人生が最高になり始めた日の出来事。
先日、おばあちゃんが亡くなって2年目の命日だった。
おばあちゃんが亡くなった日、わたしはオーストラリアでワーキングホリデーの真っ最中だった。
3ヶ月間の語学学校を卒業し、オーストラリアを横断し、アデレードという南の小さな街で職探しをしていた。
そのときのわたしは、けっこうしんどい状況だった。
英語環境で働きたかったので、ローカルのカフェやレストランを中心に職探しをしていた。英語が今ほど話せたわけではなかったので、なかなか雇ってくれるところが見つからず毎日履歴書を配り歩いていた。
「体験に来て」と言われて行ってみてもなかなか採用には至らず、たったひとりで海外で仕事を探すことの大変さを痛感していた。
おばちゃんが亡くなった知らせを受けたのはそんなときだったので、正直そのときは悲しさよりも、日本に帰れることへのうれしさの方が強かった。
でもそのときはまだ完全に日本に戻ろうと思ってはいなかった。
海外で働く経験をしたかったので、落ち着いたらまたオーストリアに帰るつもりでいた。
でも日本に戻り、おばあちゃんのお通夜に参列しているときに、ふと、本当にふと、「もう戻るのやめよう」と思った。
頭で考えてそう結論を出したというよりはむしろ「そうすることが正しい選択だ」って自然と思えた感じだった。
その日以来、ずっと日本にいる。
わたしたちは自分の人生を自分で決め、自分の意志に従って生きていると思っているけれど、実はそうじゃない。
何かもっと、何かはわからないけれど、目に見えないなにかが動いて、それに守られている感覚がいつもある。
スピリチュアルな能力はないけれど、そう感じる。
なぜなら自分ではどうしようもできない出来事が、いつもわたしを救ってくれたからだ。
自分の意志では絶対にあのタイミングで日本に帰ることはなかった。
でも強制的に帰らされた。
そしてあの日日本に帰ってから今日までの日々は、わたしの人生で最高の2年間で、毎日その最高の日々は更新されていっている。
百貨店で販売の仕事をしていたとき、夏と正月のセールが死ぬほど嫌だった。そして1月2日の出勤中、盲腸で病院に搬送された。おかげで死ぬほど嫌なセールから逃れることができた。
手術も受けたし痛みもあったけれど、それでも死ぬほど嫌なことからは逃れられたので、やりたくないことってやらなくていいようにできてるんだなあってしみじみ思った。
起こる出来事に、身をまかせよう。
抗わず、流されよう。
自分ではどうしようもない出来事は、わたしたちを幸せな方向へ導いてくれるから。
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