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終戦のローレライ(著:福井晴敏)【ヲ号作戦発動、我々読書紹介班は、これより夜間ひそかに接近して、敵主力にたいして大音声による読書紹介を行う】

20年くらい前に大きな駅の書店で、どっさりと上下二分冊で棚詰みされていたのを見かけました。
その後、単行本は全4巻で出され、私が読んだのはこちら。

どうも潜水艦映画を撮りたいのでそれの元ネタを作ってほしいという感じで、福井晴敏先生に依頼されたらしいのですが、がんばりすぎた。

これは2時間の映画枠に収まる量ではなく、
アニメ1クール分(12話で6時間)は最低でも必要です。


それを無理に二時間枠に詰め込んだために、
映画は悲惨な出来になってしまいました。

かの監督にとっては黒歴史だったでしょう。
だってキャストも減らして「SWからハンソロが全抜けする」
みたいな登場人物カットをしていましたからね。
そりゃ悲惨だわさ。

同時期にドイツは「総統閣下」の元ネタ映画を出してきたので、
(まあ日本としては「日本のいちばん長い日」がそれに相当するのでしょうけど)一部コメントは荒れてました。

今からでも遅くない。
1クールアニメに仕上げればいいんじゃないでしょうか?

原作の福井先生は、どうにかして二次大戦ものでガンダムを表現したかった、とか無茶な目標を立てていらしたようで、それでああいう破綻したスケールのものになってしまったようです。
やらかし先生だ。

がしかし、小説は読みごたえがあって面白かったです。
まあ超能力者とか出てくるけど、うまく世界観の中に溶け込ませているので、違和感はまったく感じませんでした。

まあ平たく言うと、ナチスの秘密兵器群の中にサイコミュ(的な何か)もあったというネタです。

違和感はないですよね?

またこの潜水艦、フランスが作っていたスルクフという実在する大型潜水艦で、なんと潜水艦なのに連装主砲がついています。
史実ではまったく活躍せずに沈没してしまった船なのですが、それをこんな形で再利用するとは。

作品内世界では、スルクフをドイツ軍が接収、サイコミュ(的な何か)を搭載したたった一隻の潜水艦として鬼神のごとき活躍をした後、ドイツ敗戦後に日本へ亡命してくるところから始まります。

時は大戦末期。
絶望的な戦局で、日本海軍はこの一隻の潜水艦に祖国の命運をかけて、南海に派遣します。
いや、ガンダムというより、ヤマトのノリなんだが。

まずもって潜水艦にたどり着くまでが大変で。
悲壮感溢れすぎる旅立ち。これはヤマトのノリだぞ。
滅亡寸前の地球(日本)
ここまでですでに物語は躍動し始めている。

しかも主人公は貧乏な学徒兵で、
くだんのサイコミュはドイツ系日本人の美少女。
ふたりは出会った。いまちょっとネタバ(検閲済み!)

ようやく潜水艦にたどり着いたはいいものの、
そのあとも圧倒的な敵を前に、あの手この手で、
たった一隻で生き残っていかなければならない。
しかもサイコミュは敵一隻を撃沈するとしばらく沈黙する。
それを改善するための方法とは・・・

そしてスルクフ(もしくはUF4)改め伊507がたどり着く結末とは。
圧巻とも言える最後の戦いとは。

いやあ、普通に海洋冒険小説でした。

私としては、実に面白かった。
もうひとりの主人公と言える人物をカットするとか、
やむを得ないとはいえ映画の方が万死に値する・・・・・
とかなんとか言われても、これは仕方ない大河でしたね。

ただ上下二分冊で長大なのが難点。
(単行本だと4冊)

やはり今からでもアニメ化するべき。
というかネットフリックス辺りがやったら絶対に売れるよ。
アメリカが悪役の作品は作れないのかもしれないけど。
(絶対的な悪役ではないが)
原作を忠実に作れば世界で売れるのは間違いない。

あとは読む前に、椰子の実の歌を事前に聴いておいてください。

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