マガジンのカバー画像

film

41
運営しているクリエイター

#映画

【映画感想】衣笠貞之助 『狂つた一頁』(1926年)

【映画感想】衣笠貞之助 『狂つた一頁』(1926年)

皆様、ごきげんよう。弾青娥です。

数か月ほど見ようか見まいかと迷った映画がございました。ストーリーなどをあらかじめ読んで知っていた衣笠貞之助の『狂つた一頁』です。

画像検索でヒットする何だか不気味な写真に恐怖を覚えつつ、また興味を抱きつつ、「いつか近いうちに観よう」と思いました。ホラー映画を見た後にインド映画の『バーフバリ』を見れば記憶がリフレッシュされるという保険的かつ励まし的な某ツイートを

もっとみる

『ストレイ・ドッグ』(2018)

過去に覆面捜査官をしていた主人公は、何年も取り逃がしていた犯人が再びLAに来ていることを知る。過去に決着をつけるため、ぼろぼろになりながらも一人で犯人の痕跡を追う。
ニコール・キッドマンが汚れ役の刑事に初めて挑戦する意欲作です。顔も特殊メイクでやさぐれ顔に!

やさぐれキッドマンはスゴかったし、演技も今までの感じとは全然違ってはっちゃけてたと思うんですが、お話的にはあとちょっと吹っ切れて欲しかった
もっとみる

『キング・オブ・コメディ』(1983)

マーティン・スコセッシ監督の有名な代表作の一つです。

自分が偉大なコメディアンになる事を信じて疑わない主人公が、憧れのスターと知り合えたことをきっかけにして、妄想が狂気へと暴走していく物語です。
大ヒット作『ジョーカー(2019)』の下敷きとなった作品でもあります。

『ジョーカー』が正当な続編と言っても良いくらい、描かれている狂気が同質で実に嫌な感じでした。(ちなみに『ジョーカー』ではロバート
もっとみる

オリンピックが奪う「終の住処」。映画『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』アップリンク吉祥寺・京都にて、7月23日(金)より先行上映

オリンピックが奪う「終の住処」。映画『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』アップリンク吉祥寺・京都にて、7月23日(金)より先行上映

映画『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』をアップリンク吉祥寺、アップリンク京都にて、7月23日(金)1週間限定先行上映、8月13日(金)より公開します。

都営霞ヶ丘アパートは1964年のオリンピック開発の一環で建てられ、国立競技場に隣接し、住民の平均年齢65歳以上の高齢者団地でした。単身で暮らす者が多く、住民同士で支えあいながら生活していましたが、2012年7月東京都から「移転のお願

もっとみる

『彼らは生きていた』(2018)

もう100年以上も前になる第一次世界大戦(1914~1918)の白黒映像(音声無し)を、最新技術によって着色、読唇術によって音声の再現が行われて現代に蘇った異色のドキュメンタリーです。

実際その効果はすごくて、遠い昔に撮られた古めかしい兵士から一気に身近な青年になっていてびっくりしました。

これはずっと観たかった作品で、映像の(もっと言えば映画という資本の)力というか可能性をすごい感じましたね
もっとみる

セルジュ・ゲンズブール没後30周年。ジェーン・バーキン主演の名作『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ 4K完全無修正版』アップリンク吉祥寺にて6月25日(金)より上映

セルジュ・ゲンズブール没後30周年。ジェーン・バーキン主演の名作『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ 4K完全無修正版』アップリンク吉祥寺にて6月25日(金)より上映

セルジュ・ゲンズブールが監督を務めた1975年の名作『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ 4K完全無修正版』をアップリンク吉祥寺にて6月25日(金)より上映します。

1969年にリリースされた、セルジュ・ゲンズブールの代表曲で、ジェーン・バーキンとのデュエットソング「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」。映画『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』は同楽曲をモチーフに映画化された作品。映画音楽を手掛け、

もっとみる
アップリンク京都 x agnès b. 6月18日(金)よりエリック・ロメール監督特集上映、アニエスベーポスターコレクション展も開催

アップリンク京都 x agnès b. 6月18日(金)よりエリック・ロメール監督特集上映、アニエスベーポスターコレクション展も開催

映画館「アップリンク京都」をサポートするアニエスベーが映画をセレクトするスペシャルな通年企画「アニエスベー・ムービーセレクション・ディレクターズシリーズ」。第二弾は、恋愛喜劇の巨匠エリック・ロメール監督の作品をセレクト。

アップリンク京都では、「六つの教訓話 デジタル・リマスター版」と、「80年代のロメール/喜劇と格言劇シリーズ」5作品を6月18日(金)より、一挙上映します。また、ギャラリーでは

