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より良いキャリアを築く「働く場」の選択(7)~どのような「場(業界)」で仕事をするのか②~

前回(第14回)は、「各業界」における分類と、主な事業内容、取り組み課題などについて紹介しました。

今回は、各業界のIT関連部門(システム企画、開発、運用、保守等)で「働く」にあたり、就活される上での「留意観点」などについて紹介します。
分類は、今回も「実業企業系、実業支援企業系、実業を持ちつつ支援もする企業系(プラットフォーマ系)」の3事業業界としています。


※前回同様、業界分類、名称について、日経新聞、東洋経済、帝国データバンク等との分類とは異なっているかもしれません。あくまで「参考程度」として意識して下さい。

1.実業中心企業業界

実業中心企業の業界業種概要を、図1に示します。

図1:実業中心企業業界

【実業企業のIT関連(システム関連)部門で働くということは】

■ 実業に「直接(会社として)関わっていたい」「自分で考えたことを実践したい」と考えている人向き。実業企業であれば、現場部門への配転、出向などの可能性も期待できる。
■IT対応は、一般的に「情報システム部門」として、自社内の一部門として組織化されている。また、大手企業中心に子会社化して運営するケースが増えている。
■昨今は、技術の多様化、スピードの速さなどから「専門化」していく必要に迫られており、現場部門(実業部門)とのローテーションが簡単ではない傾向にある。(IT部門人材のキャリアパス形成、スペシャリスト化)
■ 情報システム部門は、実業企業においては「本業ライン」ではなく、間接部門として位置づけられているケースが一般的であり、会社内での「キャリア形成」が難しいケースがある。ただ、「経営とITの一体化」が重要視され、社内的地位も向上していると言われているが、一層の経営へのコミット力(IT利活用提言)を向上させる「努力」が不可欠となっている。
■実業のためのシステムの「運用・保守」作業も、日常的な業務として必須にある。(オペレーション業務、トラブル対応、ベンダー対応窓口等、日々のルーチンワーク対応 等)

2.実業企業支援企業業界

 実業企業支援企業の業界業種概要を、図2に示します。

図2:実業企業支援企業業界

【実業支援企業で働くということは】

■支援形態は、業種業界別、ジャンル別(領域別)支援組織での対応が一般的である。(ex. 流通担当、製造担当、金融担当、公共担当・・・、ERP|《*1 》担当、会計担当 等々)
■ 1つの企業を担当というケースは少ないため、「色々な人と話をするのが好き」「色々な会社や業界を知りたい、接点を持っていたい」「支援するための仕組みやサービスを作りたい」等々の考えを持っている人向き。
■コンピューター会社(総合電機)のように、総合的な対応を行っている企業や、特定の分野・業務に特化した製品やサービスを提供する会社がある。(総合的とは、各業界に対して「上流からシステム開発支援、クラウドサービス」など、全分野に対応すること)
■銀行系、証券系には、コンサルティング会社やシステム構築、クラウドサービス等を行う関連関連企業(子会社)を保有している。
■通信大手では、上流やプロマネ中心で、下流(開発以降)はITベンダーと組んで対応するケースもある。
■コンサルティング系の企業も、上流から下流(開発~運用)までを一気通貫で支援する傾向にある。(システム開発部隊を所有) 

*1:ERP(Enterprise Resource Planning)

3.プラットフォーマ系企業業界

プラットフォーム系企業の業界業種概要を、図3に示します。
本業界は、Web専業事業者中心と思われるかもしれませんが、既存の総合電機メーカー(コンピューターメーカー)やアウトソーシングセンターを運営する企業なども「サービスビジネス」として強化、拡充されています。

図3:プラットフォーム系企業業界

【プラットフォーマ企業で働くということは】

■プロバイダー事業や、Webビジネス(ネット通販、ネット市場サービス等)事業の実業をベースに展開してきた企業群。実業で培った技術、ノウハウをベースに「クラウドサービス」として構築、提供している。
■最新の技術(AI、ブロックチェーン、ビッグデータ等々)や、新しいビジネスモデルなどの創出に興味があり、実業としても実践しつつ、プラットフォームやインフラを提供し、ビジネスマッチング、ビッグデータ解析等に興味を持っている人向き。
■総合電機メーカー(コンピューター系企業)も、サービスビジネスの一環としてクラウドサービス化を推進。(これまでのアウトソーシングセンターを、拡張、展開)
■日進月歩での対応を求められる。(ビジネススピードが速い)
■何かに秀でたモノ(解析技術、AIモデル作り、PG技術、インフラ・セキュリティ技術、アイデア創造・企画力等)を持っていることが期待されている。(中途採用組が中心)
■ただ、実業としての運営、クラウドサービス環境維持のための日々のオペレーション、保守(サーバー、インフラ)業務などへの対応もある。 

       【参考】クラウドサービス事業形態例

■ システムインフラ提供「 IaaS(Infrastructure as a Service)」
サーバやストレージ、ネットワークなどのハードウェアやインフラ等を提供。機器スペック、スケールアップが、従量制で選択、利用可。
■ 開発環境の提供「PaaS(Platform as a Service)」
システム開発に必要な「ミドルウェアやDB管理、PG言語、WebサーバOSなどのソフトウェア一式の提供。
■ アプリケーションの提供 「SaaS(Software as a Service)」
従来、パッケージとして提供していたアプリケーションを、ネット上で提供しサービスとして利用する形態。

以上、2回にわたり、働く「場」として、どのような「企業、分野、職種、業界」の広がりがあるのかと言ったことについて紹介してきました。
ご自身として、どのような場で「IT利活用に関わる仕事」に就かれたいか、選択のご参考になればと思います。

次回からは、「6つの業界(生産、製造、流通、金融、観光、サービス)」を軸に、どのような取り組みが始まっており、どのようなIT技術の活用が見込まれているのかといったことについて、紹介していきたいと思います。

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