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低出生体重児は痛みを感じにくくなる?


現場で経験することの1つに、低出生体重児で痛みを感じにくいお子さんがいる。


保護者の方と話していても、

・転んでも泣かない
・友達とぶつかってもヘラヘラと笑ってるので、友達にも勘違いされそう
・そもそも痛そうなそぶりをしない

などと、言われる場面があります。


今回はそのような疑問点に対して、以下のような論文を確認してみました。


今回、参考にした論文はこちら↓


雑誌名:The Journal of Pain
IF:5.6(2022,5year)

※内容には個人的な見解が含まれます。ご理解の上、ご覧ください。


新生児の痛みについて


新生児は、痛みを処理し知覚するシステムが未熟であるため、痛みを経験する能力が低いと考えられてきた。


特に早産で生まれた子供では、痛みを伴う出来事が繰り返される。
特に、早産児の場合、新生児期の数ヶ月間の入院中に、痛みを伴う出来事が繰り返されることで、ストレスが長期かする。


そのことによって”痛みの感受性が変化する”可能性があると、いくつかの論文で報告もされている。


今回は、早産児と正期出産のお子さんを比較して、痛みの耐性、痛みの知覚、主観的な健康状態を比較することであった。


研究の結果


痛みに関する研究の結果、


早産で生まれた青年は、痛みの耐性が有意に低いことがわかった。


今回の研究の結果では、驚くべきことに、


新生児期に侵襲的な痛みを伴う治療を受けた経験の少ない早産児で痛みの耐性の低さが観察された。


痛みに対する耐性に差があるにも関わらず、

・テスト中の痛みの強さ
・健康状態における痛みの感じやすさ

については、早産群と正期出産群では同等であった。


今回の研究では、早産児はより早く痛みテストを回避する結果となったが、


痛みの強さには差がなかったことに対して、


これは、早産児の方が新しく痛みを伴う、不快な入力に対処する能力が低かったことを示唆しているかもしれない。


その他、痛みに関する研究で興味深い点として、


様々な研究で、母親の学歴と痛み耐容能との関連性が観察されたことから、


社会的要因が疼痛反応を調節する上で重要である可能性も示唆されている。



まとめ


  1. 早産児において、現場で痛み刺激を感じにくいケースを多々経験するが、今回の論文の結果では、早産児の方がむしろ痛みの耐性は低い結果であった。そして、痛みの強度についても正期出産児と比較して変わらない結果であった。

  2. このことは、痛みに耐える能力は低いが、痛みの感じ方は同等であると解釈される。

  3. 現場で経験する痛み刺激に対する解釈については、違う要素(例えば、注意機能や情動など)が関係している可能性も考えられる。




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