日、馨は三条実美と共に岩倉具視に呼ばれた。  病の床にあった岩倉は、もう自分には時間がないことを知っていた。そのため数少ない公家出身の同士でもある三条実美と、本来呼びたかった伊藤博文の代わりに、自分を呼んだのだと思った。一緒なのが三条公で良かったと思った。  ふたりで枕元に座ると、岩倉は起き上がって迎えていた。あまり体調は良くないのが一目でわかったので、三条は横になるように勧めたが、気丈にも断っていた。そして三条の手を握っていた。

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#159

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#158

          27 鹿鳴館(4)  その後は、馨の考え通り進んだ。花房公使は京城に一時帰任し事態を確認した後、下関に到着した。馨も特派全権大使として下関に向かった。 「花房君、報告書は読んだ。軍の改革で、新式の軍制を用いた部隊と旧式の部隊で待遇に差が生じたと。その不満を使って、クーデターのようなものが起きた。そういうことじゃな」 「そうです。改革を進めていた王妃の閔氏の一族や、それに協力していたとして我らが、狙われたのです」 「それで、現状はどうなっとる」 「閔氏に対立していた、大院君が

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#158

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#157

            27 鹿鳴館 (4)  外交は外務卿に一任されている。かといって、話をする相手、博文の不在が馨の判断にためらいを残していた。そんな時、岩倉公に馨は呼ばれた。 「井上はん、朝鮮についてお聞きしたいのだが。どうも迷ってらっしゃるようですな」 「迷っているとか、そういうわけでは」  馨は思わず取り繕っていた。決めかねていることは確かなのだが。 「清の動きも気になってなぁ」 「以前と比べれば清の力は弱くなってきております。我が国の存在感を示す時期とも言えます」 「朝鮮を巡っ

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#157

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#156

          27 鹿鳴館(3)  また、外務卿としての仕事も、少し先が開けてきていた。  先年、条約改正案を各国公使に通知していた。ただ、関税自主権は取り下げると行っても、税率の引き上げは考慮されるようにしていた。各国の感触を確認するとしても、国により交渉の質が違うことがあった。ドイツの公使青木周蔵はドイツ政府と密接な交渉ができていた。この突出した国が出ることに、他の国の公使の成果の問題やイギリスが不満を持つことになってしまっていた。この時の改正案にはイギリスが反対してきた。  しかし

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#156

          あけましておめでとうございます

          少しお休みしております 奔波の先に〜井上馨と伊藤博文〜 ですが。作者は相変わらずぶつぶつやっております。 年明けから再開して参りますので、よろしくお願いします。

          あけましておめでとうございます

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#155

          27 鹿鳴館(2)  実は、板垣退助と後藤象二郎を、洋行を餌に懐柔しようという意見が、馨の周りからでていた。  まずは板垣に、政府からは伊藤が、憲法研究で欧州に視察に行っているのだから、民間でも行くべきではないかと言う話を、伊藤博文からさせた。その話を聞いた板垣は、自分も欧州に行き実地の調査をしたいと、思いだしていた。その気持を出発前の博文に、伝えていたので、馨にも伝えられていた。  また、板垣は後藤にも洋行の希望を話していて、費用について相談していた。橋渡し役を引き受けた

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#155

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#154

          27 鹿鳴館(1)  昨年来手掛けていた、鳥居坂に私邸が完成していた。 「武さんどうじゃろ、基本的に椅子とかテーブルの生活になる。畳の部屋は来客対応の部屋や、待合室にも残しちょるよ。そう、寝所もな」 「あまりにも豪華で、何をどうするかなど、思い及びません」 「使いながら、勝手の良くないところを直していくしか無いじゃろ」 「あぁ、井上さんこちらですか」  益田孝が馨に話しかけていた。 「武さん、この家は随分益田君に骨折ってもらったんじゃ」 「そうでしかたか。旦那様は注文も多か

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#154

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#153

          26 明治14年の政変(7)  今度は、東京に参議や卿が揃ったところで、大隈の罷免のため、動くことになった。  まず、馨が岩倉に会い話をした。その後元老院議官の安場も、大隈の陰謀について語った。岩倉も、大隈の罷免が、止められる状態でないことを、理解したようだった。政府の結束、つまり薩長の間には大隈の存在が、邪魔になっているのは、明らかなことだった。    そして、天皇が巡幸から帰京した10月11日の夜だった。大隈重信と大木喬任を除いた形で、三大臣と参議が集まり、御前会議が開

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#153

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#152

          26 明治14年の政変(6)  まず博文は馨と、財政整理で浮かび上がっていた、開拓使の廃止と払い下げについて、進めることにした。 「開拓使は、底なし沼じゃ。北海道は広すぎるし、採算が取れるようにするには、金がかかりすぎるんじゃ。損金切りではないが、ここいらで、打ち切るのも必要なことだと思っちょる」 「だが、黒田にとっては廃止など、考えもしないことだろう。それを、どうやって取り込むか」 「俊輔、わしは、民間にやらせるのがええと思う。払い下げて事業は続けさせるのであれば、落とし

          【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#152