【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#160
27 鹿鳴館(6)
馨も希望通りの日比谷近くの旧薩摩藩の藩邸の土地を手に入れる事ができた。
土地が決まったことで、設計も本格的になった。設計はジョサイア・コンドル、工部省のお抱え外国人で工部大学校の教師を勤めている。そういえば、博物館もこの男の設計だったなと馨は思った。軽やかな感じでは駄目だとはっきり言っておく必要があると考えていた。
「君が設計担当のコンドル君か」
「よろしくお願いします」
「単刀直入に言う。ヨーロッパのゴシック様式で作って欲しい」
「外国人との社交場と