もっとみる
(大人向け)タイトルが気になる昭和のお色気映画 第3回「驚異のドキュメント 日本浴場物語」

(大人向け)タイトルが気になる昭和のお色気映画 第3回「驚異のドキュメント 日本浴場物語」

 動画配信サービスの普及により、これまでなかなか見る機会のなかったジャンルの作品が、気軽に鑑賞できるようになりました。こちらではタイトルが気になりすぎて、筆者が思わずクリックしてしまった昭和のお色気映画の鑑賞レポートをお届けします。

※紹介する作品はすべてR15+もしくはR18+指定で、今日の観点からすると不適切な表現も含まれます。紹介作品をご鑑賞の際は、その旨ご理解ください。また、配信が終了す

もっとみる

『リトル・ダンサー』(2000)

炭坑不況に揺れるイギリスで、ある日突然バレエに目覚めてしまった少年のお話です。自分でも理由が分からず夢中になっていくバレエに、家族や周囲がちょっとづつ変わっていく…。
大好きな監督、スティーブン・ダルドリーの長編デビュー作です。

基本、何かにつけて好きな理由や意味などを求めがちな私にとって、『好きだからやる(他に意味などない)』という強さは憧れであり、一番心動かされる要素だったりします。
この作
もっとみる

「フレッシュな才能、お味見いかが」短編映画全12作品『SHORT TRIAL PROJECT 2020』アップリンク・クラウドにて、配信スタート!上田慎一郎監督らの過去作品も。

「フレッシュな才能、お味見いかが」短編映画全12作品『SHORT TRIAL PROJECT 2020』アップリンク・クラウドにて、配信スタート!上田慎一郎監督らの過去作品も。

劇場公開に先駆けて、オンライン映画館「アップリンク・クラウド」にて、『SHORT TRIAL PROJECT 2020』先行配信がスタートしました。2月11日(木)23:59までとなりますので、お見逃しなく。

新たな才能発掘を目的として、新進気鋭のクリエイターと役者で短編映画を企画制作する『SHORT TRIAL PROJECT』。

今回は10周年を記念して、過去に参加した上田慎一郎監督(『カ

もっとみる

『岬の兄妹』(2018)

仕事を首になった足に障がいを抱える兄が、自閉症の妹に売春をさせて暮らしていく物語です。
題材から観る人を選ぶことは確かですが、どこかユーモラスでもあり監督デビュー作とは思えない素晴らしい作品でした。二人の演技も本当に素晴らしかった!

今までポン・ジュノ監督や山下 敦弘監督作品などの助監督をたくさんされてきた方なのですが、その名を借りる必要がないほど本作の完成度は高かったです。「福祉はどうなってい
もっとみる

『ミッドサマー』の元ネタとも言われる元祖“奇祭映画”が47年ぶりによみがえる『ウィッカーマン final cut』アップリンク吉祥寺にて、10月24日(土)より上映

『ミッドサマー』の元ネタとも言われる元祖“奇祭映画”が47年ぶりによみがえる『ウィッカーマン final cut』アップリンク吉祥寺にて、10月24日(土)より上映

10月24日(土)よりアップリンク吉祥寺にて、『ウィッカーマン final cut』の上映がはじまります。

『ミッドサマー』の元ネタとも言われる元祖“奇祭映画”が、47年の歳月を経てfinal cut 版として再びよみがえりました。

1973年当時、完成したその作品を、映画会社ブリティッシュ・ライオンのトップが気に入らず、宣伝告知などを一切せずにニコラス・ローグ監督『赤い影』と併せて公開。

もっとみる
「覚悟してご来場下さい」めちゃくちゃ気になるけど絶対観たくない…映画『アングスト/不安』:アップリンク渋谷で上映中&京都は10月30日(金)より急遽前倒し上映

「覚悟してご来場下さい」めちゃくちゃ気になるけど絶対観たくない…映画『アングスト/不安』:アップリンク渋谷で上映中&京都は10月30日(金)より急遽前倒し上映

7月に劇場公開された映画『アングスト/不安』。公開から16週目にして、映画についてのツイートが3万RTを超えるバズ…。

アップリンク渋谷にて現在上映中。アップリンク京都での上映は今回のバズをうけて、急遽10月30日(金)より上映に一週間前倒ししました。

『アングスト/不安』は、37年を経て日本劇場公開された作品。常軌を逸した実話を描く、映画史上最も狂った傑作です。

1983年公開当時、嘔吐す

もっとみる
アンジェイ・ワイダ監督追悼 ワイダ映画と音楽、そしてジャズ

アンジェイ・ワイダ監督追悼 ワイダ映画と音楽、そしてジャズ

50年代後半からポーランド映画のすばらしさ、クオリティの高さを世界に知らしめてきた、映画史に残る巨匠アンジェイ・ワイダ Andrzej Wajdaが10月9日に亡くなりました。90歳でした。

初期の代表作「抵抗三部作」(世代、地下水道、灰とダイヤモンド)でも知ることができる、ポーランドの激動の時代を生き抜いて来られたことを思えば、大変長生きされたという印象もあります。

さて、彼の映画界での存在

もっとみる