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【本】「さみしい夜にはペンを持て」書いて自分と対話する

「さみしい夜にはペンを持て」古賀史健著

私の好きな青色のキレイな表紙で思わず購入したこの本。

なんだか毎日モヤモヤした気持ち
自分とは何者か?がわからない
自分の気持ちをうまく言葉にできない
気持ちを整理したい
書くことが好き/書くことが苦手

そんな気持ちの人にもおすすめです。
書くことで自分と対話し、気づきが生まれる本だと感じます。

特に中高生の頃、自分が嫌になったり、何者なのかわからなくなる時期の子供達にも
何かのヒントになるかもしれません。

この本は、中高生向けの本なので、わかりやすい表現ですっと文章が入ってきます。
それでいて、大人の私にもたくさんの言葉が刺さりました。
10代から大人まで楽しめる本だと思います。
読み終わる頃には、なんだか文章が書きたくなります。
私はもともとメモ魔で、幼いころから数行の日記を書いてきていますが、その日記に新たな視点をもらった気がしました。

著者はあの有名な『嫌われる勇気』古賀史健。古賀氏が、はじめて13歳に向けて書き下ろした「自分を好きになる」書き方の寓話だそうです。

お話の主人公のタコジロー(中学生)が悩んでいるとき(家族、学校生活など)に、公園でたまたま出会ったヤドカリのおじさんとの冒険ストーリー。

「ぼくは、ぼくのままのぼくを好きになりたかった。」

そんな言葉からはじまります。

ヤドカリのおじさんがタコジローに語り掛けるお話の中から、特に印象的だったところをざっくりあげていきます。


・「言葉にならない思い」をコトバクラゲたちが整理してくれる

誰にでもある「言葉にならない思い」。
特に若い時はとりわけ言葉にすることが難しかったことを覚えています。
そんな思いが頭の中を渦巻いている、それを「コトバミマンの泡」として、コトバクラゲたちが思いを片付けているとのこと。
人としゃべってすっきりすることがあるのは、思いをコトバクラゲたちが大掃除してくれているから。

・書いて自分と対話する

自分の思いをことばにする。そのことばを聞いて自分が思っていたことに納得する。自分の発したことばで自分を知る。
そして自分との対話が深まるのは、文章を書くとき。

・書くが話すと違うことは「消しゴム」を持っていること

一度口に出したことは取り返しがつかない。文章は、「その時点での答え」であり、何度も書き直しができる。書いては消しゴムで消して、書いては消して書く。

じっくり考えながら、答えを探していることなんだろうと思います。
SNSでの発信は、テキストメッセージであったとしても、口に出すような手軽さゆえに、「書く」ではなく、「話す」仲間なんだろうなと思いました。

・生きる上で最大のなぞ「自分は何者なのか」

ヤドカリのおじさんは、日記を書いている。
丁寧に言葉を、急ぎすぎず、何度でも消しゴムを入れて、じっくりと自分と対話する。
そうするなかで、少しずつ自分をことばにできるようになり、自分のことがわかってきた気がするとのこと。

・日記は「出来事」ではなく「考えたこと」を書く

タコジローをはじめ、日記は楽しくないと思う人が多い。
「その日何があったのか」ではなく
「その日何を思ったのか」「その日何を考えたのか」。

例えば、大好きなポテチを食べた という小さな出来事ひとつでも、自分に問を投げかけていけば、考えはどんどん深まる。
むしろ日記を書こうなんて思わなくていい、毎日の記録をつけなくていい。
ヒミツのノート片手に、毎晩、自分のダンジョン(危険で冒険的な地下迷宮や洞窟など)を冒険してみるつもりで書いてみると面白い。
自分の謎が解けていくし、自分が好きになる。

・自分の気持ちをスケッチすることから

文章を書こうと思ったら難しい。自分の気持ちをじっくり観察する。風景を描くときのように。
「今の気持ち」ではなく、更新されない「あのときの気持ち/自分」をスケッチする。
「あのときの自分」に問いかけてみる。

・ことばの色鉛筆を増やしていく

ヤドカリのおじさんは、言葉を異論鉛筆の色の数に例えている。
何かをかこうとするとき使える色は使えることば。
使えることばが多いほど、表現の幅は広がり、文章は色彩豊かになる。
ことばの色鉛筆には、何万と色があり、無限の組み合わせがある。使えるようにするためには、実際に使ってみる。例えば本を読むとき、声に出して読むことで「読む」と「使う」が同時にできる。

・日記は未来の自分に向けてノートをとること

未来の自分という読者に向けて書くこと

・書くコツ:大皿料理を小皿に取り分ける

ひとつの大皿にたくさんの料理をのせると味が混ざる。別の小皿に取り分ける。
(読者への思いやりにもなる)
ひとつの文章にはひとつのメッセージだけにする。

・ネガティブな感情は過去形に

どうしても出てくるネガティブは気持ち。
その時思っていることでも「ーと思った」
と過去形にすることで「あのときの気持ち」になる。
落ち着く気がする。愚痴や悪口ばかりの日記ではなくなる。

・悩み事はふたつ分けて考える

「今の自分にできること」がひとつもないこと心配ごと、天気(例:あの子は僕のことどう思ってる?)
「今の自分にできること」がひとつでもあること考えごと、(例:人前でスピーチどうしよう)
ふたつの箱に分けていれて、深く考える価値がある「考えごと」の箱のものを深堀していく。
日々の生活でも言えることだと思います。

・相手と分かり合うためには2つの努力が必要

1.語り手側の「わかってもらおう」とする努力。文章ならより丁寧に、シンプルに。
2.話し手側の「わかろう」とする努力。相手のことばに耳を傾ける。
お互い歩み寄って握手する。日記では、両方の努力により、自分自身の理解につながる。

読んでみて

人と対話して、自分の考えや自分について気づくことが多々あります。
それを「書くこと」で深めていく。それはいたってシンプルな方法でもあり、自分と直面することになるので、厳しい時もあります。

でも、丁寧に考え、シンプルに書き出すことで、少しづつ言葉になり、自分を理解することにつながるんだなと改めて感じました。
私は、あまりに頭の中がぐちゃぐちゃになったときは、とにかく書き出すことで、たいして大きな問題ではないかも、と心が落ち着くこともあります。

私は小学低学年から日記と呼べるレベルではないが、未だに続けています。
それは、ただの記録のときもあるし、ひたすら思いの時もあり、忙しいと丸々書いていない時期もあります。
でも、書くことですっきりすることは、過去に自分自身も経験しています。
これらで感じてきたことは、文中のコトバクラゲたちが私のコトバミマンの泡を片づけていたのかと、なんだかかわいいコトバクラゲに感謝します。

本の中では、書くコツが、ヤドカリのおじさんとタコジローの会話の中で、わかりやすく語り口調で書いてあります。

なので、モヤモヤしてなんだか元気のない周りの友達やお子さんなどへのプレゼントにもいいかもと思いました。
日頃のモヤモヤやまとまりのない考えや感情を「書く」ことで解消していく、ひとつのやり方として。
きれいな表紙で落ち着きます。
興味のある方、ぜひ一度ご覧ください。


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