記事一覧
【小説】「奔波の先に」の先にはどこに行くんだろう(参考文献リスト)
井上馨に興味を持って、とりあえずこれだけ読みました。 どこに向かうかどこまで続けられるのかわからないんですが、影響が大きいのは坂野潤治先生のものです。特に「未完の明治維新」にはなぜか泣けました。明治維新にかけた人たちの思いが、ここに帰結するとは思えないの何故か。
伊藤博文の影に隠れ、実績もどこまでがそうなのか、よくわからないと言われています。そのために総理大臣になりそこねて(実際にはけってい
【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#163
28 条約改正への道(2)
博文が主導していた華族令が交付された。これにより旧来の家柄だけでなく、武功や国に貢献した人物にも爵位が得られることになった。
馨も博文と一緒に伯爵になった。ちなみに武子の実家岩松家は新田を名乗ることを認められ、一足先に男爵となっていた。これには馨の存在が、後押しをしたとも。
そんな時、また朝鮮で動きが起きた。また、京城にある公使館が襲われたというのだ。
大輔
【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#162
28 条約改正への道(1)
「そういえば、謹助はいつまで東京に居るんじゃ」
博文がふっと、何の気無しに口にしていた。
「20日までだった」
「聞多もおるし、たしか勝もおったはずじゃな」
「俊輔、何をブツブツと独り言を言っとるんじゃ」
馨は不思議そうに声をかけた。
「ふん、君たちは気が付かないようだから、言ってやる。わしら密航から20年じゃよ。正式には去年だったのじゃが。これは僕が洋行しとった
【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#161
27 鹿鳴館 (7)
鹿鳴館も建物としての問題が色々あり、それを一つ一つ乗り越えて、形となりつつあった。そんな馨の前にまた一つ問題が持ち上がった。
「この馬鹿ぁ。なぜ、これが駄目なのか、わしに理解るように説明しろ」
「それは、我が国において、このような前例がありませんので」
「おぬし、公使館の経験は?」
「ありますが、公使館付きの留学生でして」
「そげなもんと、話してわかるものじゃないの。実際
【小説】奔波の先に~井上馨と伊藤博文~#152
26 明治14年の政変(6)
まず博文は馨と、財政整理で浮かび上がっていた、開拓使の廃止と払い下げについて、進めることにした。
「開拓使は、底なし沼じゃ。北海道は広すぎるし、採算が取れるようにするには、金がかかりすぎるんじゃ。損金切りではないが、ここいらで、打ち切るのも必要なことだと思っちょる」
「だが、黒田にとっては廃止など、考えもしないことだろう。それを、どうやって取り込むか」
「俊輔、わ